プレスリリース
アフガン難民申請者に不認定相次ぐ
〜洞察を欠いた処分〜
カトリック難民移住移動者委員会(旧・カトリック国際協力委員会)
アフガニスタン難民のマノチェー氏、モハマド・バキル氏、スルタン・アリ氏、ボスタン・アリ氏、アジム氏の4氏に対し、4月10日、17日に相次いで難民不認定処分が下された。彼らはいずれもアフガニスタンの少数民族ハザラ人シーア派に属し、民族的、宗教的理由による迫害の恐怖を訴えていた。 シーア派3人を殺せば天国に行ける−ファトワの標的とされたハザラ人 例えば、タリバンは「シーア派を3人殺せば天国に行ける」と宣伝したが、タリバンを支持する人々はそのように信じており、そうした宗教的確信が米国によるタリバンの放逐によって覆るだろうか。こうした、シーア派とスンニ派を対立させ、シーア派の殺害を正当化、扇動する「ファトワ」とよばれる宗教的権威にもとづく殺害指示は、歴史上2回出されている。1回目は、1892年にアブドラ・ラーマン・カーン王がハザラ人の領土を侵略するために出したもので、「改宗を促しても聞き入れない場合は、絶対に殺害せよ」と命じた。それにより当時のハザラ人の半分ちかくが殺害されたという。そして2回目は、1998年に北部の都市マザリシャリフでタリバン指導者ニアジが発し、6000人とも8000人とも言われハザラ人が虐殺された。 青年ハザラ人の40人に1人が殺害された アフガニスタンのハザラ人社会はタリバンにより1万5000人が殺害されたと主張している。この数字と、米国CIAが発表しているアフガニスタン人口、人口構成、年齢構成をもとに試算すると、20歳前後から30歳代半ばまでのハザラ人男性のうち約40人に1人がタリバンによって殺害されている。20世紀末のアフガニスタンでこの数字が大きくならなかったのは一重にハザラ人が国外に脱出することができたからに他ならない。 「まず不認定ありき」の難民認定制度の操作に抗議する 法務省入国管理局「難民認定事務取扱要領」は、「申請受理後3か月以内に処理(進達)するように努めなければならない」と定めている。「進達」とは担当難民調査官が本省に「調査報告書」、「事案概要書」に送付する手続きを指す。上記4名の申請者のうち最も早期に申請したアジム氏は2001年1月に申請し、同年4月に調査官の調査は終了している。今回の告知はそれから1年も経過している。 以上。 |