『サンクトペテルブルグ ロシア国立図書館所蔵 ポスターのユートピア ― ロシア構成主義のグラフィックデザイン』 _The National Library of Russia, St. Petersburg: Posters In Utopia: Graphic Design Around Movements Of Russian Constructivism_ 川崎市市民ミュージアム, http://home.catv.ne.jp/hh/kcm/ , 川崎市中原区等々力1-2 (武蔵小杉), tel.044-754-4500. 2003/2/15-4/6 (月休), 9:30-17:00. The National Library of Russia, St. Petersburg に所蔵の Russian Avant-Garde のポスター、グラフィックデザインの展覧会は、日本初公開のものを多数含むレアな 展覧会だった。Alexander Rodchenko や El Lissitzky のような有名所や、映画の ポスターなどは、今までもよく紹介されていた。しかし、作者不詳のものが多い 「政治・経済」のコーナーで展示されている産業計画などのポスターは、実物を 見る機会があまり無かった。だから、こうして観られたのはとても嬉しかった。 といっても、Russian Avant-Garde の展覧会はそれなりの数を観ているだけに、 新鮮な気分で観ることは難しい。日本初公開といっても、ポスターについては、 Jelena Barchatowa (ed.), _Russischer Konstruktivismus Plakatkunst_ (Weingarten, ISBN3-8170-2024-4, 1993) に載っているポスターがかなりあった。 というか、あまりに重なる部分が多いので、同じコレクションが元になっている ようにも思われる。もちろん、確かに、本の図版で見るのと実際のポスター大で 見るのとでは印象が違うときもあるし、「あの本で観ていたあれだ」という感慨 もあったけれど。 そういう点で、興味深く観られたのは、ある程度観なれたポスター作品ではなく、 最近の自分の興味でもある絵本。Samuil Marshak / Vladimir Lebedev, _The Circus_ (1925) もあったし、Eduard Krimmer, _Numbers_ (1925) も10個の風船を持った 少女とかの抽象的化の仕方とかが、とてもカッコ良くて可愛らしかった。全ページ が観られないのがとても残念だ。複製でもいいから、この手の Avant-Garde の 絵本を、もっとまとめて観たいように思った。 ちなみに、この展覧会に関連して、川崎市市民ミュージアムの所蔵作品から、 『ロシア:1905×1917』 (写真ギャラリー) と『革命期のロシア・ポスター』 (グラフィックギャラリー) の2つの展覧会も併催されている。 2003/03/09 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕