管理者本人すら存在を忘れがちなこのコーナー
第2回、そして早くも最終回という噂です。
1回目(落ちないイヤホン)はこちら

 

第2回:ボクの HEWLETT PACKARD ふたつ

ヒューレットパッカード(以下、【hp】と記述します)。日本でメジャーな製品といえばプリンタくらいですが、実は大変由緒正しいハイテクメーカーです。そんな【hp】のPDA「HP200LX」と電卓「32SII」をご紹介します。




その1:ボクにとっての究極テキスト入力マシン「HP200LX」
学校の授業や宿題で「作文」ちゅうのはどうもダメでした。
書くこと自体がダメというよりも、あの原稿用紙というメディアがダメでした。
今も小学生は原稿用紙に作文を書かされているのでしょうか。

「原稿用紙3枚以上」と指示されれば、出来るだけ楽して3枚めに到達したいのが人情。よって、なるべく行頭に改行をもってこようとするあまり、文章が冗長になったり寸詰まりになったりします。でもあんまりやりすぎるとミエミエですから、バランスにも配慮しなくてはなりません。

また、後から文章を直すときの労力は並み大抵ではありません。升目の数が合わなくなり、指折り数えながら、「だが」を「けれども」にしたり、読点を打ったり消したりと、無意味な努力を重ねることになります。
最悪、大部分を消しゴムで消して書き直すことになりますが、消してる途中に原稿用紙を破ってしまい、仕方なしに近所の文房具屋で買ってきた原稿用紙は、罫線の色合いが微妙に違っており、壁に貼り出されたときに「なんかおまえの原稿用紙だけ、みんなのと違ーぁよな」なんて余計な突っ込みを受けたりもします。
子供にとって「みんなと違う」ことは絶対悪なのです。

どんどん話がそれていきます。
つまり、原稿用紙というのは素人がモノを書くメディアとしては甚だ不本意感の強いものだったなと。
小中学校の作文の時間や宿題があんなに不人気であったのに、web上にこれだけエッセイや小説サイトがあるところを見ると、文章を書くこと自体が嫌いという割合は意外と低いのではないでしょうか?

初めてワープロソフトに触れたのは高校生の頃。ああ、なんて楽ちんなんだと思いました。それからボクは文章を書くことの純粋な楽しさに目覚め、簡単なエッセイから本格的な創作活動に手を広げ、ついには新人作家コンクールに応募するようになったりすることは全くなく、外字作りにハマりまくってました。ドット絵ですな。
でも、「これから文章を書く。ああ、書くさ、書くとも。押〜ッ忍!」みたいな敷居の高さは感じなくなりました。

で、やっと200LXの話です・・・
ボケ〜っと立ったままでいなければならない時間って意外に多くて無駄に思います。
人や電車を待つときや、電車で席に座れなかったときなど。
そんな時間は駄文でも書き連ねて暇つぶしをしたいのです。無駄なことに大差はありませんが。
でもワープロに慣れてしまった今、紙のメモ帳に戻ったりはできません。
手書き入力系のPDAも長文を書くのには向きません。
というわけで、「キーボード付きで持ち歩けるテキスト作成マシン」は必需品です。
いろんな製品がありますが、「立ったままで文章作成」という一点に絞れば、このHP200LXの右に出るものはないのではないかと思わないこともないのです!(自信なし)

モバイルノートPCやWindowsCEのキーボードも、「タッチタイピングできるか」についてはよく語られますが、「立ったままタイピングできるか」を評価した記事は見かけません。
プロの記者さんは、プレスルームの机の上で文章を作るからでしょうか?

ボクのLX。とっても古いマシンです。
既に生産は終了しています。
・上着のポケットに入る小ささ
・とにかく頑丈
・電池が長持ち
・電源オン・オフが瞬間的
・MS-DOSアプリが動く
・スケジューラーなどの内蔵ソフトが使いやすい
などなど、いまだに色あせない魅力が一杯。
このサイトの文章のうち、かなりの部分がこいつで作られています。
ちなみに画面は「痕 for LX」(爆)

見た目はヘボいキーボードですが、これ、実によく考えられています。
デスクトップ用のキーボードのように、なんというか、こう、キーが敷き詰められている方が見た目はカッコいいのでしょうが、キーの周囲に空きスペースがあることで2つのキーが一緒に押されるのが防いでいます。
実質的なキーピッチは15mm。サブノート並みです。
ちょうどゲーム機のコントローラーを持つ要領で、両手の親指でタイプしていきます。
10本指で打つ場合ほどのスピードは出ませんが、文章を考えながら打つにはちょうどいいくらいです。
慣れれば、親指だけでタッチタイピングできます。
辞書を見たくなったら、瞬間的にアプリを切り替えて、参照後、文章作成に戻ってくることも出来ます。

ヘヴィなLXユーザーさんから見れば、「もっともっと語るべき部分があるあるだろうが!」でしょうが、ボクにとっては「スケジューラー」であり「国語、英和、和英辞書」であり「ワープロ」です。
趣味としてLXに触れることは少なくなりましたが、完全なる実用品として毎日使っています。
壊れるまで使い続けると思います。




その2:世界一ヘンな【hp】の電卓

とにかく、「マイナーな物が好き」だったり「他の人と一緒じゃないことこそ最大の価値である」という方には、是非お薦めしたい逸品です。果てしなく風変わりな電卓です。
もちろん、「良いものは良い」という、消費者として王道を歩むあなたにも一度触れていただきたいと思います。が・・・

警告!
hp】の電卓の特殊な入力パターンは「もう最高〜ゥッ! これ、一生使う!」と言わせるだけの高い中毒性をもっているのですが、反面、ふつうの電卓が使えなくなります。
「いやぁ、一度この店の寿司を喰っちゃったら、他の店のは喰えないねぇ。どうよ?」みたいな意味ではありません。事実、使えなくなるのです。キーを押す順番に一瞬迷ってしまうのです。
「これ、一生使う!」というよりも「一生使わざるを得ない体に!?」という感じです。
hp電卓に慣れることで得られる快適さは大きいですが、それによる代償も決して小さくありません。
WindowsやMac OSのおまけプログラムの「電卓」ですら、違和感を感じるようになります。他人様から電卓を借りられなくなります。
hp電卓と心中する覚悟が必要です。
万が一、【hp】が「電卓作るのやめるっす。てへ。」と言い出したら、一生分の電卓予備機を確保しなければならなくなります。

閉じた状態の200LX(左)と
【hp】の電卓「32SII」(右)。
電卓シリーズの中では安価なものです。だいたい7000円くらい。
これが一番人気らしいです。
写真では見づらいですが、左端の大きめのキーが「ENTER」。
「=」キーはありません。

というわけで、この電卓のキモである「RPN(逆ポーランド記法)」です。
【hp】の電卓はRPNと呼ばれる表現方法で計算を行います。
詳しくは「RPN 電卓」あたりのキーワードで検索をかけてみてください。
で終わらせるわけにもいかないので、ごく簡単にご紹介します。

☆別に数学の勉強がしたいわけじゃないんですよ
例えば、
おとといは35アクセスありました。昨日は20、本日は今のところ半日で40アクセスです。
1時間あたりの平均アクセスは何回だろう。

と思ったとします。
普通、まず
35と20と40を足して、24(時間)に2(日)をかけて12(時間)を足したもので割ればいい。
と考えます。考えませんか? 考えて下さい。
計算式にします。
(35+20+40)÷(24×2+12)
です。
普通の関数電卓なら、この通りに打ち込みます。
カッコの入力が面倒くさいです。
関数電卓じゃなければ「M+」とかの謎なキーを駆使するらしいですが、よくわかりません(まぢで)。
義務教育を終了したオトナにとって、数学の取り決めに従った「数式」や計算過程はどうでもいいことです。

☆数式を意識せずに計算ができるのです
RPNの場合、こんな感じです。
「35に20を足して、40を足したものを、24に2をかけて12を足したもので割る」
とつぶやきながら、いきなり電卓のキーを押していきます。
35 [ENTER] 20 + 40 + 24 [ENTER] 2 × 12 + ÷
([ENTER]は数字と数字の区切りにつかいます。「35と20」なのか「3520」なのかを区別するためです。)
一見すると複雑な感じですが、日本語でのつぶやきとキー入力との間に不思議な整合性があることはお分かり頂けるかと思います。
答えは1.58アクセス。
数式やカッコによる計算の順番を意識する必要は全くありません。
日本語で考えた手順のままにキーを打てば、計算が出来てしまいます。
アメリカ企業の製品ですが、RPNは日本人にとって、とてもなじみやすいものです。



☆異様に高いハマり度
さきほどは「検索ページで調べて」なんて書きましたが、実際調べていただきたいのです。そこにはRPN中毒患者の叫びが満ちています。
ボクは基本的に理系の人間ですが、自分以外でhp電卓をを使っている人を見たことがありません。ご覧になっている方のほとんどがそうだと思います。
なのに、世の中には意外にたくさんRPNについてのページが存在して、皆さんが口々に「普通の電卓には戻れない!」と言ってます。
お疑いになるかも知れません。でも、それは本当のことです。

☆おまけ:ちょっとしたいじわる
【hp】の電卓を使っていると、「変わった電卓だねぇ」と声をかけてくる人がときどきいます。そういうときは「この電卓で、1+1を計算してみなよ」なんて言いながら手渡してあげます。
みんな、まず、「=」キーがないことに戸惑うようです。次に「ENTER」が「=」の代わりじゃないかと推理します。
1 + 1 [ENTER] と押します。
これは日本語で言えば
「(0に)1を足して、1に・・・」
ですから、液晶には「1」と表示されるだけです。
みんなムキになっていろいろ試しますが、正しい入力方法に気づくひとは、まずいません。ボクはニヤニヤしながら眺めます。いじわるですね。
もちろんその後、RPNについて簡単に説明してあげます。
こんな邪悪な楽しみ方(?)もあります。

                               ・・・おしまい

 


☆2002年5月12日 追記
上の方で、
『万が一、【hp】が「電卓作るのやめるっす。てへ。」と言い出したら、一生分の電卓予備機を確保しなければならなくなります。』
と書いてますが、ついに【hp】が「作るのやめるっす。てへ。」と言ったらしいのです。(TT)
時既に遅く、日本国内の流通在庫は底をつき、入手困難になってしまいました。
この事態に、RPN電卓を自前で作ってしまおうという動きを見せている企業もありますが、先行きは不透明です。
現在、海外からHP32SIIを2台取り寄せています。
これが届けば、手元に
  ・HP32SII ブラックタイプ 3台
  ・HP48G+ 1台
  ・HP32SII こげ茶タイプ(若干故障中)1台
の計5台(まあ、実質4台)がそろうことになります。
一生分というには心許ない台数ですが、少なくとも10年くらいは使っていけると思います。
壊さないように、なくさないように、大事に使っていかないと。