Elizabeth Magill Galerie Deux, 目黒区柿の木坂2-10-17 (都立大学), tel.03-3717-0020, http://www.t3.rim.or.jp/~gal-deux/ . 2001/11/29-2002/03/30 (日月祝休), 11:00-18:00. Northern Ireland, UK 出身の作家。写真から起こしたような (ダイレクトメール の印刷では写真かと思った)、一見、写実的な印象を受ける風景を描いた油彩画を 書いているのだが。微妙に変で、その変な感じが楽しめた。 最も気に入ったのは、路面電車の架線を描いた絵。交差点の上で複雑に絡み合った ような感じのところを描いているのだが。背景は空で、幾何的なパターンが面白い、 というだけでは、写真作品などでもありがちなのだが。その霞んだような色の空には、 見えるか見えないかのように白い影が描かれているのだ。架線と空のコントラストの 強さと、空と鳥のコントラストの弱さ、は、よくよく考えれば不自然な組み合わせ のように思うのだが、それが絵になっていた。 夜景を描いたような絵にしても、空の明るさと地面の暗さのコントラストや、 そのある一色に偏ったような感じは、写真とは違う。確かに、今ではコンピュータ の処理によっても、このようなことは実現可能かもしれないが。フォトリアリズム 的な描き方とは異なる、油彩ならではのテクスチャー感も良かったようにも思う。 あと、大きな作品には、描かれているものと関係するのかどうか、という感じで、 ラインストーン (小さな光る石) が、さりげなく貼ってあった。何だろうか、と、 鑑賞者の注意を引くため、と、説明ではしていたが。実際のところどうだろうか。 実際に観たときはそんなに注意は引かれなかった。 美術館で他の作品と交じって展示されていたら、いささか押しが弱くて印象に 残らなかったかもしれないなぁ、と思うところもあったけれど。この広い ギャラリーでのゆったりとした展示は、とても楽しめるものだった。 2002/02/02 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕