発作の継続時間は短い時は1分以内ですが,まれに1時間以上も続くことがあります.
発作は自然に止まる場合がほとんどです.
しかし,どうしても止まらないときは救急病院へ駆け込み,薬を注射することなどによって発作を止めてもらうことになります.
#ちなみに,発作が始まる時も脈拍が突然150以上にぽんと跳ね上がるのですが,
治まる時も突然70〜80にぽんと戻ります.
このタイプの不整脈は,治療せずにいたとしてもただちに命に別状はありません.
発作の起きていない時はまったくの健康体として生活できます.
ただし,いつ発作が起きるか,という不安はあります.
特に,発作が起こると致命的なことになりかねない業務に従事している人は要注意でしょう.
(※) WPW症候群:先天的に心臓に異常があって,正常な伝導路(房室結節)以外にも心房と心室を短絡する副伝導路(ケント束)が存在してしまっているもの.発作性上室性頻拍を引き起こす最も一般的な原因.(※※) 多い場合は伝導路が3本とか4本あることも...
発作は普通の状態ではなかなか起こらないのですが,過労・睡眠不足・強いストレスなどによって誘発されると言われています.
現在(2001年当時),約2%の確率で合併症の危険があると言われています.
最も多い例が,出血(主に術後の止血の不完全),および気胸ですが,これらは命にはあまり関わらないとのことです.
命に関わるものとしては,0.2%程度の確率で,心破裂(カテーテルが突き破ってしまう),脳硬塞(焼灼によって生じた血栓が脳血管に詰まってしまう)等の心配があります.
手術による入院期間は,治療が順調ならば1週間以内です.ただし,もし治療中に何らかの問題(合併症等)が生じた場合には,それ以上に長引くことがあります.
手術時には,カテーテルを心臓に挿入した後,治療(問題部分の焼灼)に先立って精密な検査(心臓電気生理学的検査:EPS)がまず行なわれます.これにより頻脈のタイプが判定されます(WPW症候群か,房室結節リエントリー性か,など).
手術が成功すれば,頻脈の発作は全く起こらなくなります. ただ,治療で焼灼するべき場所が「スリリングな場所」(※)である場合, 焼灼を完全に行なうことができず,もしかしたら発作が再発してしまうこともあります.(2週間程度のうちに,火傷が直るのと同様にして,焼灼した部分が元に戻ってしまう可能性がある.)
(※)「スリリングな場所」とは,焼灼するべき場所(余分な伝導路)が正常な伝導路に非常に近い,という意味です.ちなみに,もし過って正常な伝導路を傷つけてしまうと,完全房室ブロック(心房から心室へ電気信号が伝わらなくなる)になってしまい,一生ペースメーカのお世話にならなければなりません.
カテーテルは右首や右鼠蹊部などから入れます.
術後の止血では数時間の安静が必要ですが,このとき止血がうまくいかないこともあります.
(これは,血栓防止用に血液が凝固しにくくなる薬を使うことも要因でしょう.)
止血がうまくいかないと,安静解除のときに,一旦塞がった傷口がぱっくり開いて血が噴き出してしまいます.
その場合は,もう一度止血&安静をすることになります.
普通は,手術を受けたその日の夜には歩けるようになります.
術後,傷口に直径数cm〜10cmくらいの皮下出血が見られることがありますが,
2〜3週間のうちにほとんど跡は消えます.
ちなみに,術中も心臓はずっと動かしたままです.:-)
普通は局部麻酔(カテーテルを入れる場所のみ)なので,心臓にカテーテルを入れている間もずっと起きていて,医師たちの会話なども全て聞こえます.
術中,特にカテーテルの挿入時にはそれなりに痛いですが,歯医者さんでの痛み程度を想像していれば当たらずとも遠からずです.
むしろ,心臓電気生理学的検査のときに人為的に頻脈の発作を起こされ続けることの方が苦しいかもしれません.(カテーテルの位置を変えながら頻脈の発作を電気的に起こさせて,問題の部位を探る.)
心臓が電気信号によって動くポンプである,ということが実感できるでしょう.(^^;
注意:私は心臓の専門家ではありません. 本ページの内容は,循環器内科の医師の話,関連する図書やweb,などから得た情報から私が理解した(と思っている)ことを書いたものですので,正確なところは専門の医師にご確認下さい.
Created:May,7,2001