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先日、YoungGABBLE編集部はWindows95発売の状況を視察すべく、編集部の中から選ばれた精鋭が聖地・秋葉原電気街に立ったのである。以下はその時の壮絶なる惨状を記した物である。
22日午後9時頃、我々は秋葉原に行くまでの暇つぶしに池袋の街を歩いていた。と、突如Windows95を販売しようという豪気な店を発見してしまったのである。その名も「新栄堂書店」。タダの本屋かと思っていたらとんでもない伏兵であった。
しかし我々は更に恐るべきソフマップの作戦「サンシャイン噴水広場でWIN95を売っちゃうぞ作戦(んな名前ないって)」を視察すべく我々は噴水広場へと向かった。
ぼっち隊員「アオタカさん、あのコンビニでカメラ買いましょう」
まんがの森池袋店のそばのコンビニが見えてきたときぼっち隊員が進言してきた。もとよりそのつもりであった私は迷うことなくコンビニに入ったのである。しかし領収書をYoungGABBLEで切ろうとすると岩本隊員が
「ゲーブルは今、ヤバイですから領収書きっても金は出せませんよ」
やはり崇高なるYoungGABBLEもパンピー(一般人のこと)な御上には逆らえないので あろうか?それよりも極超高性能にして高価な「FUJICOLOR 写るんです800 Flash39」を自費で買わせようとは一体全体どういう事だ。(編注:趣味でやってるくせに予算を請求しないでくださいよ)
しかし予算が出ないからといって、ここで妥協して廉価なコダックの類似品にでも手を出そう物なら我々の取材は水泡に帰すかも知れない。(コダックのネガフィルムはラチチュードが狭いことで有名である、最近はどうだか知らないけど)絶対にミスは許されない今回の取材に命を賭けていた我々は数百円ずつ出し合いやっとの事で世界一高性能な純正「使いきりカメラ」を手にしたのである。
午後11時、秋葉原で高濱隊員と合流しこれから取材活動に移ろうとした矢先、ソフマップ星からやってきた板倉隊員がフラフラっと秋葉原のメインストリートである中央通りの方に歩き始めた。私は彼を追ったがソフマップシカゴ店の方に吸い込まれていく彼の姿を見るのが精一杯であった。
「やっぱり彼はソフマップに洗脳されていたか‥‥」
我々は仕方なくソフマップに吸い込まれたと思われる板倉隊員を捨て駅の方に戻ろうとしたときANN取材班が突如カメラを向けてきたのである。この突如のインタビューに動揺はしたものの適切な意見を述べることができた。曰く
「Windows95はバクだらけですから今買うだけ損ですね」
「取材しに来ました」
「Windows95を買いに来るやつを見に来ました」
「エプソンPC版のWindows95は2月26日ですからそれまで買いません」
しかし我々の言った言葉の一語に至るまで全てが米国Microsoft社ビルゲイツ大首領にとって都合の悪い答えであった。アナウンサーはあまりの否定的意見にビルゲイツ大首領の怒りに触れるのではないかとの危機感を抱いたらしく「訳の解らんフリ」をしてそうそうに撤退していったのである。我々は勝利した。
我々はなおも秋葉原の状況を取材すべく歩き回った。と、突如「オウム軍団」らしき波動を身に纏った集団が現れたのである。彼らは
「Windows95は東芝ブレッザで」
と叫びながらカタログらしき紙を配っていた。その様子はまるで夜逃げしたと噂されているマハポーシャ(オウム真理教直属パソコン販売店)のような出で立ちであった。しかし東芝の戦略は功を奏し、道行く誰もが
※この東芝の異様ぶりもはやYoungGABBLEの白黒の紙面では伝えることはできない
電大理工学部wwwホームページのカラー写真(後日掲載予定)を参照して欲しい
結局、電大サーバは誰に頼めばよいのか判断つかず、ここになってしまった
さらに我々が進むと今度はメッセサンオウの前に列ができている。
「こんな所でも95を売るのか‥‥‥ん?!」
なんと彼らはWindows95を買うために並んでいるのではなかった。列の一番先頭には同級生のポスターが出てくるゲーム機が置いてあったのだ。先頭でルーレットゲームに興じる彼らはポスターが出てくると、それを手提げの紙袋に入れて列の最後尾に並ぶのである。既に手提げの紙袋の中には数十本のポスターが入ってる筒があり、何度と無くその行為を繰り返していることは容易に想像がついた。さらには景品のポスターの中には特賞というべきポスターがあるらしいのだがそれが出る度に列に並ぶ皆が、見せろ見せろと奪い合う始末である‥‥
このあまりの異様な雰囲気は飯田隊員を狂わせるのには十分であった。なんと暴れ出した飯田隊員は今にもその列に向かって殴り込みしようとしているではないか。飯田隊員をみんなで羽交い締めにしながら必至でその場を去ることが我々にできる精一杯のであった。
そんなこんなをしているうちに午前零時が迫ってきた。段々と道行く人が多くなり嵐を予感させるには十分であった。そしてその時現れたのがMac集団である。彼らはMacルックで身をかため、Macintoshの優位性を主張するかの如く威風堂々とインテル系パソコンユーザーの中を歩いているのである。あまりにも清らかなオーラに私は思わず「写真を撮らせてください」と言っていたのである。
清らかなオーラを放つMac集団と別れ、いよいよカウントダウン間近のソフマップの前に立つとそこは身動きもままならないほど人口密度が上がっていて、もはやWindows95の売場には近づけなかった。我々は極力、現場の近くまで進んで待機するくらいしかできなかった。
そしてカウントダウンの用意もととのった頃、さっきとは違うMac愛好家がMacの優位性を訴えたカンバンを高らかに掲げながらWindows95の売場に向かって進んでいくのが見て取れた。そのとき私の頭の中で
「我々DOSユーザーも彼らと共に立ち上がらなければならなかったのではなかろうか?」
という疑念が駆けぬけた。しかしそんな疑念はすぐに無くなった。いや無くさざるを得なかったのである。あと数十秒で歴史的瞬間を我々は生で体験するのだ。そしてカウントはダウンしつづけついには0‥‥‥ソフマップシカゴ店の2階からは花火が派手に吹き出し、辺りの最高潮に高まった空気がその瞬間弾けたのであった。
平成7年11月23日午前零時、Microsoft Windows 95 Operating Systemの日本語版はこうして発売された。このWindows95発売の状況はNHKや民放により中継されていたので、秋葉原での阿鼻叫喚の惨状は全国民の目にするところとなったであろう。
しばらく秋葉原をうろつき池袋に戻った我々が見たものは虚無であった。やはりあの騒ぎは秋葉原だけだったのであろうか。否、秋葉原という世界一の電気街だからこそできたのかもしれない。なお、後日聞いた話しによれば大宮ソフマップの周辺には400人程の観衆が現れたそうな。
最後に若き命を散らした英霊に畏敬の念を示すため、この取材に同行した者の名をここに記したい。(編注:あのぉ誰も死んでないんですけど)
Macintosh教狂信者は大嫌い | 青木 ** | 隊長 |
理工学部学術文化部会YoungGABBLE編集長 | 岩本 ** | 副隊長 |
アニメオタクに殺意を持つ | 飯田 ** | 隊員 |
ソフマップ星からやってきた | 板倉 ** | 隊員 |
よど号(車)を自在に操る | 小久保** | 隊員 |
わりと何をしに来たのか不明な | 高濱 ** | 隊員 |
協力?:コンピュータクラブ 平成7(A.D.1995)年12月8日 |