シェイダさんを救え!ニュースアップデイト No.51-


2003年6月29日〜

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シェイダさんを救え!ニュース・アップデイト
Save Mr. Shayda! The News Update
第51号 2003年6月29日発行(不定期刊)
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発行元 チームS・シェイダさん救援グループ
編集担当 チームS電子オフィス shayda@da3.so-net.ne.jp
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<今号の目次>
(1)5月8日口頭弁論:法務省の証拠提出の遅れで、結審未だ成らず
 〜次回法廷は7月8日、皆さん、ぜひご参加を……〜
(2)マシュハドで「同性愛」を理由の一つとする死刑執行される
(3)「庇護を求め受け入れられることは普遍的な権利」
 〜2月18日 グダーズ・エグテダーリ氏証人尋問報告集会発言〜
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(1)次回法廷は7月8日:皆さん、是非ご参加を!!
〜法務省の証拠提出の遅れで結審未だ成らず:低調だった5月8日法廷〜
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 皆様、こんにちは。本来、月1回の提起発行を心がけている「シェイダさんを救え!ニュースアップデイト」ですが、今号は前号発行からほぼ2ヶ月遅れての発行となってしまいました。どうも申し訳ありません。今から1ヶ月半ほど前のことになってしまいますが、5月8日の第18回口頭弁論の報告をいたします。

(1)新しくなった裁判官

 5月8日の法廷は、10時30分からの予定でしたが、同じ時刻に入っていた小金井市の公共事業に関する裁判が長引き、11時の枠に繰り越されてしまいました。
 一つ驚いたのは、年度始めで裁判官が代わったことです。裁判長は、前と代わらず市村陽典氏でしたが、向かって右側に座っていた主任の馬渡香津子裁判官が別の人に代わり、また、左側の裁判官も代わりました。これまで、シェイダさんの裁判に熱心でエグテダーリ氏の証人尋問も実現させたのは馬渡裁判官だという噂もありましたので、主任裁判官が代わったことが打撃にならなければいいのですが……。

(2)原告は二つの書面を提出、被告はわずかな証拠資料だけ

 この法廷の目的は、原告・被告の両者が、出しうる限りの証拠資料を出すということでした。原告のシェイダさん側は、若干の証拠を提出するとともに、以前からの宿題となっていた「同性愛者は難民条約上の『特定の社会的集団』にあたるか」「石打ち刑は拷問等禁止条約上の『拷問等』(=残虐な刑罰も含む)にあたるか」についての原告側としての考えを書面にまとめ提出しました。一方、被告の法務省側は、以前「外務省の資料」をもとに法務省側が表の形にまとめて提出した2点の資料について、裁判所から「原資料を出すように」と要求されていましたが、今回、またもや「まだ外務省と協議中であるから出せない」と言い出し、結局、法廷は空転する形となってしまいました。

(3)原告側、迅速な審理を要望

 こうした法務省の「牛歩戦術」に、シェイダさん側の大橋毅弁護士は、おだやかにではありますが、審議を迅速にしてほしい旨を要望。一方、市村裁判長は、原告のシェイダさん側も、もっと多くの証拠資料を出して欲しいとコメントしました。その上で、両者が出しうる限りの証拠資料を提出するための日程として、結審の前にもう一度法廷を入れることを決定。日程は7月8日(火)午前11時、606号法廷となりました。

(4)判決は来年1月か?今後の見通し

 次回が結審前の最後の法廷だとすると、結審はそれから2〜3ヶ月後の10月ごろになるだろうと予測されます。結審までに、両者とも「最終準備書面」を作成・提出しなければなりません。判決は、結審からまた2〜3ヶ月後、なんと、年を越えて来年の1月ごろになるのではないかと予想されます。本当に長丁場の裁判ですが、皆様、ぜひともおつきあいお願いいたします。
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┃シェイダさん在留権裁判第19回口頭弁論    ┃ 
┃○日時:2003年7月8日午前11時     ┃
┃    (集合時間:午前10時30分)    ┃
┃○場所:東京地方裁判所6階606号法廷     ┃
┃(営団地下鉄霞ヶ関駅下車徒歩3分)      ┃
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┃第19回口頭弁論報告集会           ┃
┃○日時:2003年7月8日11時30分〜   ┃
┃○場所:弁護士会館5Fを予定         ┃
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(2)イラン第2の都市マシュハドで
「同性愛」を理由の一つとして公開処刑が執行(AFP通信)
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 ここ1年ほどの間、イランからの国際的な報道で「同性愛」を理由とする処刑に関する報道はありませんでした。これは実際に同性愛者に対する迫害や同性愛を理由とした死刑執行がなかったことを意味するのではありません。「改革派」と目されるハータミー政権の下でのイランの「民主化」の流れがクローズアップされる中で、イランにおける同性愛者への迫害への国際的な関心が薄まり、実際に処刑が行われても国際的な報道につながらなかったのではないかと考えられます。
 ところが、去る5月13日、AFP通信は、イラン北東部、アフガニスタン国境近くにあるイラン第2の都市で、シーア派の主要な聖地の一つとされるマシュハドMashhadにおいて、性犯罪に関わる様々な罪により3名の男性が公開で絞首刑により処刑されたことを伝えました。その中には「同性間性行為」(homosexual acts)が含まれていました。
 イランでは、イスラーム体制にも関わらず進んでいく世俗化の傾向に対抗して、道徳犯罪取り締まりのキャンペーンが保守派を中心に展開されつつあります。この事件をきっかけに、同性愛者への弾圧がさらに強化されるのかどうか、注目されます。

<AFP通信の記事>

テヘラン、5月13日(AFP通信)火曜日になされた新聞報道と当局者の証言による と、強姦・殺人から女性の誘拐、同性愛にいたる一連の罪により、一名のイラン人が 公開での斬首刑に、他8名が絞首刑に処された。(前略)
 一方、AFP通信に対して司法当局者が語ったところによると、火曜日(訳者注:5 月13日)の朝、北西部のシーア派宗教都市マシュハド Mashhad において、3名の男性が、女性 および少女の誘拐 abdupting 、強姦、同性間性行為 homosexual acts、姦淫 fornication の罪により、絞首刑により公開処刑された。なお、その司法当局者は処 刑された男性の氏名は明らかにしなかった。他に5名が、火曜日のより遅い時刻に同 じ場所で絞首刑に処された。
 さらに、「イラン・デイリー」の記事によると、そのほかに135名の人物が重禁固 およびむち打ち刑を宣告された。また、イラン警察当局はあるギャング団を掃討し、 8つの売春施設で働いていた63人の女性を逮捕した。

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(3)「庇護を求め受け入れられることは普遍的な権利」
 〜2月18日 グダーズ・エグテダーリ氏証人尋問報告集会発言〜
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 去る2月に、グダーズ・エグテダーリさんがシェイダさん裁判の法廷で証言してから、はや4ヶ月以上がたとうとしています。エグテダーリさんは、帰国後もシェイダさん裁判の経過について注目しており、先日も、「裁判の結果はどうなった」と質問のメールを送ってきました。それについて「まだ裁判が続いている……。」と返事を送ったところ、エグテダーリさんは「こんにちは。情報をありがとう。日本の司法府は、ジョージ・ブッシュがイランの体制を倒して、シェイダが日本にいなくてもいいようになるまで、裁判を続ける気なのかね!!」とのこと……。
 さて、そのエグテダーリさんですが、日本にたくさんのおみやげを残していきました。ニュースアップデイトでは、それを今後、いろいろと紹介していきたいと思います。今回は、エグテダーリさんの証人尋問後の報告集会での発言。「庇護を求め受け入れられることは普遍的な権利である」と喝破しています。ぜひ、読んでください。

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「庇護を求め受け入れられることは普遍的な権利」
〜エグテダーリさんの報告集会でのスピーチ〜
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□■□まずは法廷の感想から……□■□

●司会:
 エグテダーリさんから今日の裁判の感想についてお話ししていただきたいと思います。実は2年前の10月16 日に原告側として、アメリカから証人として採用したいと裁判所に提出しており、一年以上かけて、やっと呼べたということをつけたしておきたいと思います。じゃ、エグテダーリさんの方よろしくお願いします。
●エグテダーリ:
 皆さんこんばんは。まず英語で話さなければいけないことをお許しください。
 今日の法廷についての感想ですがきわめて普通だったと思います。極めて普通に弁論側が弁論し、それに対して国側が反論するといった形でした。ただ少し驚いたのは国側がしつこく私のバックグラウンドであるとか、私の専門性についてしつこく質問されたというのは少し驚きでした。
 特にに国側はですね、わたしが情報工学というものを専攻しているのですけれども、それについて何をやっているのか、あえて技術者として何をやっているのか、それと同時に人権の研究ができるのかということに関して疑問を持っていたようでした。それは非常におもしろい観点かと思うのですけれども、西洋的な考え方と東洋的な考え方の違いかもしれません。私の同僚でも、情報工学に専念していて、政治家ではないから政治活動を行わないというような人もいます。
 東洋においては詩人であり、同性愛者であり、政治家であり、学者であり、というような一人がいろんな専門性を持っているということもあるのですけど、西洋においてはただひとつのもの専門家であることで考えられているようです。
 私は本当に今日の証言がチームSにとってよい結果をもたらすということを希望しております。チームSの皆さんは本当にここ数年、熱心に働いていらっしゃいました。私に1年半前に連絡をとられてからずっと、私を日本に招聘しようとよくはたらいてくださいましたし、それが、良い結果に結びつくことを祈っています。
 大橋さん、そして大橋さんのパートナーの事務所の弁護士さん、チームSの皆さん、この皆さんは本当にシェイダさんのためだけではなく、日本での権利の獲得を勝ち取るために熱心に働いていらっしゃるというふうに感じています。ありがとうございました。
●司会:
 じゃ、続いてエグテダーリさんにチームSの聞き手のほうから質問をしてイランの状況等について話していただきたいと思います。

□■□日本で証言をするにいたった経緯□■□

●聞き手:
 インタビュアーをする稲場です。チームSのほうでコーディネーター的なことをやっております。今日はエグテダーリさんに3時間にもわたる長い尋問でありまして、もうかなりお疲れかなと思っております。そこで私のほうからの質問は非常に簡単に三つか四つに絞らせていただきたいというふうに思います。
 まず日本からシェイダさんの弁護ということで証人に立ってくれということで、アメリカに住んでいるエグテダーリさんとして、日本に来るというのは大きな決断だったと思います。また、最初にそういうふうに聞いて本当にこちらを信用できるのだろうかとかいろいろ考えられたことと思います。そういう点で最初日本から証言の依頼が来た時どのように思われたかをお伺いしたいです。
●エグテダーリ:
 私は、日本について関心を持っていました。最初に言っておきたいのですが、私はイランの同性愛についての研究を始めたわけではなく、まず、初めにイランにおける死刑について研究を始めました。それが、きっかけとしてイランにおける死刑の適用の対象についての同性愛者について研究を進めるようになりました。
 私自身は論文等の中でもはっきり書いていますが、同性愛者ではないのですけれども、同性愛者の問題について、学会で発表するにあたって、非常に差別を受けているような気分になることが多くありました。他の学者の人達も学会の会場ではなくホテル等のロビーなどで会うと、同性愛者とみなしているのではないか、それによって私は差別を受けているのではないかと感じることもありました。
 私がイランにおける死刑の報告を書いたのは1997年でした。
 私が97年に論文を発表した後に私は弁護士さんからの問い合わせを受けるようになりました。それはカナダですとか、チリ、イギリス、そして、アメリカにおいても何人かの弁護士さんから依頼を受けるようになりました。そして私に供述宣誓書を書いて欲しいとか、意見書を書いて欲しいというようなことを依頼しました。そして、チームSから、私が以前書いた意見書を翻訳させて欲しいという依頼が来たとき、私は私の世界が広がって行くということで嬉しく思っていました。
 私はこの分野についてもっと多くの研究がなされるべきだと思います。本当にがっかりしているのは他の研究者がこの問題に触れようとしないところです。彼らはまだ同性愛者に偏見があるということに非常に大きな理由かとおもいますが、自分の社会的な地位を恐れてかこの分野に入ってこようとしません。同性愛者について研究するのは必ずしも同性愛者でなくても彼らの人権を守るということはできているのですけれども、なかなかそういうふうな人達が出てこないというのはがっかりしていますし、もっと多くの人たちが関わってくるべきではないかなと思っています。
 同性愛者の人権を守るということに関しては本当にもっと多くの仕事がなされるべきだと思っていますが、ヨーロッパにおいては多くの同性愛者が雑誌をだしています。それらは信頼性が高い文章というよりも彼らのコミュニティの中で情報をシェアするという目的が強いと思っております。ですから、もし私が同性愛者だったとしたら、法務省から「あなたは同性愛者だから彼らの立場を守っているのではないか」と攻撃されたのではないでしょうか。

□■□イランにおける死刑の問題□■□

●聞き手:
 どうもありがとうございます。私自身は同性愛者としてこの裁判に関わっているのですけれども、彼は同性愛者ではない。また彼はイランという非常に同性愛者に対して厳しい社会で人生を過ごしてきました。アメリカにおいても日本においてもイランにおいても、イラン人の社会は、非常に同性愛者嫌悪が強いと言われています。しかし、その中で、彼は死刑の問題に関連して同性愛者の問題について研究してきました。今や、この分野において最も知識を持っている第一人者と言えるのではないかと思います。逆に私としてはここで、エグテダーリさんの持っているフィールド、イランの死刑に関する問題についてお聞きしたいと思います。簡単にイランにおける死刑の状況について説明してもらえますか。
●エグテダーリ:
 イランの死刑に関しましては刑法に定められていまして非常に多く死刑が執行されています。1995年には、世界で2番目に死刑の執行が多かったのです。その他の年度においても、2番目、3番目とか4番目という非常に高い確率で執行がされています。1位は中国で、それに引き続いてアメリカ、イランというふうになっています。非常に多くの処刑数があるというのが実情です。
 死刑を廃止しようという動きはあったのですが、それに関しましてはハータミー大統領が権力の座について以降、非常に強くそのような主張がなされるようになりました。「イラン人権ワーキンググループ」という私が執行委員で関わっていた団体でもイランにおける死刑の廃止についても多くの紙面を割いて特集を行っていました。ハータミー大統領が就任して以降、言論の自由というのがある程度確保されてきまして、イランにおいてもある程度自由な言論が確立されてきたのですけれども、非常に死刑の廃止に関しては難しいということになりました。なぜならば裁判官が死刑を宣告できる裁量が非常に広く与えられていて、裁判官自体が死刑を廃止する全く前向きでなかったというのが現状です。
 1979年のイラン革命の後、前の体制を作っていた人たちが多く処刑されました。その中には学者もいますし、軍隊、警察にいた人たちも処刑されています。死刑というのは非常に高い規範でもって定められていてそれを覆して行くのが難しいという現状にあります。
 特に1988年に何千人もの人が死刑を執行されました。当時、ホメイニー師により、刑務所を一掃しろという命令がありました。そして刑務所に繋がれている囚人は2つか3つの質問を聞かれました。まず「あなたは反政府的な団体に入っていますか」。それに「イエス」と答えると次は「その団体の正しさを信じていますか」と。それについても「イエス」と答えるとすぐに処刑されたのです。両方にノーと答えた人は命を救われていたわけですが、その当時2〜3週間のあいだに4000人〜8000人が処刑されたというふうに言われています。
 現在は死刑を廃止するという方向ではなくて死刑の執行方法に関して議論がなされています。イランにおいては様々な執行方法がありますけれども、特に石打ちによる死刑というのは非常に苦しみを伴う拷問であると思います。私は今回、石打ちによる執行のビデオテープを持ってきました。それに通常は男性が腹部まで、女性は胸まで土のなかに埋められます。投げる石の大きさも定められています。大きすぎてはいけません。なぜなら1回投げただけでも死んでしまうからです。石打ち刑では、死にいたるまで20〜30分かかります。もし絞首刑であれば、5分程度で死んでしまいます。電気椅子であれば、1分かからない程度です。注射による死刑というのは痛みは伴いません。ですから石打ちというのは痛みを伴う拷問であると言えます。
 同性愛者の死刑執行について話を戻します。刑法に関してはどのような方法で執行するかは決められていません。それは裁判官の裁量で執行するというふうに言われています。ただ最高裁判所の方で示唆がなされています。二つ紹介しますが、まず一人このような処刑行為がいいと言ったのはソドミー行為を行った人は全て火に投げ込めばいいといった最高裁判所の裁判官がいました。そしてもう一人は高いところから突き落とすのがいいといいました。そしてクレーンで吊り上げられ処刑されたという人もいます。

□■□難民の庇護は普遍的な権利□■□

●聞き手:
 イランでは非常に厳しい処刑が行われているわけです。私達としてはイランにおける、また全世界における死刑というものが、適切ではないと強く感じています。
 そしてもうひとつ、この問題、シェイダさんの問題は、このような死刑をやっている国に彼を強制的に送還するという日本政府の処分が行われようとしていて、それに対する裁判を行っているわけです。ここで、この質問で終わりにしたいのですけれども、難民を受け入れる重要性についてどのように考えているかということをお伺いしたいと思います。
●エグテダーリ:
 一般的に話しますと、庇護をもとめ受け入れられる権利というのは世界人権宣言にも書かれています。これは普遍的な権利であると言えます。日本政府においてもその普遍的な権利を受け入れている国際社会の一員として難民を受け入れていって欲しいと思っています。
 そしてもうひとつ、条約として、拷問等禁止条約というものがあります。これは拷問による処罰を禁止しています。この拷問による処罰というのはヨーロッパの国々によっても否定されているものであり、EUのメンバーになる条件のひとつでもあります。EUのメンバーになるというのには死刑の撤廃というものも挙げられています。そのためにトルコにおいては近年、EUのメンバーになるために死刑というものを廃止しました。死刑を待ちうける国にその人を返さないという規範も出来上がっているといえるのではないでしょうか。たとえテロリストでも返せないということがありました。昨年、フランスでは2001年9月11日に起きた悲劇的な事件に関係しているイスラム系のグループのメンバーと疑われた人が逮捕されアメリカに送還されそうになりましたけれども、アメリカにはまだ死刑は存在しているということで、フランスで送還が止まったというケースがありました。
●聞き手:
 どうもありがとうございました。はるばるアメリカのポートランドから時間をかけて日本に来ていただいてこういうかたちで、そして3時間にわたる尋問をシェイダさんのため、そして日本の人権状況の改善のため、このようなエグテダーリさんに私達としても深い感謝をしたいと思います。
●司会:
 どうもありがとうございました。エグテダーリさんにつきましては13ページにある紹介と明日シンポジウムが開かれるるので、そこでイランの状況についてもっと知れると思います。ここで何かエグテダーリさんにちょっと聞いておきたいこととかイランの状況とか今日の裁判の分からなかったこととかあればですね、ご質問していただければと思います。
●質問者1:
 死刑のことでお伺いしたいんですが、先ほどの法廷での証言の中で、石打ち刑という処刑方法と、シャリーア法というのは非常に結びついているとおっしゃったと思うんです。その辺についてちょっとお聞かせ願えないでしょうか。また石打ち刑という場合に処刑する処刑者とはどのような人達、複数のひとが関わるのではないかと思うのですが、どういう人が処刑者となるのでしょうか。処刑する人。執行人ということです。
●エグテダーリ:
 まずは一つ目の質問に関してですけれども、石打ち刑というのはシャリーア法の一部です。刑法というのは石打ち刑を認めています。この刑法が最終的に定められたのは1991年です。その規定によると、婚外性交渉であるとか、同性愛行為、その他裁判官が、その人を石打ち刑にしたいと思ったら、誰でも石打ち刑になるということです。
 一時、法務省が石打ち刑をとめようということはありました。しかし現在までにそれは実現に至っていません。
 石打ち刑は基本的に公開で行われます。なぜ公開で行うかというと多くのひとにこのことを知って欲しいということになります。もし隠れた場所で処刑するのであれば、誰もそのことを知らずに終わるということになります。なぜ知らせるかというとそれは見せしめのためで、例えばクレーンで吊るというとして見せしめにするということもあります。これは人々にこのようなことをしないようにという教訓を与えるようにということです。つまり、「この人を見なさい。この人は不貞行為を働いたから、婚外性交渉もしくは同性愛行為を行ったからこのようになった。あなたも同じようなことをしたらこうなります」という教訓を与えるためだだからであると思います。人民に、倫理に関する罪を犯させないように、そのような教訓があるのではないでしょうか。現在では石打ち刑に変わる刑罰を導入すべきではないか、というような議論がなされています。それは死刑をとめるのではなくて別の方法で公開ではなく、わからないように公衆の目にさらさずにするほうが良いのではないかというふうな議論で、本質的な解決策ではありません。
 二つ目のご質問に関してですけれども、基本的に定められるところには、罪を犯していない人のみが石を投げられるとなっています。けれども罪を犯していない人などはいないのではないでしょうか。私が弁護士の大橋先生に差し上げたビデオの中では、これが全くの公開であるかどうかは分かりませんが、軍の施設において行われていました。一番はじめにに石を投げたのは裁判官でした。

*****第52号は近日中に発行の予定です*****


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シェイダさんを救え!ニュース・アップデイト
Save Mr. Shayda! The News Update
第52号 2003年7月15日発行(不定期刊)
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発行元 チームS・シェイダさん救援グループ
編集担当 チームS電子オフィス shayda@da3.so-net.ne.jp
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<今号の目次>
(1)7月8日シェイダさん裁判(第19回口頭弁論)
  〜在留権審査に新たな展開?結審までの日程決まる〜
(2)革命詩人サイード・ソルターンブールの処刑の日に
  〜シェイダさんの寄稿〜
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(1)7月8日シェイダさん裁判(第19回口頭弁論)
  〜在留権審査に新たな展開?結審までの日程決まる〜
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 シェイダさんに退去強制令書が発付され、「シェイダさん在留権裁判」が開始されてからほぼ4年を経過しました。この4年の間に、合計19回の口頭弁論が開かれ、シェイダさんの本人尋問や在米イラン人専門家証人であるエグテダーリさんの証人尋問などが行われるなど、数々のドラマティックな展開がありました。ここ数回は、法廷はよく言えば非常に静かな、悪く言えば沈滞した展開を見せています。
 法廷が沈滞しているのは、法務省側が「外務省との協力」に基づいて前に提出したいくつかの証拠資料について、裁判長が法務省側に対して「原資料を出して欲しい」と宿題を出しているのに対して、法務省側が「まだ、外務省と協議中で……」と言を左右にして時間稼ぎをしているからです。
 今回の法廷でも、裁判長から同じことを尋ねられた法務省側の担当者は、「まだ外務省と協議中です」と同じ答弁を繰り返しました。やれやれ、いつまでかかるのか……。しかし、法務省側はこれと関連して、意外なことを言い出しました。
 シェイダさん側は、最近になって、シェイダさんの健康状態の問題や、裁判の異様な長期化があたえるネガティブなインパクトを考慮して、法務省側に対して、「もう一度、シェイダさんに在留特別許可を与えるかどうか審査して欲しい」というお願い(再審情願)を行いました。実際には、この「再審情願」は単なる「お願い」にすぎず、法務省としては、とりあげようが無視しようが構わないというものです。ところが、法務省側はこれについて、次のような答弁をしたのです。
 「証拠の翻訳が遅れているというのは、一つは、原告側が提出した『再審情願』を現在、審査しているところでありまして、この審査の結果によっては、状況が変わることもありますので……」
 裁判官がこの「再審情願」に関する審査の目処を問いただしたところ、法務省側は「7月中、おそくても8月には、審査の結果が出ると思います」とのことでした。
 この答弁が重要なのは、法務省側が実際、本当は取り上げなくてもよい「再審情願」の請求に基づいてシェイダさんの在留特別許可について再審査をしており、また、在留特別許可を与えるという選択も現実的なものとして検討している、ということを表明したということです。つまり、審査の結果によっては、法務省側がシェイダさんに在留特別許可を認め、シェイダさんが在留資格を得るということがありうるということなのです。
 もちろん、今の段階でぬか喜びするわけには行きませんが、法務省側が再審情願を審査せざるを得ない状況にまで立ち至ったというのは、一つの進歩であるということができます。これにより、この裁判の方向性として、「勝訴」「敗訴」以外に、在留特別許可の交付、という方向がひとつ見えてきました。
 裁判長は、今後の法廷の持ち方として、結審を10月に設定し、それまでに法務省側が証拠提出を行うまでの期間として9月に一回、法廷を入れる、ということを決定しました。次回の裁判は9月9日(火)11時から、結審は10月23日(木)14時からです。結審では、シェイダさんが法廷で最終意見陳述を行います。判決前最後の法廷になりますので、ぜひとも、皆様お越し下さい!!チームSでも、結審に向けて何かキャンペーンを開始しようと思っています。よろしくお願いします!!
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┃シェイダさん在留権裁判第20回口頭弁論    ┃ 
┃○日時:2003年9月9日午前11時     ┃
┃    (集合時間:午前10時30分)    ┃
┃○場所:東京地方裁判所6階606号法廷     ┃
┃(営団地下鉄霞ヶ関駅下車徒歩3分)      ┃
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┃第20回口頭弁論報告集会           ┃
┃○日時:2003年9月9日11時30分〜   ┃
┃○場所:弁護士会館5Fを予定         ┃
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┃シェイダさん在留権裁判第21回口頭弁論(結審)┃ 
┃○日時:2003年10月23日午後2時    ┃
┃    (集合時間:午後1時30分)     ┃
┃○場所:東京地方裁判所6階606号法廷     ┃
┃(営団地下鉄霞ヶ関駅下車徒歩3分)      ┃
┠───────────────────────┨
┃第21回口頭弁論(結審)報告集会       ┃
┃○日時:2003年10月23日午後3時〜   ┃
┃○場所:弁護士会館5Fを予定         ┃
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(2)革命詩人サイード=ソルターンプールの処刑の日に
  〜シェイダさんからの寄稿〜
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 「シェイダさんを救え!ニュースアップデイト」に、シェイダさんからの寄稿をもらいました。
 イラン革命直後の動乱の中で、一人の詩人、サイード=ソルターンプールが処刑されました。この詩人の命日に寄せて書かれた、シェイダさんのエッセイです。イランの現体制によって殺された人々に対するシェイダさんの思いが伝わってきます。ぜひ、読んでください。

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  革命詩人サイード=ソルターンプールの処刑の日に
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 イラン国内でも国外でも、サイード=ソルターンプールが殺されたことを取り上げた新聞はなかった。彼は一人の戯曲作家であり、革命的人間であり、イラン・ペンクラブ運営委員の一人であり、近代文学の偉人の一人であった。サイード=ソルターンプールは高校教師であり、数年間、シャーの牢獄に投獄されたのだが、1980年9月に解放された。
 彼は、退職した教師だった年老いた母とともに暮らしていた。サイードは、ある春の木曜日、1981年4月16日、結婚しようとした。結婚パーティーは慎ましく、テヘランの郊外でよく見られたように、彼の自宅で催されることになっていた。なにもかもがごく普通に進んでいた。数人のゲスト、大勢の子供たち、年老いた、サイードの幸せそうな母親、獄中で過ごした歳月は、彼方に去っていた。
 にぎやかな結婚パーティーの最中に、突然、1人の男が入ってきて、サイードはどいつだ、と尋ねた。それから男はサイードの腕をつかみ、彼を引きずり出そうとした。
 サイードは抵抗した。その時、男は銃を抜き、サイードは従わざるを得なくなった。銃をもった男は中央革命委員会(コミテ)の逮捕状を示した。そこには、サイードと彼の友人たちが外貨闇取引の罪で逮捕されるという内容が記してあった。
 この時、ライフルと機関銃で武装した大勢のコミテの兵士たちが押し入ってきた。招待客たちの強い要求で、コミテ兵士たちは3時間の猶予を認めた。結婚パーティーは、不安とともに続けられた。武装した兵士たちは、次第に我慢できなくなってきたようだった。家は完全に包囲され、他の武装警備兵が近所の家の前を固めていた。また交渉が行われた。武装した男たちの口調は激しくなり、数発の銃弾が放たれた。とうとう、サイードは彼らともに行くことを受け入れたが、ただし歩いて行くこと、彼の伴侶もともなうという条件を付けた。
 サイードとゴルナーズは、互いの手を握り、夜の中を、怯えながら歩き始めた。結婚式の客たちも、彼らを追ってやってきた。しかし、コミテ兵士たちは客たちが来るのを遮ろうとした。再び、数発の銃声が響いた。突然、通りに出ていた街区のすべての人々が怒声を挙げ始めた。コミテ兵士たちは、この時、ライフルの握りと銃床で花嫁と花婿を殴りつけ、彼らを自動車に乗せようとした。
 逮捕の知らせは翌日の朝町を駆けめぐったが、マスコミは何も報道しなかった。サイードの家族とペンクラブは果てしない行政手続きを開始し、若き伴侶も疲れも知らずに彼らとともに行動した。公式な反応は何もなかった。ただ、ハーシェミー=ラフサンジャーニー国会議長が、驚きを表明しただけである。彼が「1人の無名の詩人」と表現した人物について、世界中から奔流のように抗議の手紙や電報が届いていた。
 数週間後、サイードに面会の許可が下りた。母親は服と薬を彼のためにもってきた。サイードは、声明を発表することに同意した。それは、このような内容のものである。「拘留から約2ヶ月後、新たな逮捕状が発行された。それによると、最初の逮捕状は偽物であった。もはや私が外貨の闇取引をやったとは言われない。新しい逮捕状では、私の罪をフェダーヤーネ・ハルク(多数派)※1における活動であるとしている。」
 突然、6月28日に、イスラーム共和党事務所※2が爆破されたというニュースが広がった。130名を超える体制の要人が殺された。その後の月曜日、BBCペルシア語放送が、サイード=ソルターンプールを含む4人の反逆者が処刑されたことを報じた。サイードの兄弟が詩人の遺体を引き取るために死体安置所におもむいた時、兄弟の母親はまだ眠っていた。サイードの遺体は、最後の瞬間をともにした、数人の教師、大学生、労働者、大勢のモジャーヘディーネ・ハルクのメンバーからなる仲間たちの遺体とともにあった。処刑された人々の平均年齢は15歳から16歳であった。
 警官たちがサイードを逮捕した時、彼は言った。「私たちの結婚式は、まるでルカの結婚式のようだ」。ファシズムの犠牲者たちの名前を思い出すとき、彼らの名前とともに、イランでは、自然に、ホメイニーの名が心に浮かぶ。
 サイードとその友人たちの殺害は、粛清の新たな季節のはじまりとなった。それ以
後、かつてない残虐行為が行われた。妊娠した女性たち、15歳未満の子供たち、65歳
以上の老齢者の処刑、拷問、囚人の・・・・・、少女の強姦が行われたのである。
シェイダ

<注釈>

※1 フェダーヤーネ・ハルク イラン・イスラーム共和国に対する反体制派の一つで、社会主義的傾向を持つ。1979年のイラン革命においては、革命派の一つとして一定の役割を担った。その後、ホメイニーによる「イスラーム法学者による統治」(ヴェラーヤテ・ファギーフ体制)の確立の中で非合法化され、徹底した迫害と粛正の対象となった。現在はいくつかの党派に分裂しており、最大の党派はフェダーヤーネ・ハルク(主流派)を名乗っている。。イラン国内に拠点はなく、欧米のイラン人コミュニティの中に一定の基盤を持つ。
※2 イスラーム共和党本部爆破事件 イスラーム革命を指導したホメイニーを中心とするイスラーム法学者たちは、イスラーム革命の指導的な役割を担う党派として「イスラーム共和党」を創設した。1981年にバニーサドル大統領が罷免されフランスに亡命した後、ラジャビを指導者とする反体制派組織モジャヘディーネ・ハルク(現在、イラン人民モジャヘディン機構(PMOI)公式ウェブサイト:http://www.iran.mojahedin.org/indexenglish.html)は本格的な武装闘争に乗り出し、1981年6月22日、このイスラーム共和党本部を爆破。ベヘシュティー師ら党の要人70名が死亡した。その後成立したハーメネイー政権は、モジャヘディーネ・ハルクを徹底弾圧し、年間数千人もの反体制派容疑者を処刑する「恐怖政治」に大きく梶を切った。

***次号は近日中発行の予定です***

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シェイダさんを救え!ニュース・アップデイト
Save Mr. Shayda! The News Update
第53号 2003年9月7日発行(不定期刊)
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発行元 チームS・シェイダさん救援グループ
編集担当 チームS電子オフィス shayda@da3.so-net.ne.jp
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<今号の目次>
(1)裁判も「着陸」一歩手前まで来ました
 〜9月9日:シェイダさん第20回口頭弁論に集まろう〜
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●バックナンバーが必要な方は電子オフィスまでお知らせ下さい。
●講読申込・講読中止などの手続は電子オフィスまでお知らせ下さい。

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(1)裁判も「着陸」一歩手前まで来ました
 〜9月9日:シェイダさん第20回口頭弁論に集まろう〜
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 この7月で5年目に突入したシェイダさん裁判。エグテダーリさんなどの海外証人も含め、非常に多くの人々の支援を得て、ようやく「着陸」=判決一歩手前の地点までたどり着きつつあります。
 次回裁判は9月9日(火)午前11時からです。今回の法廷は、裁判所が法務省に出していた宿題を法務省がこなしてくるかどうかの最終期限として設けられたものです。法務省は、昨年末から今年前半にかけて、「外務省提供の情報」に基づいて、各国の同性愛者の難民認定状況と「イスラム圏」における同性愛者の法的位置に関する表を法廷に提出しました。しかし、この表の根拠となっている原資料が全く示されておらず、証拠としての価値がきわめて低い代物だったため、裁判所側が法務省に原資料の翻訳を要請。しかし法務省側は過去2〜3回の法廷で「まだ、協議中」「まだできてない」などと言を左右にし、結局のところ9月まで行き着いてしまった、ということなのです。ですから、今回の法廷の見所は、法務省がどこまで資料を出してくるか、ということにつきます。
 もうひとつ。前回の法廷において法務省側は、シェイダさん側が出した再審情願(在留特別許可を出さなかった決定に関して、もう一度審査して欲しいとのお願い)について、「今、審査している最中だ。これによって状況が変わるかも知れない」と言っていました。しかし、8月中旬になって法務省は、本件再審情願を却下したことをシェイダさんに伝えてきました。結局のところ、法務省はこの裁判に関して、「判決を得る」ことを選んだのだということです。
 ということで、シェイダさんの裁判は、これから判決に向かってまっしぐらに進んでいくことになりました。
 現在、弁護団では、次々回の法廷(10月23日)に提出する最終準備書面の作成に一心に取り組んでいます。結審では、シェイダさんが原告として最終意見陳述を行います。次回裁判とならんで、次々回にも、ぜひとも足を運んでいただければ幸いです!!
 判決は、おそらく年を越して1月になるのではないかと思われます。「百里の道も九十九里が半ば」と言います。最後まで気を緩めずに頑張っていきましょう!!では法廷でお待ちしています!
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┃シェイダさん在留権裁判第20回口頭弁論    ┃ 
┃○日時:2003年9月9日午前11時     ┃
┃    (集合時間:午前10時30分)    ┃
┃○場所:東京地方裁判所6階606号法廷     ┃
┃(営団地下鉄霞ヶ関駅下車徒歩3分)      ┃
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┃第20回口頭弁論報告集会           ┃
┃○日時:2003年9月9日11時30分〜   ┃
┃○場所:法廷には来れないけれど報告集会に出られ┃
┃ ると言う方は、当日、担当の稲場までご連絡下さ┃
┃ い!!(電話090−1264−8110)  ┃
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┃シェイダさん在留権裁判第21回口頭弁論(結審)┃ 
┃○日時:2003年10月23日午後2時    ┃
┃    (集合時間:午後1時30分)     ┃
┃○場所:東京地方裁判所6階606号法廷     ┃
┃(営団地下鉄霞ヶ関駅下車徒歩3分)      ┃
┠───────────────────────┨
┃第21回口頭弁論(結審)報告集会       ┃
┃○日時:2003年10月23日午後3時〜   ┃
┃○場所:弁護士会館5Fを予定         ┃
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******次号は近日中発行の予定です***

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シェイダさんを救え!ニュース・アップデイト
Save Mr. Shayda! The News Update
第54号 2003年10月7日発行(不定期刊)
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発行元 チームS・シェイダさん救援グループ
編集担当 チームS電子オフィス shayda@da3.so-net.ne.jp
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<今号の目次>
(1)法務省の大量証拠提出で結審は延期に!!
 〜しかしその内実は「張り子の虎」。10月23日次回裁判に集まろう!〜
(2)結審に向けたキャンペーンにご協力を!!
 〜法務省はシェイダさんに難民認定を!!〜
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(1)法務省の大量証拠提出で結審は延期に!!
 〜しかしその内実は「張り子の虎」?〜
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■大量の証拠を提出した法務省

 皆様、こんにちは。東京では、とても爽やかな季節が到来しています。
 さて、シェイダさん在留権裁判の第20回口頭弁論が、9月9日午前11時より、いつもの東京地裁第606号法廷で開かれました。前回の7月の法廷では、10月に開かれる次の法廷を結審、その前に証拠資料提出の集約日を設けよう、ということになり、9月9日の法廷は、その「集約日」として設けられていたものでした。当方は、ほぼ十全の証拠提出状況ですので、この集約日は、もっぱら法務省をターゲットとしたものでした。
 法務省がどんな証拠を出してくるのか……当方は半信半疑で法廷に臨みましたが、法務省、やってくれました。これまでの3年間で30しか証拠を出していなかったのが、この日だけで、合計31の証拠資料を提出。法務省提出の証拠は一気にこれまでの二倍、シェイダさん提出の証拠の約半分となったのです。
 いきなり30もの証拠を出されては、こちらも困ります。そもそも、どんな重要な証拠が含まれているか分かりません。10月の「結審」まで1ヶ月半、それだけではとうてい、証拠への反論と最終準備書面の準備はできません。
 そこで急遽、シェイダさん側として、10月の法廷を通常の法廷として入れ、結審の法廷を再設定することを要求。要求は裁判官によって受け入れられ、10月23日の法廷は結審ではなく、普通の法廷となりました。また、結審については、10月23日の第21回口頭弁論で決定する、ということになりました。おそらく、12月前後と予想されます。

■証拠は「張り子の虎」?

 裁判終了ののち、シェイダさん弁護団では2回の会議を持ち、法務省の証拠を吟味しました。法務省の証拠は、なかなか内容的にあなどれないものです。ほとんど意味のない証拠や、こちらに有利な証拠なども多く混じっていますが、いちばん問題となるのは以下の二つです。
○合計8点にのぼるオーストラリアのイラン人ゲイ難民申請却下の決定・判決
○国連拷問禁止委員会によるイラン人難民の強制送還停止申請却下の決定
 オーストラリアでは、現保守政権誕生後、これまでの難民や外国人に寛容なポリシーを大きく後退させ、もちろん日本よりは格段に広い間口を用意しているものの「初めに収容・排除ありき」の政策へと、みずからの難民行政を大きく変化させています。法務省はこれに目を付け、オーストラリアの難民控訴審判所および連邦裁判所がイラン人ゲイの難民申請を却下した最近の事例8点を証拠提出しました。
 また、オランダでも、同様のケースにより、国の司法審査が終了してしまい、最終的に国連の拷問等禁止条約に基づいて設立された拷問禁止委員会に提訴したものの却下された、というイラン人ゲイのケースがあります。法務省はこれについて、証拠提出してきました。これらについては、こちらも本気で立ち向かわなければなりません。
 弁護団でこれらの証拠を精査したところ、どの事例も、自己の性的指向を公言(カミングアウト)している同性愛者の事例ではないことがわかりました。シェイダさんは自己の性的指向を公言し、また、イラン刑法のソドミー条項を撤廃することを要求する亡命イラン人レズビアン・ゲイのNGO「ホマーン・イラン同性愛者人権擁護グループ」のメンバーでもあります。本人自身、イベントやパレードなどの公的な場所でこれらのメッセージを公言しています。
 法務省の提出したオーストラリアの判決の中には、「シェイダさんのような自己の性的指向を公言した同性愛者の迫害の事例は、本件とは異なった事例であるから考慮しない」と明記したものがいくつかあります。つまり、シェイダさんの事例は、これらの事例と同一に語ることはできないのだ、ということをそれらの判例は明示しています。そうした意味で、これらの決定・判決はシェイダさんの事例とは異なった事例についての決定なのだ、ということができます。
 もう一つ。法務省提出の証拠資料には、信じられないような誤訳が多数含まれています。8つの決定文のうち7つにおいて、イスラーム刑法(Islamic Penal Code)のPenal (ペナルティの「ペナル」)をPanel (パネリストの「パネル」)と勘違いし、「イスラム審査団規約」などと訳しているのです。そもそもイスラーム刑法が問題となっているシェイダさんのケースにおいて、こんな誤りは想像を絶します。そのほか、「the authorities」を全部「権威」と訳し、「権威が家宅捜索を行うことを事前に察知し……」などという訳も存在します。こんなことでは、他にどんな誤訳があるとも知れず、翻訳には全く信用性がないとすら言うことができます。
 こうした意味で、法務省の提出してきた証拠資料は、ほとんどが「張り子の虎」であるということが、徐々に分かってきました。量の膨大さにかどわかされず、じっくりと反論を練って行くつもりです。

■次の法廷は10月23日午後2時(1時30分集合)

 次回法廷は、これらの法務省提出の証拠資料にこちら側が反論をまとめ、また、反証となるような証拠資料を提出するのが趣旨となります。皆様、ぜひお越し下さい!!次回は10月23日午後2時(1時30分集合)、東京地方裁判所606号法廷となります。
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┃シェイダさん在留権裁判第21回口頭弁論(結審)┃ 
┃○日時:2003年10月23日午後2時    ┃
┃    (集合時間:午後1時30分)     ┃
┃○場所:東京地方裁判所6階606号法廷     ┃
┃(営団地下鉄霞ヶ関駅下車徒歩3分)      ┃
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┃第21回口頭弁論(結審)報告集会       ┃
┃○日時:2003年10月23日午後3時〜   ┃
┃○場所:弁護士会館5Fを予定         ┃
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******次号は近日中発行の予定です***

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シェイダさんを救え!ニュース・アップデイト
Save Mr. Shayda! The News Update
第55号 2003年11月1日発行(不定期刊)
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発行元 チームS・シェイダさん救援グループ
編集担当 チームS電子オフィス shayda@da3.so-net.ne.jp
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<今号の目次>
(1)シェイダさん裁判、ついに締めくくりへ
 〜双方とも証拠提出を終了〜
(2)結審を迎えるシェイダさん裁判
 〜結審・判決キャンペーンにご協力を!!〜
<共同声明集めます:詳細は以下のサイトをご覧下さい>
http://www.kt.rim.or.jp/~pinktri/shayda/shayda_joint_statement.html
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●バックナンバーが必要な方は電子オフィスまでお知らせ下さい。
●講読申込・講読中止などの手続は電子オフィスまでお知らせ下さい。

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(1)シェイダさん裁判、ついに締めくくりへ
 〜双方とも証拠提出を終了〜
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■法務省の「誤訳」を質したシェイダさん側

 シェイダさん在留権裁判は、2000年7月に開始されてから、ついに21回の口頭弁論を迎えました。
 前回、8月の第20回口頭弁論では、法務省側が、「これでもか」とばかりに30点もの証拠資料を提出。その中には、イラン人同性愛者の難民申請を却下した、オーストラリアの最近の判決が7つも含まれていました。また、同様の内容を含むスウェーデンやオランダの事例なども含まれていました。
 これに対して、シェイダさん側はまず各証拠を精査。すると、翻訳に一目見れば分かるような誤りが数多く含まれていることが分かりました。前号のニュースアップデイトでもお伝えしましたが、「Islamic Penal Code」(イスラーム刑法)の「Penal」を「Panel」(審査員)と勘違いして、「審査団規約」と訳すなど、驚くほど初歩的な誤訳が目立ったのです。
 こうしたことから、シェイダさん側は今回、法務省の提出したオーストラリアの判例に対抗して、イラン人同性愛者の難民認定が認められたオーストラリアの二つの判例を提出。また、法務省側の誤訳の事実を指摘し、訂正を求める準備書面を提出しました。

■次の法廷はついに「結審」

 法廷では、主任弁護人の大橋弁護士が、オーストラリアの二つの判例を証拠提出した上、準備書面を提出しながら誤訳の事実を指摘。これを聞いた市村裁判長は、「本件は翻訳の正確さが大切な事件ですから、被告側はよく調べた上、必要に応じて訂正を提出して下さい」とコメント。法務省側は、「わかりました」と応じました。誤訳の問題に関しては、やりとりはこれだけでした。
 裁判長はその後、本件について、両者の証拠提出を今回の法廷で締めくくることを提起。両者ともこれを受け入れ、次回法廷は「結審」ということになりました。
 裁判長は、両者に対して、これまでの主張をまとめる最終準備書面の提出を指示。被告側は、「今少し時間を下さい」と書面執筆のために時間をとることを要請。裁判長は、判決の執筆期間から逆算して、12月中に結審の法廷を開くことを提案しました。結局、次回の法廷は12月18日、午前10時から30分間、ということになりました。
 シェイダさん側は、原告シェイダさんの最終意見陳述を要請。この陳述の通訳に関して、どのような手続でこれを認めるか、少し議論がありました。しかし結局のところ、原告側の申請した通訳を裁判所が承認するという形で、正規の手続を少し緩和して通訳を採用することになりそうです。

■次回12月18日法廷に集まろう!!

 いよいよ、シェイダさん裁判も終盤を迎えます。これまで3年間、法務省側を凌駕して裁判を進めてきましたが、結審・判決に向けて、これまでの力の入った取り組みをなんとしても続けていきたいと思います。
 ぜひとも、12月18日、シェイダさん裁判結審の法廷にお集まり下さい!!
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┃シェイダさん在留権裁判第22回口頭弁論(結審)┃ 
┃○日時:2003年12月18日午前10時   ┃
┃    (集合時間:午後9時30分)     ┃
┃○場所:東京地方裁判所6階606号法廷     ┃
┃(営団地下鉄霞ヶ関駅下車徒歩3分)      ┃
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┃第22回口頭弁論(結審)報告集会       ┃
┃○日時:2003年12月18日午前10時30分┃
┃○場所:弁護士会館5Fを予定         ┃
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(2)結審を迎えるシェイダさん裁判
 〜結審・判決キャンペーンにご協力を!!〜
<共同声明集めます:詳細は以下のサイトをご覧下さい>
http://www.kt.rim.or.jp/~pinktri/shayda/shayda_joint_statement.html
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 シェイダさん裁判も、ついに第1ラウンドの終幕を迎えようとしています。長かったこの3年半……しかし、最後まで力を抜くわけには行きません。

■「裁判」のもつ二つの側面:「判決」は全てではない

 裁判には、二つの側面があります。提訴から結審までの主張や証拠の積み重ね、という蓄積的な、アナログ的な側面と、判決、という、一かゼロかのデジタルな側面です。マスコミを始め、多くの人々は、後者の、デジタルな側面でしか裁判というものを見ようとしません。「勝ちか負けか」……たしかに判決は裁判の決定的な要素の一つではあります。しかし、市民が行政の不条理を訴える裁判では、それに全てを賭けることはきわめてリスクの高い賭けであると言わざるを得ません。なぜなら、日本の裁判の多くにおいては、司法権の独立は形骸化し、行政の肩を持ってこと足れりとする裁判官がほとんどだからです。そのことを考えれば、全てを裁判官に託すのではなく、前者の蓄積的な側面において、市民側が行政側を圧倒しているという状況を、判決前にすでに作り出しておく、それによって、判決はどうあろうとも社会は、また問題を取り巻く状況はすでに変わっている、という状況を作り出しておく、ということが、私たちにとってきわめて重要であると言えます。
 シェイダさん裁判では、それがある程度出来ています。逮捕・収容後1年7ヶ月を経て、彼は様々な証拠の積み重ねから、国連難民高等弁務官事務所の事実上の難民認定を得て、収容所から仮放免されました。彼がイランに強制的に送還される可能性は非常に低いと言えます。裁判所はアメリカからはるばる人権活動家のエグテダーリさんを招へいして、証人尋問を行いました。シェイダさん側が出している証拠の数は、これまで10年間で欧米・オーストラリア・ニュージーランドなどで闘われたイラン人のゲイの難民認定を巡る数多くの裁判の中でも多く、この種の事件の「集大成」ということができると思います。この裁判は、英字新聞を中心に、マスメディアでも取り上げられています。

■法務省さん、これ以上シェイダさんをいじめないで!
〜シェイダさんに難民認定を キャンペーン〜

 このように実績を積み上げてきたシェイダさん裁判ですが、ここに来て、最後にこれまでで最大の力を集中させていく必要があります。上記のようには言うものの、判決の規定力は非常に大きなものがあります。もし敗訴すれば、短期間で終わることが予測されるものの、シェイダさんは再び収容される可能性があります。また、シェイダさんは今、一度却下された難民認定を再び申請中ですが、敗訴判決が出れば、法務省はこれみよがしに難民認定を却下してくるでしょう。また、こちら側が勝訴した場合には、法務省が控訴してくることはほぼ確実であると思われます。法務省がこれらの措置をとってくることを事前に封じ込めるために、私たちとしては、何らかの手を打たなければならないと思います。
 そこで私たちは、法務省に対して、シェイダさんを早急に難民認定することを求める共同声明を、皆様に呼びかけて募ることにいたしました。
 この共同声明の目的は、以下の通りです。

(1)シェイダさんの難民認定を求める。これにより、

○勝訴時については、法務省側に控訴を断念してもらう。
○敗訴時については、法務省側がシェイダさんを強制収容したり、強制送還したりすることがないようにする。
 というものです。私たちとしては、これまでシェイダさんをサポートしてくれていた方々を始め、様々なチャンネルを通じて、出来るだけインパクトのある形で共同声明を集め、法務省に提出していきたいと思っています。第1次集約は12月17日、結審の前の日です。

■共同声明の文面は以下の通り。用紙は、ウェブサイトからダウンロードできます。
 共同声明の文面については、以下を参照して下さい。また、用紙については、以下のウェブサイトからダウンロードできます。皆様、共同声明については、以下のようにお願いいたします。
http://www.kt.rim.or.jp/~pinktri/shayda/shayda_joint_statement.html

○ウェブサイトから用紙をダウンロードしてプリントアウトする。
○署名する。また、お知り合いの方から署名を集める。
○以下の「チームS」連絡先まで郵送する。
チームS・シェイダさん救援グループ
東京都中野区中央4-55-8滝田荘206稲場方
 ということで、出来るだけ多くの署名をよろしくお願いします!!

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◇▼◇▲◇▼◇▲◇▼◇▲◇▼◇▲◇▼◇▲◇▼
ジョイント・ステートメント
イラン人同性愛者シェイダさんに難民認定を!!
▼◇▲◇▼◇▲◇▼◇▲◇▼◇▲◇▼◇▲◇▼◇

 私たちは、イラン人同性愛者であるシェイダさんを難民として認定するよう、日本政府に要求します。
 イランには同性愛者を死刑とする刑法があります。欧米に拠点を置く亡命イラン人同性愛者の団体「ホーマン」によれば、1980年代で4000人もの同性愛者が処刑により命を落としました。また、イラン社会における同性愛者への差別や偏見は根強く、家族や友人にさえカムアウトすることは、私刑や密告などの大きな危険が伴います。一般市民の手で行われる同性愛者への私刑は、警察によって黙認されているのが現状です。
 シェイダさんは、このような弾圧から逃れて生き延びるためにイランを去りまし た。現在「ホーマン」の一員でもあるシェイダさんは、同性愛者であることをカムアウトしており、同性愛者であることを理由に2000年に難民申請をしました。この難民申請も、在留権も認められず、収容所に収容されてしまったシェイダさんは、同年7月、法務省を相手取って行政訴訟を起こしました。第1審が今でも続いています。難民認定については、異議申請が却下された後、シェイダさんは再び難民申請を行っています。その決定はまだ出ていません。
 シェイダさんが同性愛者であり、それを理由として難民申請をし、現在、裁判を行っていることは、すでに英字新聞などで報道されており、駐日イラン大使館を通じてイラン当局にも知られていると考えられます。従って、万一シェイダさんが強制送還された場合、迫害を避けることは困難な状況であると言えます。
 UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)は2001年、このような事情を抱えるシェイダさんを難民と認めました。これは、難民条約に定める難民の定義にシェイダさんが当てはまると国連が判断したことを意味します。
 シェイダさんには、生き延びる権利があります。これは基本的な人権であり、その権利を阻害することは許されません。日本が人権を重んじる国であるならば、また、 難民条約を遵守する国であるならば、母国で迫害の恐れのあるシェイダさんを難民と認定することは当然の義務であり、国際社会に対する責任でもあります。
一日も早くシェイダさんを難民として認定するよう、ここに強く要請します。
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<賛同申込票>
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○お名前
○ご連絡先(住所等)
○ご所属
○コメント
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******次号は近日中発行の予定です***

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シェイダさんを救え!ニュース・アップデイト
Save Mr. Shayda! The News Update
第56号 2003年12月6日発行(不定期刊)
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発行元 チームS・シェイダさん救援グループ
編集担当 チームS電子オフィス shayda@da3.so-net.ne.jp
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<今号の目次>
(1)シェイダさん在留権裁判「結審」は12月18日!!
 〜シェイダさんの最終意見陳述を、みんなで見に行こう!!〜
(2)結審・判決キャンペーンへのカンパのお願い
 〜最大の山場を乗り切るためにぜひともご協力を!!〜
(3)「シェイダさんに難民認定を!」共同声明にご協力を
 〜1人1人の力をあわせて法務省を追いつめよう〜
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●バックナンバーが必要な方は電子オフィスまでお知らせ下さい。
●講読申込・講読中止などの手続は電子オフィスまでお知らせ下さい。

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(1)シェイダさん在留権裁判「結審」は12月18日!!
 〜シェイダさんの最終意見陳述を、みんなで見に行こう!!〜
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 12月18日の午前10時(集合=9時30分)、「シェイダさん在留権裁判」第1審の結審の法廷が開かれます。この法廷で審理は全て終わり、あとは裁判官が判決を書いて、おそらく来年の2〜3月に、言渡しがあるだけとなります。
 シェイダさんと「チームS・シェイダさん救援グループ」、および弁護団は、結審に向けて、最後の調整を行っています。結審の法廷では、二つの大きなことがあります。

■シェイダさんの最終意見陳述

 シェイダさんは、今回の結審において、原告としての最後の意見陳述を行います。先日、シェイダさんは、意見陳述の原稿を書き上げました。イランの詩人の伝統に則って、おどろくほど格調の高い文章です。この原稿が朗読されるだけでも、この法廷は歴史的な法廷です。ぜひ、みんなに聞いて欲しいと思います。

■最終準備書面の提出

 弁護団では、これまでも法律論だけでなく、同性愛者の人権をめぐる歴史やイスラーム諸学、イラン現代史などの知見を交えながら、できるだけ創造性豊かな書面作りを心がけてきました。先方の官僚的で骨と皮ばかりの書面に対して、こちらの武器は、様々な社会が生みだしてきた水脈を最大限、豊富に取り入れているということです。今回提出する「最終準備書面」はその集大成となります。
 日本で初めて、同性愛者が難民として認められる権利をめぐって提起された「シェイダさん在留権裁判」、3年半の時間を経て、ついに結審です。多くの皆さんで、法廷を埋め尽くしましょう。

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┃シェイダさん在留権裁判第22回口頭弁論(結審)┃ 
┃○日時:2003年12月18日午前10時   ┃
┃    (集合時間:午後9時30分)     ┃
┃○場所:東京地方裁判所6階606号法廷     ┃
┃(営団地下鉄霞ヶ関駅下車徒歩3分)      ┃
┠───────────────────────┨
┃第22回口頭弁論(結審)報告集会       ┃
┃○日時:2003年12月18日午前10時30分┃
┃○場所:弁護士会館5Fを予定         ┃
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(2)結審・判決キャンペーンへのカンパのお願い
 〜最大の山場を乗り切るためにぜひともご協力を!!〜
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 3年半の時を経て、ついに結審・判決の時期がやってきました。非常に長丁場の裁判も、多くの方々の支援があってこそ、ここまでたどり着くことができました。「チームS」をあげて、裁判を支えていただいている皆様に感謝の意を表します。
 さて、結審・判決は裁判の締めくくりであり、これまでの真価が問われる最大の山場でもあります。また、判決の如何によっては、法務省が強制送還や収容に乗り出すといったこともあり得ますし、控訴をする必要に迫られる可能性もあります。
 また、裁判所に対して、「判決」に対する私たちの真摯な姿勢を理解していただく意味でも、また、法務省に対して、シェイダさんの難民認定に向けての私たちの強い意志を示していく意味でも、結審・判決に向けて、マスメディアなども活用した大きなキャンペーンを打っていく必要があります。
 
 「チームS」は3年半に渡る長い闘いの中で、昨年2月の在米イラン人証人エグテダーリ氏の招へいに関わる費用なども含め、多額の資金を使っており、すでにほとんど資金のない状況にあります。皆様の温かいご支援だけが、「チームS」の頼りです。大変申し訳ありませんが、本件結審・判決キャンペーンに対しまして、温かいカンパの方、心よりお願い申し上げます。

■カンパ要領 ────────────────────
◇以下の郵便振替口座にお振り込みいただければ幸いです。
 ・郵便振替口座:00100-2-554626
 ・口座名義:シェイダ基金
◇カンパ一口 5000円(この金額以下のカンパも、大歓迎です!!)
◇目標 150,000円
◇用途 
 ・広報用資料の作成・郵送、
 ・広報用ホームページの作成・更新、
 ・結審・判決キャンペーンに要する資材購入、
 ・可能性として控訴費用、法的手続の費用等

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(3)「シェイダさんに難民認定を!」共同声明にご協力を
 〜1人1人の力をあわせて法務省を追いつめよう〜
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 「シェイダさんを救え!ニュースアップデイト」前号(55号)において、結審・判決に向けて法務省に、シェイダさんを想う多くの人の声を集めて法務省に伝えるための共同声明へのご協力のお願いをいたしました。その後1ヶ月ほどたって、徐々に多くの方々の共同声明が集まってきています。
 まず、インターネットでの署名については、すでにウェブサイト上にインターネット署名のためのサイトができあがっており、このサイトを通じて署名をしていただいた方は、12月4日現在で214名にのぼっています。
○インターネット署名は以下のサイトから:
http://homepage2.nifty.com/%7Eislands/Team-S/subscription.html
○インターネット署名をされた方のお名前一覧は:
http://homepage2.nifty.com/%7Eislands/Team-S/subscribers.html
〜どうもありがとうございました〜
 また、紙・FAXによる署名についても、多くの方から寄せられています。現在までに、紙・FAXで寄せられた署名数は147名にのぼっています。合計で現在、361名の署名が集まっています。
○紙・FAXでの署名については、まず以下のサイトにアクセスして下さい。
http://www.kt.rim.or.jp/%7Epinktri/shayda/shayda_joint_statement.html
○その上で、ワードのある方は、
http://www.kt.rim.or.jp/%7Epinktri/shayda/joint_statement.doc
に、ワードのない方は、
http://www.kt.rim.or.jp/%7Epinktri/shayda/nonword.html
にアクセスしてダウンロード・印字の上所定の事項をお書きになって郵送して下さい。
 この共同声明については、一応、12月17日に第1次集約ということになっています(第1次集約までに500を目標にしています)。また、判決の日程が決まったら、その前に法務省との交渉を入れ、法務省に提出する予定となっています。ですから、第2次集約は2月となる予定です。可能ならば、署名数1000を達成できればと思っております。皆様、是非ともご協力のほど、よろしくお願いします!!

*****第57号は近日中に発送の予定です*****

"Liberation: no child is ever too young to think about this: it is the only way he can truly experience himself as he collects, breaks, rejects, assimilates and cries to discover himself. We must teach our children to hate all those things which prevent them from loving and to love all those things that make it possible for them to love freely."
Ngugi wa Thiong'o "Petals of Blood", Nairobi, Kenya 1977

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シェイダさんを救え!ニュース・アップデイト
Save Mr. Shayda! The News Update
第57号 2003年12月19日発行(不定期刊)
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発行元 チームS・シェイダさん救援グループ
編集担当 チームS電子オフィス shayda@da3.so-net.ne.jp
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<今号の目次>
(1)歴史的な判決は2月25日午後1時15分から
 〜日本初の同性愛者の難民認定を巡る裁判の判決、ぜひ生で聞こう!〜
(2)いつ、どこにいても、愛する人に花を贈ることができる未来を
 〜シェイダさん最終意見陳述全文〜
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●バックナンバーが必要な方は電子オフィスまでお知らせ下さい。
●講読申込・講読中止などの手続は電子オフィスまでお知らせ下さい。

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(1)歴史的な判決は2月25日午後1時15分から
 〜日本初の同性愛者の難民認定を巡る裁判の判決、ぜひ生で聞こう!〜
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 昨日(12月18日)午前10時より、東京地裁第606号法廷において、シェイダさん在留権裁判の第22回口頭弁論が開かれました。結審となるこの法廷では、原告シェイダさん側、および法務省側が、この3年半の間に積み重ねた主張や証拠をまとめた最終準備書面を提出。そして、シェイダさんが第1審における最後のメッセージとして、最終意見陳述を行いました。

■判決は2月25日午後1時15分に

 この法廷で最も重要なのは、判決の日程が決まったということです。
 判決は、2月25日の午後1時15分。提訴から3年8ヶ月を経て、同性愛者が難民として認められる権利を問うた日本初の裁判についに法廷の判断が下ります。皆様、ぜひとも判決に足をお運び下さい!!

■60ページにおよぶ最終準備書面を提出

 シェイダさん側の最終準備書面は、これまでの主張及び証拠を集大成したもので、合計60ページに及ぶ大作です。
 この裁判は、直接には日本の難民制度や入国管理体制について争うものですが、それだけでなく、世界の難民制度、同性愛者の権利獲得運動、イランやイスラーム世界の現代史や思想の結節点として存在してきました。この準備書面は、この裁判によって結び合わされている現代世界の多様な要素を大きく反映したものとなっています。
(書面の内容にご関心のある方は「チームS電子オフィス」までお問い合わせ下さい:pinktri@kt.rim.or.jp)

■主張が鮮明になった法務省の最終準備書面

 一方、法務省の最終準備書面は30ページとシェイダさん側の半分、内容も法律論のみですが、これまでとの違いは、これまで法務省が曖昧にしてきた主張を鮮明にし、真っ向から勝負をかけてきたというところです。例えば、これまで「石打ち刑は拷問等禁止条約に違反するかどうかわからない」としてきたところを「石打ち刑は拷問等禁止条約に違反しない」と明確に主張してきました。
 「イランでは同性愛者は迫害されていない」「石打ち刑は拷問ではない」……このようなことを鮮明に言って裁判に勝てるのかどうかはともかく、主張が鮮明になったのは、わかりやすくなって好ましいとは言えます。

■シェイダさんの最終意見陳述

 この法廷では、シェイダさんが最終意見陳述を行いました。シェイダさんはペルシア語で陳述し、原告側が推薦した通訳がこれを翻訳しました。
 次の項でシェイダさんの陳述の全文を掲載しますが、内容はペルシアの詩の伝統、第3世界の解放運動の伝統に従ったきわめて格調の高いものです。この陳述が法廷で行われたということだけでも、この裁判の歴史的価値はあると思います。是非とも次の項をお読みいただければ幸いです。

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■◇シェイダさん在留権裁判 判決言渡◇■
○日程:2004年2月25日午後1時15分〜
 (集合:12時45分 必ず1時までに来て下さい)
○場所:東京地方裁判所第606号法廷
(営団地下鉄霞ヶ関駅下車徒歩3分)
■◇シェイダさん在留権裁判 判決後記者会見◇■
○日程:2004年2月25日午後1時40分〜
○場所:司法記者クラブ(東京地裁2F)
■◇第13回口頭弁論報告集会◇■
○日時(予定):2004年2月25日午後2時15分〜
○場所:弁護士会館5Fを予定
(営団地下鉄霞ヶ関駅下車、地裁裏)
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(2)いつ、どこにいても、愛する人に花を贈ることができる未来を
 〜シェイダさん最終意見陳述全文〜
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 以下、シェイダさんの最終意見陳述です。日本の難民訴訟史上、また、同性愛者の権利運動史上、歴史的な陳述といえると思います。ぜひとも目を通していただければ幸いです。

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第22回口頭弁論(結審)最終意見陳述
シェイダ
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1 尊敬すべき裁判所の皆様、ここにお集まり下さった皆様に、ご挨拶申し上げます。

2 3年を越える歳月を、私は待ち続けました。そしてついに、裁判官のご判断をうかがうことができる日が、やってこようとしています。この長きにわたった年月の間、私の祖国、イラン・イスラーム共和国の体制、人間をうち砕き、死に至らしめる機械のようなその体制には、いささかの改革も見出すことはできませんでした。

3 裁判長殿。私たちが生きるこの時代には、人権に関わる問題は、いつも政治的な思惑によって、様々な圧力をかけられてしまいます。真実は、現在世界を動かしている政治権力に都合のよいことしか明らかにされず、人々に知らされることはありません。人権に関わる問題は、既成のものの考え方を揺るがさない限りにおいてしか、正当なものとして扱われません。さらに、人々の心が既成のものの見方、考え方に捉えられ、それを当然のものとして受け入れていることが、このような現代世界の政治のありかたを、さらに強固なものとしています。世界の国々は、人権のためと称して、豪華なホテルの洒落た部屋の中で会議を開いています。しかし、そこで彼らがやっているのは、人権問題の重さを自国の経済的・政治的利益に都合がよいように変更し、第三世界と名づけて作り上げられた地獄がどれほど人権を遵守しているのか、高みから点数をつけることだけなのです。

4 裁判長殿。イランでは、同性愛者たちが生きてゆくことのできる環境は、法的にも、社会的にも、これまで存在したことはありませんでしたし、今もなお、存在しません。日本の法務省はその書面で、テヘランにある「ダーネシュジュー公園」という公園について、「イランの同性愛者たちが集まる場所だ」と指摘しましたが、いまやこの公園は、イスラーム寺院の公園へと変えられようとしています。それ以前にも、この公園は、同性愛者ではなく、イスラーム革命防衛隊、革命委員会の兵士たちが集まる場所でした。イランにある、ほかの大きな公園でも、今ではイスラーム寺院が建設されつつあります。

5 裁判長殿。同性愛者を処刑する法律は、私たちイランの同性愛者たちの首に押しつけられた刃であり、私たちは、毎秒のように、その刃が今にもこのうなじに振り下ろされるのではないかと怯えながら生きてゆくことを強いられています。同性愛者たちが健全に生活をすることができる環境はまったく存在せず、社会は同性愛者たちと向き合い、話しあおうという意志も持ちません。もっとも近しい人たちにすら、私が誰で、どのように感じているのかを、うち明けることが出来ないのです。このような場所で生きている私たちに対して、なぜあなた方は言うことができるのですか、イラン人同性愛者は、難民ではない、と。

6 裁判長殿。イランのイスラーム体制に対する抵抗組織で活動するということは、拷問と死刑の危険にさらされるということを意味します。何千人という政治犯が大量虐殺されているのをご覧になれば、それはすぐにおわかりになるでしょう。よろしければ、あなたご自身でイランにいらしてみて下さい。あの国に入国したまさにその瞬間、おわかりになるはずです。イランでは、不安を抱くことなく、ただ気楽に通りを歩くということすらできません。イスラーム革命防衛隊、風紀監視隊、民衆動員軍、警察、革命警備隊などが絶えずパトロールしており、イランをまるで巨大な牢獄のようにしているのです。まさにそれは、サルバドール・ダリが描いた、空想の城壁のようです。どんな場所でも、ちょっとした片隅にさえも、牢獄の壁があり、看守が立っています。そして、個人の生活のもっとも些細な部分にさえ、介入してこようとするのです。

7 裁判長殿。1951年に発せられた難民条約の第1条で、難民は、次のような人間であると定義されています。「[難民とは、]人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること、および政治的意見により、十分に理由のある迫害の恐れを有するため、国籍国の外におり、国籍国の保護を受けることができない、もしくは保護を受けることを望まない者である。」 この条項に従えば、同性愛者であり、そしてイラン人の同性愛者人権擁護団体「ホーマン:イラン同性愛者人権擁護グループ」の活動家である私は、難民に他なりません。難民として認められることは、私の権利なのです。

8 裁判長殿。誰でも人間であるなら、生まれながらに人を愛し、自分の意志に従って生きる権利を持ち、そのすべをそれぞれの人生の中で、自然に学んでゆくものです。しかし私は、母国において、この人間の基本的な権利さえ与えられず、どのように愛し、生きればよいのかを、考えることさえも許されていませんでした。私は願っています、裁判所の判決が、恐怖も不安もなく、自由に生き、自由に愛することを学ぶ権利を、私に与えて下さることを。私は願っています、私の裁判の判決が、未来のための第一歩となることを。その未来とは、あらゆる人が、誰に対しても、どのような場所においても、愛する人が欲しいと思う花を贈ることができるような未来。花を贈られた人が、世界のどこにいようと、微笑んでお礼を言うことができるような未来。そして、その時、その微笑は、その人の一番美しい微笑であるという、そのような未来です。自らの意志によって生き方を決めることができ、投獄や死の恐怖に怯えることもない、そのような未来です。

9 私が今日ここで最後の意見陳述をする時間を与えて下さったことに、心より感謝いたします。そして、ここに集まって下さった方々、私の話に耳を傾けて下さったことに、心よりお礼申し上げます。
(原文ペルシア語)

***ニュースアップデイト58号は近日中発行の予定です***

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シェイダさんを救え!ニュース・アップデイト
Save Mr. Shayda! The News Update
第58号 2004年2月10日発行(不定期刊)
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発行元 チームS・シェイダさん救援グループ
編集担当 チームS電子オフィス shayda@da3.so-net.ne.jp
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<今号の目次>
(1)シェイダさん在留権裁判 判決迫る!!
 〜判決当日に向けたスケジュール等、お伝えします!!〜
(2)「判決」がもつ法律的意味
 〜シェイダさんの難民認定を求め、再収容を許さない取り組みが必要〜
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●バックナンバーが必要な方は電子オフィスまでお知らせ下さい。
●講読申込・講読中止などの手続は電子オフィスまでお知らせ下さい。

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(1)シェイダさん在留権裁判 判決迫る!!
 〜判決当日に向けたスケジュール等、お伝えします!!〜
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 季節の移り変わりも早いもので、前号(57号)を出してから2ヶ月。年も変わり、東京では少し早いですが春の香りがしてきました。シェイダさん在留権裁判の判決も、あと2週間と迫ってきています。
 12月に結審・最終意見陳述も終わり、あとは判決を待つだけ……しかし、「判決」にはシェイダさんの在留権というきわめて重要なものがかかっています。決意を新たにして取り組みたいと思います。
 今号の「ニュースアップデイト」では、判決に向けたスケジュールをお伝えします。判決は裁判の中で最も重要なポイントです。皆様、是非ともご協力よろしくお願いします!!

■(1)2月13日 法務省交渉

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・集合:11時20分(必着)弁護士会館1Fロビー
・会場:11時30分 法務省本館1Fロビー(近くの会議室になります)
※弁護士会館への行き方:営団地下鉄霞ヶ関駅B1-b出口下車、1Fロビーへ。ちなみに法務省は、弁護士会館の並びの一番皇居側にある四角い建物です。
※来られる方は、必ず11時20分までに弁護士会館1Fロビーに来て下さい。そこでそろった上で法務省に向かいます。
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 判決前に来る最大のポイントは、シェイダさんの難民認定を求める法務省交渉です。難民認定に関するシェイダさんの状況は、2000年4月の難民申請および異議申し出を却下され、すぐに再申請を行って(難民申請自体はなんどでもできる)申請中の状態がずっと続いています。シェイダさんは2002年9月に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の事実上の難民認定を受けており、日本政府も当然、難民認定をすべきです。
 チームSでは、判決に当たって、シェイダさんの在留権を求める共同声明を集め、皆様のご協力で、署名用紙による署名411、電子署名274(1月26日現在)の合計685筆の署名を集めました(協力いただいた皆様、本当にありがとうございました)。
 この法務省交渉では、チームSで集めた署名を提出し、法務省に対して、判決の如何に関わらず、シェイダさんの難民認定を求めます。また、在留権の付与、および敗訴した場合でもシェイダさんを再収容しないことを強く求めます。
 なるべく多くの方々の参加が必要です。皆様、是非ともよろしくお願いします。(参加される方、以下の参加申込票に所定の事項をお書き込みの上、ご返送下さい)

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<法務省交渉 参加申込票>
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○お名前
○ご所属(あれば)
○ご連絡先(携帯、メール等)
○コメント
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■(2)2月25日 シェイダさん在留権裁判 第1審判決

(前号から若干時間帯が変わりました)
 2月25日(水)午後1時15分から、東京地方裁判所第606号法廷にて、シェイダさん在留権裁判の第1審判決が言い渡されます。勝つにせよ、負けるにせよ、非常に重要な法廷ですので、皆様ぜひとも足をお運び下さい。歴史的な裁判の判決を生で見ましょう!!
 なお、当方で法廷への集合時間を12時40分と設定しました。判決といえども、他の裁判と一緒になる可能性があり、他の裁判の傍聴者と競合する可能性があります。なるべく集合時間ごろにきていただくことが適切です。よろしくお願いします。
 また、記者会見・報告集会を以下のスケジュールで予定しています。(前号のお知らせから若干時間が変わりました)

○シェイダさん在留権裁判 第1審判決
※集合時間:2月25日12時40分
※開廷時間:2月25日午後1時15分〜(約5分程度)
※場所:東京地方裁判所第606号法廷
・〒100-8920 東京都千代田区霞が関1-1-4
・行き方:営団地下鉄霞ヶ関駅下車、A1出口を出てすぐ(法廷は6F)

○シェイダさん在留権裁判 原告側記者会見
※時間:2月25日午後1時45分〜(30分以内)
※場所:司法記者クラブ
・東京地方裁判所正面入口を入ってホール右手の階段を上がって2F

○シェイダさん在留権裁判 報告集会
※時間:2月25日午後2時30分〜3時30分
※場所:弁護士会館10階 東京第2弁護士会1006号室AB
・東京地方裁判所裏、法務省の並びにある「弁護士会館ビル」の10F

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(2)「判決」がもつ法律的意味
 〜シェイダさんの難民認定を求め、再収容を許さない取り組みが必要〜
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 ここでは、「判決」というものが持つ法律的意味について触れ、「判決」がどんなことを引き起こすのか、簡潔にまとめてみたいと思います。

■判決における「勝ち・負け」の判定

 行政訴訟の判決は、民事訴訟と同じく、あっけないほど早く終わります。刑事訴訟の場合、判決全文を法廷で朗読しなければならないことになっているため、ものによっては非常に長くかかる場合もありますが、行政訴訟は主文だけ朗読すればよいので、すぐ終わるわけです。
 さて、裁判官は、判決といえども法律用語で言い渡します。「原告の勝ち!」「被告の負け!」などと言ってくれるなら非常にわかりやすいのですが、そんな風には言いません。裁判官が何と言えば勝ちで、何と言えば負けなのか、ということを頭に入れておく必要があります。
 原告シェイダさん側が勝訴する場合、裁判官は次のようなことを言います。
「被告法務大臣が平成12年7月3日付けで原告に対して為した出入国管理および難民認定法49条1項に基づく原告の異議申し出は理由がない旨の裁決を取り消す。被告東京入国管理局主任審査官植村幹雄が平成12年7月4日原告に対してなした退去強制令書発付処分を取り消す」
 原告シェイダさん側が敗訴する場合には、裁判官は次のようなことを言います。「原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」
 ということで、基本的には、裁判官が「ひ」から始めれば勝ち、「げ」から始めれば負け、ということになります。この訴訟は行政訴訟ですので、中間的な表現はないと思われます。

■「判決」で何が決まるのか

○前提:行政権力に都合の良い日本の行政訴訟制度

 「判決」で何が決まるのかについては、少し説明が複雑になります。
 日本の司法制度は、市民として闘う側から見れば、行政にとって非常に都合良くできています。行政訴訟の相手は政府。それも、日本の政府は、クーデターとか革命ですぐ崩壊したり政権交代で体質が変わったりするような適当な政府ではありません。極端に堅固な権力と基盤を有する、世界でも稀なほど強力な政府です。訴訟の最中に政府がなくなったり、急に方針が変わるなどということはほぼありません。それに対して、訴える側は市民です。裁判以外に、仕事や家庭、自分の健康などの問題を抱えており、日本政府と比べれば、吹けば飛ぶような小さな存在です。
 行政訴訟では、事実上全く力量が違うこの二つの存在を、形式的平等ということで同じ土俵に並べ、両方に三審制を保障します。さらにひどいことに、一回の裁判で行政処分が覆ると行政の円滑な運営に支障が出るからなどという理由で、行政処分に「公定力」と称する効力を認め、たとえ国側敗訴の判決が出ても、それが確定しないかぎり、その行政処分は有効なまま据え置かれることになっているのです。つまり、第1審で勝っても、法務省側が控訴してしまえば、強制送還の処分が取り消されるわけではないのです。ですから、シェイダさん側が勝った場合には、以下のようなことが起きます。
○シェイダさん側が勝って法務省が控訴した場合

 ですから、原告シェイダさんが第1審で勝っても、法務省が控訴してしまえば、強制送還の処分は執行されないものの、争われている状態が続くことになり、現在の状態がそのまま続くことになります。ただ、シェイダさん側が勝訴した場合には、法務省が控訴したとしても、強制送還処分の執行は事実上できませんから、再収容などの事態は生じないことになります。
○シェイダさん側が勝って法務省が控訴しなかった場合(判決が確定)
 一番いいのは、法務省側が控訴しないで、シェイダさん側の勝訴判決が確定することです。そうすれば、シェイダさんに対する強制送還の処分は取り消され、なかったことになります。法務省はもう一度在留権に関する判断をしなければなりませんが、この場合、在留権を認めない判断は違法なのでできず、必然的に、シェイダさんに在留権を認める可能性が著しく高くなります。
 
○シェイダさん側が負けた場合

 シェイダさん側が負けた場合には、非常に厳しい状況に陥る可能性があります。
 法務省が行った強制送還処分(退去強制令書の発付)が合法だ、ということになるわけですから、法務省はしかめっ面で「粛々と法を執行する」といいつつ、内心は大喜びで強制送還の執行に着手することになります。強制送還の手続きは、収容と送還の二つで成り立っています。シェイダさん側は当然、控訴をした上、強制送還の処分の執行停止を裁判所に求める手続きを行うことになりますが、裁判所は、送還の停止は認めても、収容の停止は認めないのが普通です。ですから、法務省が強制送還の執行に着手すれば、シェイダさんの強制収容所への再収容の可能性は十分にある、ということになります。実際、このような形で裁判に負けた外国人が、控訴をしていても、国連難民高等弁務官事務所の難民認定をもらっていても、強制収容所に再収容されたケースはいくつかあります。敗訴した場合、私たちはシェイダさんが再収容されないように最大限の努力をする必要があります。

○第3国出国はあり得るのか

 では、第1審で敗訴した場合、第3国への出国は可能になるのでしょうか。
 第3国に出国できるのは、他国がシェイダさんを難民と認め、引き取る場合ですが、まず、日本にいる外国人の難民申請を大使館で受け付けているのは、知る限りカナダとオーストラリアしかありません。また、難民保護の第一義的な責任は難民の居住する国にあります。シェイダさんの場合、それは日本であり、日本が責任を果たすことが求められるため、他国が、「日本が責任を果たしていないから、わが国がやる」といってシェイダさんを難民として引き取る、という選択をわざわざするとは思えません。最終的にシェイダさん敗訴の判決が確定すれば、日本においてシェイダさんが救済される行政的・司法的な道がいずれも完全に閉ざされたということになりますから、手をさしのべてくれる第3国も存在するかも知れませんが、第1審判決だけという場合は、第3国出国の道は非常に狭い、と言えるでしょう。先進国の多くが途上国の一般の人々(実は、専門技術を持っている途上国の人の先進国への受け入れはどんどん増えているのですが)への門戸をいずれも閉ざそうとしている中で、第3国に過剰な期待をすることはできません。

■結論:勝つことと、声をあげること

 やはり、最もよい道筋は(1)勝訴判決を勝ち取ること、(2)法務省に対して「控訴するな」という広範な声を組織し、法務省に控訴を断念させること、にあります。判決はいわば「時の運」ですので、過剰に期待することはできませんが、勝った場合には、「法務省は控訴するな!!」「これ以上、シェイダさんをいじめないで!」の声をあげていくことが大変重要です。
 いずれにせよ、今は判決を見守る段階です。皆様、是非ともご注目をお願いします!!
***第59号は近日中発行の予定です***

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シェイダさんを救え!ニュース・アップデイト
Save Mr. Shayda! The News Update
第59号 2004年2月15日発行(不定期刊)
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発行元 チームS・シェイダさん救援グループ
編集担当 チームS電子オフィス shayda@da3.so-net.ne.jp
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<今号の目次>
(1)「イラン人ゲイ難民申請者シェイダさんに難民認定を!!」
 共同声明を法務省に提出!!
 〜ご協力、本当にありがとうございました!!〜
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●バックナンバーが必要な方は電子オフィスまでお知らせ下さい。
●講読申込・講読中止などの手続は電子オフィスまでお知らせ下さい。
●シェイダさん裁判の経過を知りたい方は、
・すこたん企画シェイダさんページ
 http://www.sukotan.com/shayda/shayda_top.html
・果てしなき移民たちのためのホームページ
 http://www.kt.rim.or.jp/~pinktri/afghan/index.html
 をご覧下さい。

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「イラン人ゲイ難民申請者シェイダさんに難民認定を!!」
共同声明を法務省に提出!!
〜ご協力、本当にありがとうございました!!〜
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■共同声明に700名近くの人から賛同〜本当にありがとうございました

 「チームS・シェイダさん救援グループ」では、昨年10月末より、法務省に対してシェイダさんを早急に難民として認めるように要求する共同声明「イラン人ゲイ難民申請者シェイダさんに難民認定を!」への参加の呼びかけを行ってきました。
 この共同声明を行った理由はいくつかあります。第1審の判決がこの25日に迫っています。シェイダさんは現在、裁判所の命令により、「退去強制令書」(強制送還の命令)の執行を停止されている状態ですが、この執行停止は第1審判決を期限としています。判決の如何によっては、退去強制令書が再び執行される状態になります。強制送還はなくても、再び収容されることはあり得ます。また、シェイダさんが勝訴した場合には、法務省が控訴して裁判が長期化する可能性は非常に高いのです。
 シェイダさん勝訴の場合の法務省側の控訴、敗訴の場合の再収容……こういった非道をやめさせるためには、多くの人々の声を集める以外に方法はありません。「収容をやめよ」「控訴するな」……こうした声を法務省に届けるために、チームSとして、この共同声明を行いました。
 共同声明は直筆・FAXによる賛同とインターネットによる賛同の二つの方法で集めました。3ヶ月半で、直筆・FAXによる賛同が444通、インターネットによる賛同が301通、それぞれ集まりました。この二つには重なりもありますが、合計で700名近くの人がこの共同声明に賛同を表明してくれたことになります。
 共同声明に賛同してくれた皆さま、本当にありがとうございました!!皆さまの良心と共感を、法務省に届けてきました。

■法務省との話し合い:時間は10分弱

 2月13日(金)、共同声明の提出と意見交換のために法務省に赴きました。チームS側は、主任弁護人の大橋先生を含め合計5名が法務省に行きました。
 法務省との話し合いを取り次いでくれたのは参議院議員・社会民主党党首の福島瑞穂さん。福島さんは、難民や出入国管理の問題について、国会議員として積極的に活動してくれており、シェイダさんの件についても、今まで数回に渡って法務省との橋渡しをしてくれたことがあります。署名提出・意見交換にも、福島さんと秘書の方が付き添ってくれました。
 法務省側からは、入国管理局の難民認定室長、佐々木大介氏が署名の受け取りと若干の意見交換ということで出てきました。
 佐々木氏がとってくれた時間は、しかし、11時40分から50分までのわずか10分間。福島さんからの強力なコメントののち、私たちは佐々木氏に対して共同声明を手渡し、それぞれから若干のコメントを行いました。
 福島さんやチームSからの「シェイダさんを難民認定して下さい」というコメントに対し、佐々木室長は「こちらからのコメントは特にない。皆さんの意見は伺ったので、しかるべきときに当方で判断いたします。」時間が来たので退出していきました。国会対策などで忙しいようです。
 日本の難民認定数は、前室長の時代までは、わずかとはいえ上昇カーブを描いていましたが、佐々木室長の就任後、昨年度の難民認定数は一昨年度の半分強にまで落ち込んでしまいました。入管難民法の改訂議論が国会でなされていた時期でもあり、難民認定を先送りしたという実情はあるとはいえ、室長のポリシーが一定影響していると思われます。
 法務省への共同声明と申し入れ。これによって、私たちは「シェイダさんを難民認定せよ」「控訴、再収容をするな」という声を法務省に響かせてきました。共同声明へのご協力、皆さま本当にありがとうございました。また、提出・申し入れへの労をとってくれた福島さんと秘書の方にも、心からお礼を申し上げます。
 判決まであと11日。よい判決が出ることを、私たちは心から願っています。

***60号は近日中に発行の予定です***

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【速報】シェイダさん在留権裁判1審 不当判決
シェイダさんを救え!ニュース・アップデイト
Save Mr. Shayda! The News Update
第60号 2004年2月22日発行(不定期刊)
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発行元 チームS・シェイダさん救援グループ
編集担当 チームS電子オフィス shayda@da3.so-net.ne.jp
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<今号の目次>
(1)シェイダさん在留権裁判1審 不当判決に終わる
(2)1審判決にあたってのシェイダさんおよびチームS記者会見声明
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●バックナンバーが必要な方は電子オフィスまでお知らせ下さい。
●講読申込・講読中止などの手続は電子オフィスまでお知らせ下さい。
●シェイダさん裁判の経過を知りたい方は、
・すこたん企画シェイダさんページ
 http://www.sukotan.com/shayda/shayda_top.html
・果てしなき移民たちのためのホームページ
 http://www.kt.rim.or.jp/~pinktri/afghan/index.html
 をご覧下さい。

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(1)シェイダさん在留権裁判1審 不当判決に終わる
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 2月25日(水)午後1時15分から、東京地方裁判所第606号法廷において、シェイダさん在留権裁判の判決が言い渡されました。
 「原告の請求をいずれも棄却する。訴訟費用は原告の負担とする」
 わずか2〜30秒で終わった法廷。4年近くにわたったシェイダさん在留権裁判第1審は、原告シェイダさん側の敗訴に終わりました。
 判決の内容は、実に低劣なものです。判決は、根拠なく、イランにおいて同性愛者が迫害の危険にあう可能性は少ない、と述べ、シェイダさんがイランに帰国しても、安全な生活が出来る、と断じます。また、シェイダさんが同性愛者としてカミングアウトしており、さらにイラン・イスラーム刑法におけるソドミー(同性愛者の処刑)規定を廃止するべきとの主張を公然と行っている、という点に関しては、これらの事実自体は認定した上で、これを原告の「性表現」とまとめ、「性表現」に関しては各国がその状況に照らして規制の基準を作って良いのであって、原告がカミングアウトしたり、イスラーム刑法におけるソドミー規定に反対することに対する抑圧は「迫害」には値しない、という判断となっています。同性愛者の人権の確立に向けた主張を矮小化し、普遍的に認められるべき政治的自由の範疇から排除するという、社会通念上もありうべからざる愚劣な、恥ずべき判決であると言えます。
 同性愛者が難民条約上の「特定の社会的集団」であるかどうか、また石打ち刑が「拷問等禁止条約」上の残虐な刑罰にあたるのか、という点については、そもそもイランは同性愛者にとって危険な国ではないから、という理由で、判断する必要なしとして退けられました。
 判決に対する詳細な分析・批判は別途作成いたしますが、この4年間、私たちが積み上げてきた様々な主張・証拠が、上記のようなあまりに低劣な議論によって覆され、シェイダさんから在留資格を剥奪する「判決」として宣告されてしまったことに、徒労感と絶望感を覚えずにはいられません。
 とりあえず、上記を速報としてお伝えいたします。詳細については追ってお知らせいたします。

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(2)1審判決にあたってのシェイダさんおよびチームS記者会見声明
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 判決に引き続き、裁判所内の司法記者クラブにおいて、原告シェイダさんおよび支援団体であるチームS・シェイダさん救援グループは、以下のような声明を発表しました。


○原告シェイダさん声明

人権が認められていないこの国で、私が裁判で勝訴判決を得ることが出来るとは、そもそも考えていませんでした。ですから、敗訴判決を受けたからといって、私は何ら失望していません。今後は日本ではなく、難民の人権を守る国を探したいと思います。


○チームS・シェイダさん救援グループ声明

▼シェイダさんの支援団体であるチームS・シェイダさん救援グループとして、敗訴判決に対して深い悲しみと強い怒りを表明する。

▼イラン・イスラーム共和国では、イスラーム法の施行を絶対視するヴェラーヤテ・ファギーフ体制(「イスラーム法学者による統治」体制)の下、同性愛者は差別され、迫害され、虐殺されてきた。同性愛者は、石打ち刑を始め、火炙りや断崖からの投擲といったあたう限り残虐な方法で殺されてきた。

▼いまイランでは、国会議員選挙を巡って、改革派に対して、ヴェラーヤテ・ファギーフ体制の護持を主張する保守派の巻き返しが強まっている。保守派とは、たんなる聖職者の集まりではない。革命防衛隊、民衆動員軍、アンサーレ・ヒズボッラーといった準軍事組織が、イスラーム体制を国民に力で押しつけている。同性愛者への迫害は今後、強化されることは明白である。

▼このようなイランの状況に照らして、同性愛者の活動家として、自己の性的指向を明らかにし、刑法の同性愛者処刑条項の撤廃を公然と主張しているシェイダさんが帰国すれば、極刑に処せられることは明らかである。シェイダさんは欧米に拠点を置くイラン人同性愛者難民の人権団体「ホーマン・イラン同性愛者人権擁護グループ」の公然たるメンバーなのである。

▼ところが、わが法務省は、イランでは同性愛者は処刑されていないという異端的な説を繰り返し主張し、さらには、同性愛者は難民条約に言うところの「特定の社会的集団ではない」と主張し、石打ち刑は拷問等禁止条約にいうところの拷問や残虐な刑罰にあたらないとまで主張した。このような主張は、すべて真実に基づかない愚劣なものである。

▼注目すべきは、「性的指向を隠してさえいれば弾圧されない」という主張である。性的指向を表明し、同性愛者の権利確立のために取り組むことは、同性愛者にとって必須の政治的権利である。法務省は、人間には誰しも備わっているこの権利を追求することを、同性愛者に対しては認めないと主張するのである。欧米では、同性愛者であること、また同性愛者の権利を主張することによって迫害を受ける十分に理由のある恐怖を有する難民を数多く受け入れている。日本でも、宗教や政治的な迫害を理由に、数名のイラン人難民が受け入れられている。性的指向による迫害については難民の理由として認めないという法務省の主張は、同性愛者に対する差別以外の何ものでもない。

▼法務省が、公然と同性愛者差別を行い、嘘とペテンで塗り固めてまで擁護しなければならない入管体制とは、難民を強制送還してまで守り抜かなければならない「難民鎖国」とはいったい何なのか。法務省は、こうした難民鎖国政策が、グローバル化と人口減少時代において、長期的には日本国家それ自体を衰退に追い込むことにつながっていることに、未だ気づいていない。

▼我々は、難民鎖国の閉ざされた門をこじ開け、シェイダさんを難民として受け入れさせるために、最後まで闘い抜く。

▼最後に、悲しむべき本日の判決を弾劾して、以下のイラクの現代詩人バドル・シャキール・アッ・サイヤーブの詩を捧げる。

  ああ 無言の 無言の墓地よ 汝等の悲しき小道で
  おれは吼える 叫ぶ 叫び 悲嘆の声をあげる
  沈黙のうちで おれは聞く
  闇の中に散らばる厳しい雪
  孤独の足音が鳴り響く
  あたかも鉄と石でできた獣が
  生命を啖らうように 命のかけらすらない 夜も
  昼も

***第61号は近日中発行の予定です***

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シェイダさんを救え!ニュース・アップデイト
Save Mr. Shayda! The News Update
第61号 2004年4月4日発行(不定期刊)
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<今号の目次>
(1)最近のシェイダさんの状況
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(1)最近のシェイダさんの状況
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 皆さまこんにちは。2月25日の「第1審判決」以降、ニュースアップデイトの発行が遅れて申し訳ありませんでした。近況や今後の支援運動の方向性についてどうなっているのだろうと疑問を持たれた方も多いかと思います。以下、最近の状況について短信します。

■収容はされず:3月のシェイダさん

 「敗訴判決」で、短期的に一番心配だったのが「収容」です。近年、入管当局の凶暴化はますます深刻になっており、UNHCRの事実上のマンデート難民に指定されていた人でも、敗訴判決後収容されるなどのケースも若干、存在しています。シェイダさんも、「大丈夫大丈夫」といいつつも、収容の危険についてかなり心配していました。
 法務省が「収容」を決めてしまえば、私たちにはどうすることもできません。チームSとしては、シェイダさんの仮放免の更新については、東京入国管理局に同行して見届ける、というのが精一杯でした。
 3月明けて最初の出頭日、シェイダさんの仮放免が更新されず、仮放免が認められた最後の日に再度出頭するように命じられました。これは収容の可能性もあるかな、と思ったのですが、控訴をした上で、控訴したことを証明する書類を持って再びシェイダさんが出頭した際には、仮放免は更新され、なんとか収容という事態は避けられました。今後も、1ヶ月に1回、出頭しなければならない状態は続きますが、収容に関しては当面は安心できそうです。

■第2審に控訴

 2月25日の判決ののち、2週間以内の控訴が必要とされます。シェイダさんは当然、不当判決をひっくり返すべく東京高裁に控訴手続きをとりました。
 しかし、東京地裁と東京高裁での難民に関する判例を見れば一目瞭然ですが、東京高裁の裁判官のほとんどは、シェイダさんに不当判決を出した市村裁判長よりも、もっと保守的な立場をとっています。この点に鑑みれば、東京高裁で逆転勝訴が出る可能性は極めて低いと言わざるを得ません。
 これ以上裁判を続けて、日本に長居をしても、結局のところシェイダさんの貴重な人生の時間を無駄に費やすばかり、という結果になる可能性が高いと言えます。第3国出国への道が開かれることが求められるところですが、こちらも難しいのが現実です。

■難民不認定の決定下りる

 判決後の1ヶ月半の中で、同性愛者全体にとって大きな問題になりそうなことが一つありました。
 シェイダさんは2000年7月に難民不認定処分を喰らい、11月に異議申立が却下された後、再度難民申請を行っていました。これについて、判決までは決定がおりませんでしたが、3月25日、決定が下されました。結果は予想通り、不認定でした。
 そこで一つ問題がありました。不認定の決定に以下のようなことが明記されていたのです。

「あなたは、『宗教』、『政治的意見』および『その他(同性愛者)』を理由とした 迫害を受けるおそれがあると申し立てています。
 しかしながら、
(1)同性愛者が難民条約上の『特定の社会的集団』に該当するものとはいえないこと
(2)あなたが同性愛者であるというだけでは、イランにおいて、難民条約上の『迫 害を受ける恐れがあるという十分に理由のある恐怖』を有する客観的事情が存在する とは認められないこと
等からすると、申立を裏付けるに足りる十分な証拠があるとは認めがたく、難民の地 位に関する条約第1条A(2)及び難民の地位に関する議定書第1条2に規定する難民と は認められません。
 また、あなたの難民認定申請は、出入国管理及び難民認定法第61条の2第2項所定 の期間を経過してなされたものであり、かつ、同項ただし書の規定を適用すべき事情 も認められません。」


 この決定文で重要なのは、「同性愛者は難民条約上の『特定の社会的集団』ではない」と、なんの根拠もなく決めつけていることです。これだと、同性愛者はどんな迫害を受けようとも、難民条約上の「難民」として認められない、ということになってしまいます。
 これは、シェイダさんだけでなく、すべての同性愛者にとって大きな問題です。法務省のこの認識を変えるための取り組みが必要です。この取り組みについては、今後、また提起したいと思います。

■元気なシェイダさん:とりあえず、何とかやって行けそうです

 上記のように、敗訴後もやっかいなことが続いているシェイダさんの身辺ですが、シェイダさん自身は非常に元気で日々を過ごしています。いろいろとややこしいことを言ったりもしますが、ミーティングでも明るく(?)自己主張するシェイダさんを見ていると、とりあえず元気で収容もされておらず、敗訴はしたものの、最悪の状況というわけではない現状にほっとするところです。
 今後の見通しは決して明るいものではありませんが、なんとか、よい将来を切り開いていこうと考えているところです。皆さま、引き続きご支援をお願いいたします。具体的な運動については、また今後提起させていただくかと思います。

***次号は近日中発行の予定です***

 

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シェイダさんを救え!ニュース・アップデイト
Save Mr. Shayda! The News Update
第62号 2004年5月22日発行(不定期刊)
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■<今号の目次>
(1)第2審 第1回口頭弁論日程決まる!!
(2)第2審とは:「生きて新しい大地を踏むためのプロセス」
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(1)第2審:第1回口頭弁論日程決まる!!
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 悲しい敗北を喫した2月25日の第1審判決からはや3ヶ月。シェイダさんは、判決後の収容の危機も脱し、今まで通りの生活を営んでいます。
 裁判については、敗訴を不服として東京高等裁判所に控訴しました。この控訴審の第1回口頭弁論の日程が決まりました。6月17日午前11時30分から(集合:11時)場所は東京高等裁判所です。法廷の部屋番号、およびこの裁判を所管する部局については、まだ知らされていません。
 今回の第1回口頭弁論までに、原告・弁護団としては「控訴理由書」を作成・提出します。法廷では、書面の交換などが行われます。ここで今回の裁判官の顔ぶれや、相手の法務省側の方針なども分かると思います。法廷自体は、短時間で終了すると思われます。
 原告シェイダさん側としては、(2)で後述する理由により、第2審は、もちろん全力で取り組むものの、不必要に長引かせない方針をとっています。控訴審の法廷は今回1回で終了し、次回が結審・もしくは判決となる可能性もあります。高等裁判所とはどのようなところか、裁判官や法務省はどんな連中か……これらを見る機会は、あまりないかもしれません。
 ぜひとも、第1回口頭弁論に足をお運びいただくよう、よろしくお願いいたします。(場所については、別途お知らせいたします)
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■シェイダさん在留権裁判第2審 第1回口頭弁論
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(日時)2004年6月17日午前11時30分開廷(集合:11時)
(場所)東京高等裁判所(地裁と同じ建物)
 ・東京地下鉄霞ヶ関駅下車徒歩3分(A1出口下車)
 ・法廷の番号は別途お伝えします
(報告集会)
 ・日時:2004年6月17日12時〜13時
 ・場所:弁護士会館(高裁裏手、日比谷公園霞門向かい)を予定
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(2)第2審とは:
「生きて新しい大地を踏むためのプロセス」
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 上にふれたとおり、6月17日の第1回口頭弁論で、控訴審が本格的に始まります。 この裁判で争われているのは、シェイダさんという一人のイラン人の同性愛者が、難民という地位を得て、日本という国で生きていく権利です。
 もちろん、この裁判は、シェイダさんという一人の人間を通じて、同性愛者の権利や難民制度のあり方を問うものです。しかし、これらの付加価値以前に、この裁判はシェイダさんの裁判であり、今後の人生に向けてのシェイダさんの意思や展望が何より尊重されるべきです。シェイダさん裁判を考えるとき、私たちは、「同性愛者の権利を問う裁判」「日本の難民制度を問う裁判」と飛躍して考えがちですが、第2審の開始に当たって、私たちは、この裁判のオーナーシップがあくまでシェイダさんにあることをもう一度考える必要があります。

■第1審判決:すでに結論は出た
 2月25日の第1審判決。まる4年近い年月をかけて、裁判官がシェイダさんに、そして私たちにどんな言葉を投げつけたのか、私たちは忘れるわけには行きません。彼らは、イランで同性愛者が死刑に処されている事実を認めた上で、隠れていれば危険はないと断じ、さらには同性愛者のカミングアウトする権利を「性表現」と宣ったあげく、「原告が望む『性表現』が許されないからといって、迫害には当たらない」と言い放ったのです。彼らが4年間かけて作り上げた私たちへのメッセージは、同性愛者の生存の権利への、容赦のない「ノー」でした。
 「勝つ闘いをする」と気負い込んで第1審を闘ってきたサポーターにとって(実際にシェイダさんと私たちは第1審において「勝つ闘い」を貫徹したと考えています)、この判決は絶望的なものでした。闘いの第2・第3のステージ、延々たる長期戦を、飢えたツバメの仔のように、正義を求めてさえずり続けなければならないのだろうか……。
 一方、シェイダさんは判決後の記者会見に向けて、きわめてシンプルなコメントを用意していました。
「人権が認められていないこの国で、私が裁判で勝訴判決を得ることが出来るとは、
そもそも考えていませんでした。ですから、敗訴判決を受けたからといって、私は何ら失望していません。今後は日本ではなく、難民の人権を守る国を探したいと思いま す。」
 ここに込められたメッセージは明確です。拒絶には拒絶をもってこたえること。

■生きて新しい大地を踏むためのプロセスとしての第2審
 第1審判決をふまえて、私たちは次のことを認めなければならないと思います。
 まず、シェイダさん裁判の決着は、第1審判決と、シェイダさんのコメントにおいてすでについているということ。一つの拒絶に対して、もう一つの拒絶がすでに表明されたのです。
 もう一つ、<日本における>同性愛者の権利、難民の権利、まともな裁判を受ける権利は、国民、有権者としてこの国を構成している私たちの問題でありこそすれ、 シェイダさんの問題ではないのだ、ということ。
 この二つを踏まえて、私たちは、シェイダさん裁判の第2審について、その戦略を第1審でのやり方と根底的に違ったものにしなければならないと考えています。
 私たちは、第2審を、 「シェイダさんが生き延びて、新しい大地を踏む上で必要な一つのプロセス」として位置づけることにしました。
 もちろん、第2審で勝てるに越したことはありません。しかし、「裁判に勝つ」ことを自己目的化する段階はすでに終わりました。シェイダさん裁判は、勝敗を云々する時期を終え、すでに、彼の人生の次のステージへのプロセスへと化したのです。その「プロセス」を支援すること、彼の歩みが次のステージに到達するまでの間、拘束、収容といった権力の暴力をなんとしても阻止し、彼の生をつなぐこと。それが、第2審における私たちのコンセプトになるでしょう。
 このコンセプトの変化を踏まえて、第2審の取り組みは、1審よりも短く、地味なものになるだろうと思われます。しかしそのことは、第2審への取り組みの重要性を減じるものではありません。シェイダさんが生き延びて新天地に足を踏み入れる「プロセス」を支援する……この取り組みを共に歩もうという方を、チームSはつねに求めています。

***第63号は近日中に発行の予定です***

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シェイダさんを救え!ニュース・アップデイト
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第63号 2004年6月16日発行(不定期刊)

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■<今号の目次>

(1)第2審第1回口頭弁論いよいよ開催(東京高裁809号法廷)
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(1)いよいよ明日!第2審第1回口頭弁論
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 シェイダさん在留権裁判の第2審がいよいよ、本格的に幕を開けます。第1回口頭弁論が、明日(6月17日・木曜日)11時30分より、東京高等裁判所第809号法廷にて開催されます。皆様、ぜひともご来場下さい。
 第1審は4年間近い歳月を費やしましたが、第2審については、かなり短いものになる予定です。しかし、シェイダさんも最近、念願のインターネット接続を果たし、イランの同性愛者迫害の情報についてペルシア語の文献を念入りに発掘しており、来るべき第2審に向けて執念の火がともりつつあるところです。
 明日の第1回口頭弁論は、控訴人・シェイダさん側の控訴趣意書が提出されると共に、シェイダさんが発見した、ここ1年〜数ヶ月前のイランでの「ソドミー罪」での処刑事案に関する証拠が提出されます。
 報告集会に関しては、法廷隣の控え室、もしくは日比谷公園でやろうと思っています。今週の東京はずっと天気がいいそうで、初夏の日差しの下で気持ちよく報告集会が出来ればと思っています。みなさま是非とも、東京高等裁判所に足をお運び下さい。

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■シェイダさん在留権裁判第2審 第1回口頭弁論
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(日時)2004年6月17日午前11時30分開廷(集合:11時)
(場所)東京高等裁判所(地裁と同じ建物)第809号法廷
 ・東京地下鉄霞ヶ関駅下車徒歩3分(A1出口下車)
(報告集会)
 ・日時:2004年6月17日12時〜13時
 ・場所:法廷控え室か日比谷公園
 ※場所の問い合わせ等は090-1264-8110(稲場)まで
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シェイダさんを救え!ニュース・アップデイト
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第64号 2004年6月27日発行(不定期刊)

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発行元 チームS・シェイダさん救援グループ
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■<今号の目次>
(1)裁判長に初お目見え。次回法廷は8月3日
(2)翻訳ボランティア募集!!
・国連難民高等弁務官事務所「ジェンダー関連迫害に関するガイドライン」
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(1)裁判長に初お目見え。次回法廷は8月3日
 〜控訴審第1回口頭弁論〜
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 2月25日の屈辱的な第1審判決から4ヶ月。第2審の第1回口頭弁論が6月17日、午前11時30分から、東京高等裁判所8階の809号法廷で開催されました。
 第1審の裁判長であった市村陽典氏は、いかにも能吏という感じでてきぱきした人でしたが、第2審の裁判長(名前の確認を忘れた)は、初老の白髪の人物で、大物ぶりを漂わせた質問の仕方といい、いかにも高裁の裁判官です、という感じ。他の二人の裁判官も、両方とも中年の男性で、重々しい感じでした。
 で、今回一番問題になったのは「同性愛者が『特定の社会的集団の構成員』かどうか」というポイントについて。裁判長は、「国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)も、同性愛者がそもそも『特定の社会的集団』かどうかについてはっきり見解を示してないんだろ」というような言い方で聞いてきました。大橋弁護士から、その点についての説明があり、裁判長も次回にもう判決にするのでなく、次回法廷を開く、ということになりました。
 法廷の後は、明るい日差しの日比谷公園で食事がてら、報告集会・懇談会を行いました。
 次回の法廷は、裁判所の夏休み前の8月3日(火)。法廷・時間とも一緒です。皆様、ぜひともご参加下さい!!
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■シェイダさん在留権裁判第2審 第2回口頭弁論
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(日時)2004年8月3日(火)午前11時30分開廷(集合:11時)
(場所)東京高等裁判所(地裁と同じ建物)第809号法廷
 ・東京地下鉄霞ヶ関駅下車徒歩3分(A1出口下車)
(報告集会)
 ・日時:2004年8月3日12時〜13時
 ・場所:法廷控え室か日比谷公園
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(2)シェイダさん在留権裁判 
 第2審証拠資料翻訳ボランティア募集!!
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「UNHCR 難民条約および難民議定書第1条A(2)の文脈における
ジェンダーによる迫害に関する国際的保護についてのガイドライン」
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●シェイダさん在留権裁判は、第1審敗訴以降、シェイダさん側が控訴し、第2審が開始されています。先日の第1回口頭弁論で裁判官は「UNHCRも、同性愛者が特定の社会的集団にあたるかどうか、はっきり結論づけていないんだろ?」と疑問を呈しました。

●この「疑問」にはっきりと応えているのが、UNHCRが2002年5月7日に出した文書「1951年難民条約および1967年難民議定書第1条A(2)の文脈における、ジェンダーによる迫害に関する国際的保護についてのガイドライン」(文書番号HCR/GIP/02/01)です。このガイドラインでは、同性愛者に対する迫害が難民条約上の「迫害」に該当すること、同性愛者が難民条約上の「特定の社会的集団」のカテゴリーに入ること、同性愛者の権利に関する意見が難民条約上の「政治的意見」に該当することが明記されています。

●このガイドラインは、同性愛者の権利についてのみならず、ジェンダーおよびセクシュアリティに関わる迫害全体と難民条約の関係を整理した包括的なものになっています。日本でも今後、FGM(女性性器切除)や名誉殺人などをはじめとした、ジェンダー・セクシュアリティに関わる迫害を理由とした難民申請がなされる可能性がありますが、このガイドラインを訳出しておけば、こうしたケースについて、きわめて強力な証拠となり得ます。

●ということで、チームSでは、本件ガイドラインに関する訳出をしていただけるボランティアの方を募集します。もしくは、「すでにこの文書を訳出した」という方、いらっしゃいましたら、ぜひとも教えていただければ幸いです。募集の要領は以下の通りです。

■◇募集要領◇■
(1)訳出をしたいという方は、チームS稲場雅紀(pinktri@kt.rim.or.jp)まで、以下の連絡票を使ってご連絡を頂けますか。(または日本語を持っているという方がいましたら至急連絡下さい)
(2)文章の分量ですが、A4で10ページとなります。最初のページはカバーレター+αです。分量が若干多いので、複数の方から募集がありましたら、分けて担当していただこうと思っています。
(3)連絡を頂きましたら、当方から、英文および翻訳ガイドラインをお送りしますので、翻訳ガイドラインに従って訳出を完成させ、当方にご送付下さい。
(4)翻訳の期限は以下の通りです。
○第1次締め切り:7月8日(木)午後6時
○第2次締め切り:7月17日(土)正午
 第1次で間に合うという方を優先しますが、第2次締め切りということでも大歓迎です。たくさんの方のご応募をお待ちしています。
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<連絡票>pinktri@kt.rim.or.jpまで
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○お名前
○ご連絡先メール
○ご連絡先携帯・電話等
○翻訳分量について(下から選んで下さい) 
 1.全部でも可能 2.半分(5ページ)なら可能 3.2〜3ページなら可能 4.すでに訳出した
○コメント
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 では、どうぞよろしくお願いいたします。
***次号は近日中発行の予定です***


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シェイダさんを救え!ニュース・アップデイト
Save Mr. Shayda! The News Update
第65号 2004年8月29日発行(不定期刊)
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発行元 チームS・シェイダさん救援グループ
編集担当 チームS電子オフィス shayda@da3.so-net.ne.jp
■<今号の目次>
(1)一筋の光が見えてきた?第2回口頭弁論
(2)翻訳ボランティアのお願い:ニュージーランドの判例
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●「ニュースアップデイト」バックナンバーは以下をご覧ください。
 http://www.kt.rim.or.jp/%7Epinktri/shayda/newsupdate.html
●講読申込・講読中止などの手続は電子オフィスまでお知らせ下さい。
●シェイダさん裁判の経過を知りたい方は、
・すこたん企画シェイダさんページ
 http://www.sukotan.com/shayda/shayda_top.html
・果てしなき移民たちのためのホームページ
 http://www.kt.rim.or.jp/~pinktri/afghan/index.html
 をご覧下さい。
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(1)一筋の光が見えてきた?第2回口頭弁論
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 皆さま、こんにちは。
 気がつけばもう8月も終わり、東京でも秋の雰囲気が出てきた今日この頃です。
 さて、シェイダさん在留権裁判第2審の第2回口頭弁論は、熱暑だった今年の夏の真っ盛り、8月3日、東京高等裁判所809号法廷にて開催されました。宣伝不足にも関わらず、多くの人が傍聴に来てくれました。
<UNHCRが法的意見を提出予定>
 第1審の敗北で、もう先がない、と思われていた第2審。しかし、ここ数ヶ月で、いろいろな展開が出てきています。
 シェイダさんについては、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が、難民条約上の難民であるとの見解を示しています。UNHCRは、この裁判に関して、東京弁護士会の求めに応じ、UNHCRとしての法的意見を示すことになっています。
 この法的意見は、第3回口頭弁論までに提出されることになっています。
<イランにおける同性愛者弾圧の証拠を提出>
 この日の法廷に、シェイダさんはいくつかの証拠を提出しました。
 一つは、シェイダさんがウェブ上で発見した、イランにおける同性愛を理由とした処刑事例。イランでは、ここ数ヶ月で、ソドミー法(同性間性行為禁止法)違反を理由の一つとする処刑が複数、行われています。
 もう一つは、イラン国営イスラーム共和国通信が報道した、シェイダさん自身の第1審判決に関する記事。この記事は、シェイダさん在留権裁判の第1審判決を報じた共同通信の記事がもとになったものですが、シェイダさん自身も、イスラーム共和国通信で自分の記事を発見して驚いたようです。イスラーム共和国通信はイラン国家指導省(旧情報省)によって管轄されるれっきとした国営通信で、これで報道されたからには、法務省も、シェイダさんのことがイラン当局に「知られていない」などというわけにはいかなくなりました。
 
<法務省の主張の「唯一の根拠」も改訂されていた>
 もう一つ、法務省が「イランでは同性愛者は迫害されていない」と主張する歳代の根拠となっていた「乙第17号証」(カナダ移民難民委員会調査部が作成した資料)が改訂されていたことも明らかになりました。
 この「乙第17号証」のオリジナルは、「イランでは同性愛者は迫害されていない」とする主張だけが書かれていましたが、改訂版では、イランで同性愛者が迫害されている可能性にも言及し、さらに「同性愛者を死刑とする法律があるだけでも大問題」という指摘もあるなど、より中立的な内容へと変わっています。
 また、2004年に、イラン人同性愛者を難民と認めたニュージーランド難民地位控訴局の判例も新たに見つかりました。
 今後、こうしたものを順次提出していけば、もしかしたら、第2審勝訴の展望も開けてくるかも知れない。一審で手痛い打撃を受けた私たちも、素直にこう思えるようになってきています。
<次回法廷は9月21日>
 次回法廷(第3回口頭弁論)は9月21日、午後3時30分から、同じ東京高等裁判所第809号法廷で開かれます。報告集会もきちんとやろうと思います。多くの皆様、ぜひとも法廷にお集まり下さい。
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■シェイダさん在留権裁判第2審 第3回口頭弁論
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(日時)2004年9月21日(火)午後3時30分開廷(集合:3時)
(場所)東京高等裁判所(地裁と同じ建物)第809号法廷
 ・東京地下鉄霞ヶ関駅下車徒歩3分(A1出口下車)
(報告集会)
 ・日時:2004年9月21日 法廷終了後
 ・場所:弁護士会館504号室(東京高裁裏)
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(2)翻訳ボランティアのお願い:ニュージーランドの判例
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 上に述べたように、第2審においてもかなりの進展が見られる今日この頃ですが、一つ重要なのは、「迫害を受けた/迫害を受ける『十分に理由のある恐怖』(well-founded fear)を有する同性愛者は難民条約上の難民だ」ということをきちんと立証することです。
 法務省は、第1審での行きがかり上、「同性愛者は(迫害されようがされまいが)難民条約上の難民ではない」との主張をしています(しなければならなくなっています)。これはきわめて特異な主張で、先進国でこんな主張をしている国はほとんどありません。逆に言えば、ここは法務省の主張の最も弱いところで、ここをきちんと指摘することで、法務省の主張全体が不適切であることを示すことが出来るわけです。そのためには、同性愛者が難民として認定された各国の判例などを具体的に示すことが大切です。
 ここに、一つの判例があります。ニュージーランド難民地位控訴局(Refugee Status Appeals Authority New Zealand)が2004年7月に下した決定です。この決定では、一人のイラン人ゲイが難民条約上の難民として認められています。この裁判で、これだけ新しい判例を出したことはなく(多くは80〜90年代の判例。2000年以降の判例も数点は出していますが)、翻訳して提出するにはうってつけの判例です。次回の法廷(9月21日)までに訳出・提出をしたいと思っています。
 ここで、この判例の翻訳をお手伝いいただける方を募集いたします。全体でA4版30行×63ページありますので、分担して訳出出来ればと思います。募集容量は以下の通りです。
■◇募集要領◇■
(1)連絡:訳出をしたいという方は、チームS稲場雅紀(pinktri@kt.rim.or.jp)まで、以下の連絡票を使ってご連絡を頂けますか。
(2)分量と分担:文章の分量ですが、A4版30行の用紙で63ページとなります。分量が若干多いのが難点です。当方としては、6名の方を募集し、一人10ページ強を担当していただきます。
○募集定員:6名
○一人の分担:10ページ強(A4版30行)
(3)連絡を頂きましたら、当方から、英文および翻訳ガイドラインをお送りしますので、翻訳ガイドラインに従って訳出を完成させ、当方にご送付下さい。
(4)翻訳の期限は以下の通りです。
○締め切り:9月15日(水)正午
 たくさんの方のご応募をお待ちしています。
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<連絡票>pinktri@kt.rim.or.jpまで
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○お名前
○ご連絡先メール
○ご連絡先携帯・電話等
○コメント
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 では、どうぞよろしくお願いいたします。
***次号は近日中発行の予定です***

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シェイダさんを救え!ニュース・アップデイト
Save Mr. Shayda! The News Update
第66号 2004年10月9日発行(不定期刊)
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発行元 チームS・シェイダさん救援グループ
編集担当 チームS電子オフィス shayda@da3.so-net.ne.jp
■<今号の目次>
(1)UNHCRの法廷意見、その他重要な証拠の数々を提出:第3回口頭弁論
 〜第4回口頭弁論は11月9日〜
(2)法務省を「人の輪」で囲もう!
 〜10月13日「1435虹の架け橋キャンペーン」〜
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●「ニュースアップデイト」バックナンバーは以下をご覧ください。
 http://www.kt.rim.or.jp/%7Epinktri/shayda/newsupdate.html
●講読申込・講読中止などの手続は電子オフィスまでお知らせ下さい。
●シェイダさん裁判の経過を知りたい方は、
・すこたん企画シェイダさんページ
 http://www.sukotan.com/shayda/shayda_top.html
・果てしなき移民たちのためのホームページ
 http://www.kt.rim.or.jp/~pinktri/afghan/index.html
 をご覧下さい。
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(1)UNHCRの見解、その他重要な証拠の数々を提出
〜第3回口頭弁論〜
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 9月21日(火)午後3時30分より、シェイダさん在留権裁判第2審の第3回口頭弁論が、東京高等裁判所第809号法廷で開かれました。
■UNHCRがイランの同性愛者の難民性を主張する見解を提出
 この日の法廷は、シェイダさん側にとって、非常に重要な法廷でした。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)が、東京弁護士会の求めに応じてイラン人同性愛者の難民性の有無についての見解を作成。この見解が法廷に提出されました。この見解の中で、UNHCRは、1951年の難民条約、およびこの難民条約とジェンダーや「特定の社会的集団」の概念の関係についてのガイドラインなどをもとに、イランの同性愛者は難民性を有する可能性が十分にあると主張しています。これは、「同性愛者は難民ではない」という法務省の主張をまっこうから退けるものです。
■その他、重要な証拠資料を提出
 シェイダさん側は、これ以外に二つの証拠資料を提出しました。一つは、カナダ移民難民委員会調査部が作成し、第1審において法務省が「イランで同性愛者は迫害されていない」ということを立証するほぼ唯一の証拠となっていた文書(乙17号証)の改訂版です。
 この文書、オリジナルのものは、「とにかく、イランでは同性愛者は迫害されていないんだ」とばかりの我田引水的な内容が際だっていましたが、改訂版では、こうしたニュアンスは大きく削られ、信頼性の薄い学者のインタビューなども削除されました。一方、たとえ、同性愛のみを理由とした死刑執行のケースが見いだせなかったとしても、同性愛者を処刑するという法規があること自体の重要性を認識しなければならない、という記述などが加わり、全体として、公平性の保たれたものに変わっています。法務省の頼る唯一の証拠のオリジナルのバージョンが廃棄され、イランの同性愛者の直面する迫害の実情をある程度反映した文書に改訂されたことは、シェイダさん側にとって、非常に好ましいことです。
 もう一つの証拠は、ニュージーランドでこの7月に難民審査局によって出された、イラン出身の同性愛者を難民認定した決定です。きわめて格調の高いこの決定では、「イランでは同性愛者は迫害されていない」といった主張がいかに不当なものであるかが厳しく指摘され、イラン人同性愛者の難民該当性がはっきりと立証されています。
 シェイダさん側は、こうした証拠資料に基づき、シェイダさんが難民であるとする準備書面も提出しました。
 法務省側は、これらの証拠を吟味して、新しく主張をするかどうかを決定するために1ヶ月半ほど時間が欲しいと主張。次の法廷は11月9日、午後3時30分からとなりました。
■次回の法廷で結審の見込み
 この裁判は、おそらく次回法廷で結審し、年明けに判決になるだろうと思われます。皆さま、ぜひとも次回法廷にお越し下さい。
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■シェイダさん在留権裁判第2審 第4回口頭弁論
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(日時)2004年11月9日(火)午後3時30分開廷(集合:3時)
(場所)東京高等裁判所(地裁と同じ建物)第809号法廷
 ・東京地下鉄霞ヶ関駅下車徒歩3分(A1出口下車)
(報告集会)
 ・日時:2004年11月9日 法廷終了後
 ・場所:弁護士会館を予定
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(2)法務省を「人の輪」で囲もう!
 〜10月13日「1435虹の架け橋キャンペーン」〜
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 シェイダさんは2000年4月に逮捕されて以来、1年7ヶ月を、警察の留置場、東京入管の収容場、そして茨城県牛久市の強制収容所で過ごしました。同じように、今、法務省入国管理局によって強制的に収容されている人々が1435人もいます。
 収容などの非人道的政策をやめさせ、「難民鎖国」とも言われる不名誉な政策を変えていくために、10月13日(水)に、東京・法務省において、「1435虹の架け橋キャンペーン」というイベントが予定されています。
 お時間のある方、一緒に法務省を「人の輪」で囲みませんか。
 案内は以下の通りです。
■1435 虹の架け橋キャンペーン
〜”人権の”ルールを守って国際化〜      
法務省を囲む人間の輪を!
――この瞬間、強制収容中の1435人のことを知って。そして――
◆【やること】_/_/_/_/_/_/_/_/
霞ヶ関の法務省入国管理局を、人間の「輪」でぐるりと囲む! 
人権の、ルールを守って国際化してもらいたい。。。という願いを込めて。
法務省に要請書を渡します。
各団体、個人で、それぞれのアピールをしよう。
◆【日時】_/_/_/_/_/_/_/_/
10月13日(水)午後5時集合、「輪」の完成は6時〜です。
◆【場所】_/_/_/_/_/_/_/_/
霞ヶ関・法務省の周囲
最寄駅:地下鉄 霞ヶ関駅(B1a出口)・桜田門駅(5出口) 徒歩1分
(地図) http://www.kantei.go.jp/jp/syoukai/flash/homu/05.html
◆【必要な人数】_/_/_/_/_/_/_/_/
600人です!・・・全長600メートルなのです。
★本キャンペーンのHPでのお知らせ
http://www.asahi-net.or.jp/~bx8k-arkw/
チラシもこちらからダウンロードできます。
■呼びかけ■
 日本全国では、この瞬間、1435人の外国人が、各地の収容所に強制的に収容されています。たとえば、茨城県牛久市、東京都品川、大阪府茨木、長崎県大村市の強制収容所に・・・。その中には、難民・日本人と結婚した人・労災治療中の人もたくさんいます。私たちは、人間の輪の中から、呼びかけます。
不必要な収容しない日本を、一日でも早く。
子どもと家族に、そして長期滞在者に、ビザを。
難民にやさしい国へ、一日でも早く。
差別のない 多文化共生社会へ。
外国の迫害を止めさせる、外交大国へ、一日でも早く。
そして・・・世界の平和を実現させる国へ
 ”人権の”ルールを守って国際化する国へ・・・今すぐに。
私たちは願っています。1435人の強制収容所の外国人たちが、
 虹の架け橋をわたって、私たちの元に帰ってくることを・・・
■法務大臣に提出する要請書の内容■
○収容について○
 不必要な収容はしないでください。とりわけ、難民申請者、家族のある者、長期滞在者、病気・怪我治療中の者、子ども、高齢者、裁判係争中の者、妊婦、送還の目処がつかない者・・・の収容は絶対にやめてください。無期限収容はやめてください。
○在留について○
 難民、家族、子ども、長期滞在者、そのほか人道上の配慮を要する外国人に対し、在留を許可してください。
○難民について○
 難民鎖国をやめ、日本をようこそといえる国にしてください。迫害を止めさせるための平和外交をしてください。
○差別禁止及び多文化共生について○
 多民族・多文化共生社会を目指した施策を立案・実行し、人種差別禁止法を制定してください。
■持ってきてもらいたいもの■
虹に関連するものは何でも大歓迎です。
プラカード、音楽、鳴り物など・・・
歌アリ、踊リアリの、多文化ミックスな空間を目指しています。
■主催
1435虹の架け橋・人間の輪実行委員会
   (問合先 03-5296-5533 弁護士・土井香苗)             
   
■賛同団体:32団体(9月30日現在)
***第67号は近日中発行の予定です***

 


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