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お母さんのための

日経新聞入門講座

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VOL045-アカウンタビリティ 番外編10

最近よく見かける言葉です。まずは、現代用語の基礎知識1997年版で意味を確認してみましょう。

◆アカウンタビリティー(accountability)〔財務会計用語〕
アカウンティング(会計)とレスポンシビリティー(責任)の合成語で、会計責任のことである。アカウンタビリティーは、会計主体が保有する資源の利用を認めてくれた利害関係者に対して負う責任のことであり、一般には会計主体である企業が株主等から委託された資金を企業の経営目的に適正な使途に配分し、その保全をしなければならない責任(財産保全責任)と、その事実や結果の状態を株主等に説明報告する責任(説明報告責任)を表す概念である。アカウンタビリティーは、後者の説明報告責任を含む点で、レスポンシビリティーとは区別される。−後略−

簡単に、説明責任と言われることも多いようです。上の説明では企業の経営者の責任が例としてあがっていますが、官公庁や地方自治体など行政の責任を指摘する文章の中でもよく見かけることができます。納税者から集めた税金を使って行政サービスを行う立場ということから考えると、納税者に対して行政がアカウンタビリティを負っていることが上の説明からよくおわかりいただけるのではないでしょうか。

アカウンタビリティというのは、一定の責任を負ったものが、自らの責任に対してきちんとした説明をすることです。これは、経営を任せた株主や税金を納めた国民などが、経営者や行政などが各々の責任を果たしているかどうかを判断するために欠かすことができない、とても大切なことです。

でも、お母さん。よく考えてみると、実は当たり前のことだと私は思うのですが、いかがでしょう。例えば、お母さんが私に1週間、留守番を頼んだとします。お母さんのお財布も預かって、家計をやりくりします。1週間後、お母さんのお金をいくら、何に使ったか、とか、お母さんが留守の間にあったことを私はお母さんに報告するでしょう。その報告を聞いてはじめて、お母さんは私がちゃんと留守番をしたかどうか、判断を下すはずです。企業経営などと留守番を一緒にするのか、とお叱りもいただきそうですが、本質的には、同じことなのではないかと思うのです。

では、なぜ、今その当たり前のことである、アカウンタビリティという言葉があちこちで散見されるのでしょうか。

アカウンタビリティ、あるいは、説明責任と言われても、何を説明しなければならないのか、どんなことについて説明を求めなければならないのか、それがわからなければ、アカウンタビリティが果たされているのか判断ができません。例にあげた留守番ということなら、説明しなくてはならないこと、説明して欲しいこと、説明する側の私も説明を求める側のお母さんもよくわかっていますよね。でも、それが、企業経営や行政運営となると、どうでしょうか。

「あうんの呼吸」と言う言葉に代表されるように、一々言葉で説明しないことが良きこととされてきた日本では、アカウンタビリティを負っている側も、それを求める側も、その内容について実は余りよくわかっていないのかも知れません。だからこそ、国際化とかグローバル化(VOL041-グローバルスタンダードもご参照下さい。)という流れの中で、このアカウンタビリティと言う言葉が注目を集めているのではないでしょうか。

様々な立場の人が様々な角度や見方から、アカウンタビリティについて考えたり、意見を言ったりすることの積み重ねによって、適切なアカウンタビリティが形成されていくのではないか、と思います。

 

日本経済新聞社 http://www.nikkei.co.jp/

 

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