『美術と演劇 ロシア・アヴァンギャルドと舞台芸術 1900-1930』 _The Russian Avant-Garde and the Stage 1900-1930: The Collection of Nina and Nikita D. Labanov-Rostovsky_ 横浜美術館, 横浜市西区みなとみらい3-4-1, tel.045-221-0300 98/10/3-12/6 (木休;10/12,11/4,11/24), 10:00-18:00 (金-20:00) Sergei Diaghilev's Ballets Russes よりも Vsevolod Meierhold's Meierhold Theatre の方が断然カッコイイ、と思ってしまった展覧会だった。もちろん、 単純に比較できるものではないが。 Labanov-Rostovsky 夫妻というロシア舞台美術の蒐集家のコレクションに基づく 展覧会ということもあって、舞台や衣装のデザインのデッサン、ポスターを中心。 当時の舞台の様子を捉えた写真や新聞・雑誌記事といったものは残っていない のかもしれないが、ほとんど無かったのは少々残念。演劇に用いられていた脚本や 音楽についても、ほとんど資料が無かったし。コレクションの対象ではないの だろうから、仕方ないだろうが。それでも、ロシア・アヴァンギャルドの雰囲気を 楽しめる展覧会だったと思う。僕はとても楽しめた。 舞台美術の全体の作風は、20世紀初頭の欧州アヴァンギャルドから大きく外れる ものはなく、タイポグラフィや幾何学的な構成、表現主義的もしくはシュールな タッチな絵、などなど。アヴァンギャルドにこういうやり方あったのかー、 という驚きがあるわけではなかったが、もっとカッコいい姿で示してくれている と感じるものはあった。 『太陽の征服 _Victory Of The Sun_』('13) というオペラの Kazimir Malevich による一連の舞台や衣装のデザイン・デッサンが一番の見物だったかもしれない。 このオペラを90年代にアメリカで再演したもののヴィデオが上映されていたが、 画面が暗くてピンとこなかったけれど。連作ものとしては、Meierhold Theatre の 『ミステリヤ・ブッフ _Mystery Bouffe_』('21) の Viktre Petrovich Kiselev に よる一連の衣装デザインのデッサンも Malevich のミニマルさとは異なる力強さが あってよかった。と、ある演目に関するデッサンがある程度揃っていると、 雰囲気も分かりやすくてよかったと思う。 Diaghilev's Bullets Russes や Meierhold Theatre のような有名なものだけでなく、 もっとマイナーな劇団や、サーカスやキャバレーのようなエンターテイメント 寄りの演劇に関する資料もあって、それも興味深かった。_Paris Moscou 1900-1930_ (Centre George Pompidou, '79) でも、ここらは欠けているし。特に、マイナーな 劇団の中でも、モスクワの青シャツ劇場 (Blue Blouse Theatre) の一連のポスターは、 展示されていたポスターの中でも一番だったと思う。 98/10/10 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕