『ハーブ・ルバリン展』 _Herb Lubalin Exhibition_ ギンザ・グラフィック・ギャラリー, 中央区銀座7-7-2DNP銀座ビル (銀座) http://www.dnp.co.jp/gallery/contents.html, tel.03-3571-5206 2002/12/4-21 (日祝休), 11:00-19:00 (土11:00-18:00) 1960年代以降にUSで活躍してきた (1981年没) グラフィック・デザイナー Herb Lubalin の回顧展だ。観るまでほとんど予備知識が無かったのだけれど、 サンセリフの代表的なタイプフェースである Avant Garde をデザインした人だ。 このフォントは、1968年に彼が出版していた雑誌 _Avant Garde_ のために デザインしたフォントだ。 雑誌などのエディトリアル・デザインを主にしていた人のようで、ポスターに しても文章を多用したタイポグラフィーがメインのデザインが印象的だった。 今回の展覧会のポスターも1968年に _Avant Garde_ 誌が出した反戦ポスター (もちろんベトナム戦争に対するもの) コンテスト告知ポスターが用いられている のだけれども、やはり、文字でぎっしり埋めている。それも、"NO MORE WAR" と 赤く大きく描かれており、メッセージも明確だ。 Avant Garde のようなフォントをデザインしているくらいで、モダンなデザイン なのだが、1967年に出していた雑誌 _Fact_ では、セリフ付きのフォントを 使ってちょっと泥臭いもの。泥臭いといっても、読み辛くはないが。すっきり モダンなデザインは大企業に親和的で、_Fact_ が扱うような反体制的な話題に 似合わない、という意図だった、という話も興味深かった。ちなみに、 Serif Gothic のようなセリフ付きのフォントもデザインしている。 タイポグラフィ技法の使い分けもさすがと思う、楽しめた展覧会だった。 2002/12/08 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕