New Order _Item: A Collection & New Order Story_ (Warner Music Vision / Rhino, 60369-70482-29, 2005, 2DVD(NTSC/1)) - Disc 1 (60369-70484-27): _A Collection_: 1)Confusion 2)The Perfect Kiss 3)Shellshock 4)State Of The Nation 5)Bizarre Love Triangle 6)True Faith 7)Touched By The Hand Of God 8)Blue Monday '88 9)Fine Time 10)Round & Round 11)Run 12)World In Motion 13)Regret 14)Ruined In A Day 15)World 16)Spooky 17)1963 18)Crystal 19)60 Miles An Hour 20)Here To Stay 21)Krafty 22)Jetstream 23)Waiting For The Sirens' Call; More: Alternates: 24)Round & Round - USA / Patty 25)Regret - Baywatch 26)Crystal - Gina Birch version; Paris/Beijing: 27)Ceremony 28)Temptation; Live 1981: 29)Temptation from 316. - Disc 2 (60364-70485-26): _New Order Story_ (1993). Directed by Kevin Hewitt. Produced by Paul Morley. - Japanese version: Werner Music Japan, WPBR90495/6, 2005, 2DVD(NTSC/2) 1970年代末の post punk な雰囲気の中から Joy Division として登場し、歌手 Ian Curtis の死で名前を New Order と変えたマンチェスター (Manchester, UK) のバンドの1983年から再結成後の現在 (2005年) に至るまでのミュージックビデオ集 _A Collection_ と、1993年に制作された彼らのドキュメンタリ映画を併せた DVD 2枚組が出ている。 特に1990年代半ばまでの彼らのミュージックビデオは、その表現自体に対する 批評性や形式的な面白さに富んだものが多い。また、ドキュメンタリ映画 _New Order Story_ も、ドキュメンタリという形式を逆手に取りつつ、求められる 彼らの変遷もきっちり物語る、好ドキュメンタリだ。 New Order というバンドを知るというだけでなく、1980年代から1990年代初頭に かけての post-punk の文脈から出てきた独立系レーベルにおける pop / rock の 試みの典型を知るという意味でも、お薦めの DVD 2枚組だ。 表現自体に対する批評性のあるミュージックビデオとして最も判り易いものは、 1980年代の heavy metal の類型的なライヴパフォーマンスやビデオの演出を パロディにした "Touched By The Hand Of God" (Kathryn Bigelow (dir.), 1987) だろう。重い guitar リフやシャウトする歌唱とは対極にあるだけに、効果的な パロディだ。"Regret - Baywatch" はUS西海岸の浜辺で海水浴客の間で混じって 歌うというもので、当時の自己イメージを裏切るポップスター的な演出をわざと 選んだという感じだ。 形式的な面白さという点では、コラージュ的にマルチウィンドウを駆使しビートに 合わせた画面の切替えていく "Bizzare Love Triagle" (Robert Longo (dir.), 1987) は名作だろう。"Round & Round" (Paula Greif (dir.), 1989) の女性モデルの パストショットを捉えただけ ― 特にモデルを1人に限りモンタージュをしない "Round & Round - USA/Patty" (Paula Greif (dir.), 1989) ― も良い。 そして、形式的な面白さと表現への批評性を兼ね備えた作りともいえるのが、 "The Perfect Kiss" (Jonathan Demme (dir.), 1985) だ。ミニマルなスタジオの 中でサウンドが組み上げられていくプロセスを冷静に捉えるという点で、 Talking Heads, _Stop Making Sense_ (Jonathan Demme (dir.), 1984) と共通 する所がある。さらに、それによって、ビートのノリの良さや情熱的な/巧みな 演奏を表現するというミュージックビデオのある種の約束を裏切って行く ― まるでNGショット集のようになっていく ― というのが秀逸だ。 後に _The Silence Of The Lambs_ (1990) 等で知られるようになる映画監督 Jonathan Demme ("The Perfect Kiss")、NYの現代美術シーンで活躍していた Robert Longo ("Bizzare Love Triangle") と、1980年代のミュージックビデオは、 起用されている監督も興味深い。後に1992年の Albertville 冬期五輪の開会式の 演出で知られるようになる contemporary dance / circus の Philippe Decoufle に よる "True Faith" (1987) も、その動きを生かした面白い作品だ (プロデューサ Michael H. Schamberg によるライナーノーツによると、Decoufle はこの曲が 好きでなかったようだが、そういう逸話も面白い)。写真家 Robert Frank が監督した "Run" (1989) になると外しているようにも思うが。このような監督の起用は、 まだミュージックビデオ出身の映像作家が稀だった1980年代ならではなのかも しれないが、それゆえに他分野のアーティストを呼んでの実験も可能だったの かもしれないとも思う。 "Krafty" (Johan Renck (dir.), 2005) など、どうカメラを回してるんだろう、 と思うような面白さもあるし、労働者階級の生活讃歌のような内容も嫌いではない。 しかし、1990年代のミュージックビデオとなると、曲やバンドのイメージを裏切る ような映像が減り、全体としては普通になってしまったと思わざるを得ない。 1980年代初頭の曲に改めて映像を付けた "Paris/Beijing" (2005) も悪くはないが、 既にある New Order のイメージを映像でなぞっているだけではないかと思ってしまう。 もう一枚のDVDに収録されている _New Order Story_ (1993) は、New Order が それまで在籍した独立系レーベル Factory の破綻に伴い、メジャーレーベル London へ契約した後に制作されたドキュメンタリだ。"World In Motion" (1990) のヒット、メジャーへの移籍によって、underground/alternative なアーティスト からポップスターとしての扱いに変わったことへの戸惑いや照れ隠し、自己 パロディのようなものが、New Order に関するクイズ番組 "NO show" などの 演出からも感じられる。そして、それが、神格化伝説化に向いがちなアーティスト のドキュメンタリから距離を置くことになっているように思う。 しかし、遊びが入っているとはいえ、post punk 生き証人的な音楽評論家の一人 Paul Morley が制作している。Tony Wilson や Rob Gretton、Peter Saville などの 関係者の声も興味深いし、ミュージックビデオもほぼ編集なしで収録されている だけでなく、Joy Division や初期の New Order のライブやTVショーの映像も 含まれている。バンドの歴史の要点がしっかり押さえられており、post punk の 独立系レーベルの立ち位置も垣間見られるという点でも、お薦めのドキュメンタリだ。 sources: New Order, _Item_ on Rhino, http://www.rhino.com/store/ProductDetail.lasso?Number=970482 neworderonline.com (unofficial site), http://www.neworderonline.com/ New Order on BBC Radio 1, http://www.bbc.co.uk/radio1/artist_area/neworder/ 2005/12/25 嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html