相変わらず、世知辛い世の中、変な事件も連続で起こっている。自殺者多数で男性の平均寿命が下がるなど、国民の気分が沈滞しているようである。そんな雰囲気を吹き飛ばすべく、癒し系として、ここに一冊の名作アメコミ「ブラック・オーキッド」を紹介しよう。

ニール・ゲイマンの「ブラック・オーキッド」は「サンドマン」が生まれる前の作品である。ニール・ゲイマン/ライター、デイブ・マッキーン/アーティストでマッキーンがフルでとても美しいコマを描いている。

私もサンドマンの詳解のページを制作しているが、「ブラック・オーキッド」にはサンドマンに負けず劣らず心酔している。



なんといってもマッキーンの緻密な絵にしびれる。主人公ブラック・オーキッドの美しさには息を呑む。上質の映画を思わせるようなコマの連続、レックス・ルーサー、バットマン、マッド・ハッター、ポイズン・アイビー、それにスワンプ・シングなどDCおなじみのキャラが出演して華を添えている。

ストーリーは組織犯罪を追うブラック・オーキッドが自分の出生の秘密と生きる目的を求める旅の過程を綴ったものである。ストーリーをプロットで追うと、特にどうのこうのということは無いが、ゲイマンの魔術というのだろうか、読んだ後しばらくその世界に浸ってしまう。

ブラック・オーキッドの穏やかで、平和な性格は読んでいる者にとって非常に心地良い。
場面展開は結構早いのだが、ブラック・オーキッドのそんな性格からか、底辺に流れる時間はゆったりとした印象を受け、読んでいるうちにストレスで高揚した精神は治まり、優しい気持ちになれる。そんな癒し系の一冊である。

残念ながら邦訳の話はまだ無いので、原書購読でどうぞ・・・


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