メーリングリスト超入門講座
     とにかく技術的な仕組みはさておき、メーリングリストに参加してメールのやり取りを楽しむ際、これだけは知っておいてほしい『初歩の初歩』をまとめたのがこの「メーリングリスト“超”入門講座」です。インターネットを始めて間もない方はもちろん、メーリングリスト(メーリス)に参加するのがまったくはじめてという方は、この機会に参加の心得を学ぶ絶好のチャンス! 決して難しいものではありませんから、ぜひ目を通してくださいね。

    ステップ1:メーリングリストってどんなもの?
     メーリングリストは登録制の情報交換の場

     メーリングリストとは、一言でいえば電子メールを使って大勢の人とコミュニケーションのできるしくみのことです。最近では、若年層の間でメーリングリストをメーリスと呼び親しまれています。メーリングリストは登録制で、主催者を務める管理人が必ずいます。参加するには、管理人に入会希望のメールを出すか案内に記されている手順にしたがって入会登録をします。登録されると、入会案内が送られメール配信が始まります。これで、晴れて仲間の一人として参加できるようになります。基本的に登録者以外の人がメーリングリストにメールを出してもそのメールは配信されないしくみになっており、部外者からやみくもなメールは出せないようになっています。



     メーリングリストと文通の違い

     メーリングリストは、1対1の文通ではなく大勢の人と電子メールを使ってやり取りをする場です。決められたアドレスへメールを送るだけで、登録されている人全員にそのメールが配信されるようになっています。特定の人と個人的なメール交換をするのではなく、大勢の人が意見や情報交換をし合いながら話に花を咲かせていくのがメーリングリストの最大の楽しみなのです。



    ステップ2:メーリングリストに入る前に必ず知っておきたい基本心得
     メーリングリストには目的別のメールアドレスがあります。

     メーリングリストは普通の文通と異なり、用途に応じた専用のメールアドレスが用意されています。その中には人が目を通すのではなく、コンピュータが自動解釈して処理するために設けられた特殊なものがあります。多くのメーリングリストでは次のような専用のメールアドレスがあります。

    メール投稿用 管理人連絡用 自動処理用
    投稿用アドレス 管理人アドレス コマンドアドレス
    メーリングリストにメールを送るためのアドレスで、参加者全員に配送されます。 主催者である管理人に転送されます。事務的な連絡に用いるもので、owner-***や***-adminで始まるアドレスになっています。 入会・退会など管理処理用のアドレスで、人は目を通さずコンピュータが自動処理しています。majordomoあるいは***-ctlというアドレスがこれに該当します。

     これらのアドレスは、目的に応じて使い分けします。目的に応じたアドレスを把握しておくのが、メーリングリストに参加する上での初歩中の初歩です。くれぐれも、メーリングリストから配送されてくるアドレスに何でもメールを送る行為はしてはいけません。その心構えは必ずもっておくようにします。

     退会など事務的な問い合わせは管理人あてにメールします。

     とっても大切なエチケットです。たとえば、自分がメーリングリストをやめたいとき、やり方がわからないからといって参加者全員に配送される投稿先に「退会させてください」というメールを出したら、参加している他の人にとって気分のよいものでしょうか?自分はそれで目的が果たせますが、自分本意のたった一通のメールが場を冷めさせ、せっかく話に花が咲いているムードに水を差して台無しにしてしまうのです。やり方がわからないからといっても、楽しい思いをしている他の参加者を不愉快な気持ちにさせる行為となっては容認されるものではありません。事務的な内容のものは管理人だけわかればよいのですから、直接管理人に問い合わせます。そのためにも、先に説明したメールアドレスの使い分けはしっかり把握しておかなければなりません。

     入会案内は一読し、大切に保存しておいてください。

     メーリングリストに登録すると、管理人からまたは自動的に入会案内のメールが送られてきます。この案内は必ず一読して、破棄せずに残しておくようにします。メーリングリストの入会案内には、先に書いたような登録や退会の方法と受付用のアドレス、メーリングリスト投稿先、管理人の連絡先、そのメーリングリストでのローカルルールなどが書いてあります。見ず知らずの多くの人が集まっている場に自分も加わるのですから、入会案内を読まずにやぶからぼうにメーリングリストへメールを出せば大勢の人を不愉快にさせてしまいます。各メーリングリストごとに特有のルールがあり、それを無視するわけにはいきません。入会案内に目を通し、送られてくるメールからその雰囲気をつかみながら参加していけば、おのずと仲間の中に溶け込んでいけます。また、いざ退会したいときどうすればよいのか方法を忘れがちです。先に述べたように、何でもメーリングリスト投稿先に投げかければよいというものではありません。入会案内は、参加時に関するあらゆる情報が記載されている大切な文書です。必要なときいつでも参照できるようにしておくことをおすすめします。

    ステップ3:これだけは知ってほしいメーリングリストの基本
     メーリングリストから来るメールは自分だけに届いているのではありません。

     メーリングリストから送られてくるメールは自分一人だけに配布されているのではありません。メーリングリストには自分以外にたくさんの人が登録されていてその人達全員に同じメールが届けられているのです。「知ってるよそんなの」とわかっていながら、どことなく実感できないものです。しかし、大勢の人に同じメールが配布されているという意味はとても大切です。理屈抜きでまずこの点はふまえておくようにします。

     自分が出したメールも登録されている人全員に送られているのです。

     あるメールに対して自分もメールを出してみたい時ってありますよね。そこで思い切ってメールを出しました。そう、ここで大切なことがあります。メーリングリストへメールを出すということは、特定の相手だけでなく登録している人全員に同じ内容のメールを送られているのです。時々、勘違いされているケースがあり、自分がメーリングリストへ出したメールはその人だけに送っているものと解釈している人がおります。つまり、自分が受け取るメールは登録されている人から自動的に送られてくるもので、自分が出すときはその人だけへ送っているものと受け取っているのです。パソコンを使ってメールを利用していると自分だけにしかメールが送られてきていないものと錯覚してしまうためにこういう受け取り方をしてしまうのかもしれません。
     自分がメーリングリストに出したメールはすべての参加者に届けられます。これが忘れてはならない2番目のポイントです。



     送られてきたメールは参加者全員が目を通しています。

     メーリングリストから送られてきたメールって目を通したくなりますよね。もちろん、関心のないものはパスすることもあるでしょうが、おもしろい情報はないか興味をもつものの方が多いはずです。
     ということは、大勢の人にメールは読まれているという事実をふまえてメールを書くというスタンスがメーリングリストでは重要になってきます。どんなメールでも人に読まれる、しかも自分の知らない大勢の人にです。

     それゆえ、メーリングリストは文通をする場所ではないのです。

     ここが大切なポイントです!
     メーリングリストは特定の人に文通のような形で個人的なメールのやり取りをする場所ではないのです。最初に書いたようにメーリングリストへメールを出せば同じメールが参加者全員に送られます。ということは、特定の個人あてにあたかも文通のようなメールを出しても関心があるのはその当事者だけとなってしまうのです。つい、自分だけにメールが届けられていると思いがちになると、他に読んでいる参加者のことを忘れがちになります。メーリングリスト初心者にこのケースがよくあります。



     メーリングリストは文通仲間を探す場所と受け取ってしまい、いい人が見つかるとメーリングリスト上で文通をしようとしてしまいます。でも、それはメーリングリストではすごく敬遠されます。この点をぜひ知っておいていただきたいのです。

    「メーリングリストは大勢の人が話題を共有してコミュニケーションを楽しむ場所」

    個人的な文通はメーリングリストではなく直接相手に送る私信として出すようにします。

     メーリングリストへどんなメールがいいの?

     「じゃあ、どんなメールを出せばいいの?」

    とつい聞きたくなります。「情報なんてもってないし・・・」と口に出てしまうかもしれません。ところが、そんなことはありません。
     ポイントは、とにかく人に何かを知ってもらう内容を盛り込んでいくことです。その内容がまさに人に読んでもらえる「情報」となるんです。たとえば、自己紹介を例に揚げると、自分の趣味を単に書くよりは、いつごろからはじめたのか、そして今までどんな経験をしたなどこれだけでも話題がふくらみますよね。これが情報の質になっていくのです。ある話題に返信をするときも自分のもっている意見をみんなに聞いてほしいという気持ちを込めて書くとそれが相手に伝わっていきます。そして、それが大勢の人から返信をもらうきっかけとなるんです。メーリングリストのメールというのは、こうした大勢の人から返信をもらえるような人に自分を伝える内容を盛り込んでいくのが大切なのです。それをみんながしていくことで大勢の人が読んで楽しみ、返信を書いて楽しみ合うようにしていくのです。
     個人的なやり取りではなく、大勢の人が返信していくメールをやり取りしていくのが最も楽しい活用なのです。

    ステップ4:参加者全員に読んでもらえるメールを書くには
     「**さん“へ”」の「へ」は大きな蛇足。

     メーリングリストで特定の人へ返事を書く際、「〜さんへ」という書き出しをしてしまうと、文通メールと受けとられその相手だけにしか関心をもたれなくなります。もし、「別にそれでもいいけど」と思ったら、そういったメールはメーリングリストではなく個人的なやりとりとして出すのが適当です。
     さて、メールを出すとき「〜さん」と書くのはよくありますが、語尾に「へ」とつけてしまうと、その人だけへの返信というイメージをもたせてしまいます。当事者以外の人がそれを目にすれば「私には無関係なものか」とその先のメールの内容を読もうとしなくなってしまいます。
     メーリングリストは文通をするところではなく、特定の人同士の「公開文通」を見せるところでもありません。大勢の人に読んでもらえるメールを出しながらみんなで返信をしていく。この繰り返しで楽しいコミュニケーションにしていきます。書き出しは特定の相手だけの返信という印象をもたれないようにするように心がけます。

     メールにつける件名は内容のわかるものに。

     電子メールというより、人にものを伝えるといった経験の少ない人にとって軽視しがちなのが、用件の見出しをいかにわかりやすく記述するかという点です。「中身を読んでもらえばわかるから」、「見出しって何を書くのがよいかわからない」といった感覚でその重要さを忘れているケースがあります。
     電子メールを読むときって必ず一覧にある件名(サブジェクトとも言います)を見ますよね。メーリングリストに入ればメールがたくさん来るので、どれから読もうか選択するために、件名を見て「品定め」をします。ということは、どんな内容の書いたメールかをわかりやすく興味をもたれるものにしなければ、せっかく書いたメールの閲覧が後回しにされてしまい、もしかしたら読んでもらえないかもしれません。それだけ、件名って重要な役割をしてます。
     「お返事ありがとう」、「〜さんへのメール」など、本文に何が書いてあるかわからない、どちらかといえば事務的に処理したような件名のものがあります。たくさんの人に読んでもらうには安直に件名を書くのではなく、こういう内容のものというキーワードを盛り込んで付けると、関心をもってもらえるようになります。



     漠然とした内容は中身の薄いメールになってしまいます。

     いわゆる、走り書きのようなメールです。

      「今日は暇だから、喫茶店でマンガを読んだ。なんかつまんない。そんな今日一日でした。」
      「今日のサッカー、イチオシのチームが勝ってうれしかった。ばいざーい。」
      「〜さん、私もそのバンド好きです。CDもってます。」
      「私もハワイに行ったことがあります。みなさんも行ってみたらいいですよ」

    など、少々極端ですが文字数こそあれどもメールの内容がこれだけでは楽しみってまったく伝わってきませんよね。何が欠けているかというと、自分の頭の中ではわかっていてもそれを人に伝えるだけの内容が全然盛り込まれていないのです。それゆえ、「ただ、書いただけ」のメールになっており、読まれなくてもいいやという、出して喜んでいるだけになっているのです。メーリングリストではメールを読んで楽しんでいる人が大勢います。漠然と書いてあるだけのメールを受け取ってもそういった人達は面白さをを感じないばかりでなく、メールを出す人も返信のきっかけがつかめません。
     最初の例の、暇つぶしで読んだマンガの話題、たとえば今はまっているマンガは何か、いつも読むコミックや雑誌など、感想も含めながら書いていくと内容が濃くなってきて、「おー、この話題なら返信を書きたいな」という気持ちがわいてきます。
     メーリングリストへのメールは、自己満足な独り言を書いても誰も読んではくれませんし、そんなメールばかりでは発展もしません。量より質、ちょっと自分の心の中にあるものを盛り込めば興味を抱かれるよいメールになります。ぜひ、こういった中身をこめたメール作りをしていくよう心がけてください。

     メーリングリストでは学生という甘えは通用しません。

     最後に、これは学生さんが対象です。メーリングリストのみならずインターネット上でのコミュニケーションには、「私、学生だから」または、「学生なら大目に見てくれる」という言い訳や甘えは通用しないと思ってください。節度をわきまえない態度をとったり、人を不愉快にさせる言動をしても、「学生で何も知りませんでした」では誰も理解をしてくれません。また、ここのメーリングリストでは学生が多いから何をやっても同輩だから大目に見てくれるといったとらえかたをされても通用しません。学生という立場であろうと、人と接するにはしっかりした自覚ある振舞いをするのが基本です。もしそれが何なのかがわからなければ、メーリングリストで他の人達が出しているメールを読んだり実際に日常生活で人と接する機会を増やすなどして自分自身で体得してから参加するようにしてください。もちろん、失敗もあります。でもお互いそれを教えあっていくには自己問題解決する能力が欠かせません。当然、マニュアルのような教本は存在しませんので体で覚えていかねばなりません。
     たとえ趣味でも大勢の人と関わるのがネットワークです。それを忘れずにメーリングリストに参加するのが賢明です。



     メーリングリスト超入門講座はこれで終りです。楽しい話題を繰り広げるには、文通や漠然とした内容のメールが増えては大勢の人が参加しにくい、一部の人だけがおもしろがるだけの場となります。また、人とのわきまえをふまえて参加しなければ相手にされないばかりか、他のメンバーとの間で大きな衝突を引き起こしかねません。
     でも、自分がしっかり節度ある自覚をもって参加すればこれほど楽しいものはありません。メーリングリストのみならず、インターネットを楽しむ上での共通した事柄も今回の講座で含まれています。この機会にネットワークでのコミュニケーションに大切な要素ってこいういものなのだな知っていただければ幸いです。メーリングリストでの細かいエチケットについては「メーリングリストのエチケット」にて詳しくまとめられていますので、ぜひ参考にしてください。

     いかがですか?「そうなんだ」と思うことがあったかもしれません。文通とは違う複数の人同士でかわし合うメールのやり取りの心得、ぜひ知っておいてくださいね。メーリングリストについてもっと知りたい人は、「メーリングリスト開設の手引き」もぜひご覧ください。たくさんのメーリングリストを探してみたい方には、メーリングリストインフォメーションストリートがおすすめです。


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