メールの返信をする際、元のメールを引用すると話を発展させるのに便利です。 しかし、引用を多用したり、間違った使い方をすると逆効果になり、ときには読み手に 不愉快な印象を与えます。  そこで、適切な引用の使い方について説明いたします。電子メール初心者の方は ぜひ読んでください。 −− 引用を活用するには −− ● メールの後に相手のメールをつけるのはマナーではありません。  電子メールで相手に返信を送る際、元のメールを後ろにつけるのはマナーと思って いる方がたくさんおります。しかし、これは電子メールのマナーでも何でもありませ ん。不要なメールを送りつけているばかりで実際に利用しているかというとそうでは ないからです。インターネットが普及して勘違いされてはじまった悪い慣習なのです。  メーリングリストではこうした不要な引用はもっとも嫌われます。メールの後に元 のメールを丸ごとつける全文引用は絶対にしないでください。 ● 返信の際に原文が表示されるのは残すためにあるのではありません。  これは初心者が勘違いするケースで、電子メールの全文引用が慣習になった原因 とも言われています。メールで返信を書く際に、引用符のついた元のメール全文が 表示されます。これは、返信を書く際に引用を編集しやすくするために配慮されて いるだけで、不要であれば自分で削除するというのが本当の使い方です。初心者は この引用文は残しておくものと勘違いし、返信に一緒にくっつけておくものと 誤解して使っている人が多くいます。不要な原文は削除するのが基本です。 返信は元のメールをつけるものと誤解しないようにしてください。 たとえ他の人がやっていても、それは本当のメールの出し方ではないのです。 ● 引用は必要な時に有効に  引用は、自分の意見や主張を書く際、他の人が述べた内容を用いて話を進めていく ときに使います。引用は適量に使えば自分の主張を有効に読み手に伝えることが できますが、長文になったり多用しすぎると主張したい内容が埋もれてしまい、 読む側にもたいへん読みにくいメールを送りつけてしまう結果になります。  引用は必ず付記しなければならないものではありません。必要なときに、 そして必要な部分のみ使うのがポイントです。 ● 無用な引用をしないようにするのはなぜ?  一番の理由は、前にも書いたとおり自分の主張が埋もれてしまうことですが、 他に次のような理由があります。  ・ メールを読み出す時間がかかります。商用プロバイダを利用している人に    とっては経済的な負担となります。ちりも積ればで、引用の多いメールが    大量になりますと、それだけメールの読み出しにも時間がかかります。  ・ 複数の人から返信をもらう際、何度も同じ引用を読むことがあります。    特に、議論をしているときに前の主張をまるごとを引用し続ければ、読む側も    長文の引用を繰り返し読まされるため、多大な負担をかけてしまいます。    複数の人で繰り返されればなおさら大変です。  ・ 本題とは無関係の引用を読むと、時として不愉快な思いをします。長い引用の    後で、本文があいづちを打つだけのものはさらに嫌な気分を与えかねません。    メールの量が多いときはそれだけストレスとなり、こういう状態が続くのは    好ましくありません。 ● 引用は3〜4行、多くとも6行程度に  おおよそ、引用は3〜4行程度で必要な論点が収まります。また、読み手にとって もこの程度の引用が読みやすさの目安にもなります。多くても6〜7行もあれば十分 必要な部分を引用できます。それゆえ、10行以上にわたるような引用はなるべく 避けた方が望ましいです。読みやすいメール作りのため、できるだけ引用は最低限に 工夫することをおすすめします。  引用は関連部分のみ取り出せば十分です。一段落まとめて引用して実際に関わ っている内容はほんの1行くらいで、あとは無意味といったパターンをよく 見かけます。それでは読み手にとってはどの部分を引用して述べているのか 見当がつかずしかも本題とは無用な内容まで読ませてしまうため読み手に時間の ロスをさせてしまいます。 ● 引用が多くなるときは  どうしても引用が長くなるときは次のようにすると便利です。  ・ 引用部分の最初と最後のみが対象のときは、「中略」とつけて間の部分を    削除する。  ・ 引用部分が分散しているときは自分で「●サブタイトル」といったように    独自でサブタイトルをつける。  ・ 無理に引用をしなくても読める文章を工夫する。    (この方がシンプルで読みやすい文章になります。)  引用は必ずしなければいけないというものではありません。くせになると必ず 引用をして書かねばという錯覚に陥り、何でも引用をして意見を書くようになり 時として読みにくい文面になります。引用は適度に、そして最小限に使う習慣を つけておくとベターです。 ● 引用するときの注意  ・ FromやDateなどのヘッダの引用は特に必要ありません。長いヘッダが    続いてしまいますとかえって読みづらいメールになるときがあります。  ・ 自己紹介の返信でよく相手のプロフィールを全文引用してそれに対する    返信内容がその中のごく一部というケースがあります。これは無意味な    引用ですので、プロフィールに関連した部分のみに絞る方が望ましいです。  ・ あれもこれも引用して本文を書くのはご注意ください。気がつくと元の    メール全文を引用しているときがあります。  ・ 質問への回答に引用を使う際は、その質問部分を取り出す程度にとどめる    とよいです。  ・ 繰り返しになりますが、引用しなくてもよい部分は最初から引用せずに    書くよう試みてください。すっきりした文面ができあがります。  詳しくはメーリングリストビギナーズコラム http://www.kt.rim.or.jp/~atsato/beginer/ をご覧ください。 メールはちょっとした工夫でたくさんの返信がもらえたり、新しい意見が聞ける きっかけになります。それは当事者だけでなく、メールを読んでいる側にとって も収穫の大きいものです。  読みやすいメールを作ることはコミュニケーションをよりよくしていくための ワザです。そのための参考になれば幸いです。