遊びと仲間づくり-1


幼稚園は就学前教育ということで、小学校へのステップとなるよう集団に慣れたり、生活習慣を身に付けたりすることが大切です。その中でも遊びは大きな位置を占め、生活と密接に関わっています。幼稚園では、遊びの中からさまざまな経験をして、色々なことを学び取っていくことを大切にしています。

園での遊びは多種多様です。*けいどろ、*こおりおに、砂場、ドッヂボール、サッカー、大なわとび、固定遊具での遊び、色水遊びなどがあげられます。 

けいどろ、こおりおに、木おに、ドッヂボールなどは、子供たちの仲間意識が芽生えて初めて盛り上がる遊びです。一学期頃ではクラスのチームワークもまだできず、ルールも守られないことが多いので砂場や固定遊具での遊び、花や葉での色水遊びなどが多く見られます。

二学期頃からやっとルールが理解できるようになって子供たちが保育者や友達を誘うようになり、次第に違うクラス、違う学年の子どもとも一緒になって遊ぶようになります。年長児は年中児に教えてあげるような余裕も出てきます。初めはルールを守らずに自分勝手に進めてしまうことも多くありますが、そのうち他の子の行動を見る中で、ルールを守らなくては楽しくないということが自然と分かるようになります。

*けいどろ
けいさつとどろぼうの二手に分かれた鬼ごっこ。けいさつに捕まったどろぼうは牢屋に入るが、味方がけいさつのスキをみて、牢屋に入っているどろぼうにタッチしたら、またもとどうりに逃げられるというもの。

*こおりおに
おにを一人決め、鬼ごっこをするが、おににタッチされたら動けなくなってしまう。(凍ってしまう)やはり味方にタッチしてもらえたら元通り。


遊びと仲間づくり-2


年長児の間では、今はドッヂボールが盛んで、ルールを理解し保育者なしでも遊べるように、集団遊びを保育者から提案するようにしています。

砂場遊びは時期に関係なく人気があります。川をつくる子、お団子をつくる子、山をつくる子、ダムをつくる子など作るものは違いますが、それぞれに年上の子達から年下の子達へ伝わっている遊びのコツのようなものがあります。

お団子や山を固くつくるためには、水をかけたり、白砂をかけたり、ダムや川に水を流すときは高いところにジョウロを埋め、そこに次々水を足してジョウロの口から流れるようにしたりと、個々に遊んでいるように見えてもしっかり周りを見て一緒に遊んでいるのだということが分かります。隣同士で別々に作っていた山とダムをつなげたり、山にみんなでトンネルを掘り穴と穴がつながって手が触れ合ったときの感動は、砂場ならではの楽しみだと思います。
先日も砂場で「先生!ここに乗ってみて。」と言われ、土の上におそるおそる乗ってみたら何と落とし穴でした。どうやって作ったのか聞いてみたのですが、大人では思い付かないような素敵な遊びの世界がありました。

園にはすべり台やうんてい、飼育小屋などがありますが、自然物を使っての遊びも大切にしています。どんぐりや栗を拾ったり、木の実でおままごとをしたり、低い木に絡まっている蔓を結んで紅葉のネックレスを作ったり、栗でスプーンを作ったり、洞窟に懐中電灯をもって探検に行ったり、落ち葉掛けをしたり、落ち葉のベッドを作ったり・・・と自然に親しんでいます。


遊びと仲間づくり-3


*冬の遊び

冬は氷とりに夢中で、*山に行くと氷や霜柱を見つけては、太陽にかざしてみたり、大切そうにハンカチやポケットにしまっています。しばらくたって、ポケットやハンカチの中はぬれて何もなくなっているのですが・・・

それを見て淋しそうにしながらも、「氷って溶けるんだよね。」と、身をもって自然から学びとる事が多くあり、よい経験になっているようです。

大人が教えたり、与えてしまうことは簡単なことですが、子供が自分自身で考えたり、知ったり、身に付けたりすることの方が大切だと思います。大人はどうしても先回りしてしまうことが多いと思いますが、いかがでしょうか?

*室内遊び

戸外と比べて男の子と女の子の遊びは大きく違います。
男の子はブロック、ねんど。女の子はごっこ遊び、お絵書きが好きなようです。
年少、年中児は同じ遊びをしている子と仲間意識を持ち、年長児は仲の良い仲間と同じもので遊ぶというところに大きな違いがあるようです。

*物の大切さを教える。

物の豊富さということで、折り紙の使い方にも試行錯誤しています。一回折ってすぐにポイッと放ってしまう子が多く、折ってしまえばその折り紙には用はなくなってしまい、また次のものを欲しがることが多く見られます。
使ってポイされたものをもう一度きれいに広げたり、活動で使った残りの紙をとっておいて折り紙にしたり、色々なものでも折れるということを教えるために、広告などで紙飛行機を折ったりすることもあります。物を大切にしてもらうために、さまざまな努力をしています。

山・・・幼稚園の園庭の続きにある、自然公園の小さい様なところです。


遊びと仲間づくり-4


*遊びと保育者の関わり

遊びのあらゆる面から仲間意識は高まっていきますが、幼い分、保育者の関わりも大切になってきます。
なかなか遊びに入れない子を、保育者のそばで安心感を与えながら集団遊びに誘い入れたり、時には保育者が集団遊びのリーダーシップをとり、さまざまなクラスの子供と関わり、仲間を広げたりします。それが仲間づくりのきっかけになる場合が多いのですが、消極的な子供に対しては、保育者からでなく子供たちに呼びかけ、仲間に入れてもらうこともあります。子供同士の方が心を開きやすい場合があるからです。

年少、年中児の場合はまだ全体的に見て、保育者を中心としていることが多いようです。

*初めての仲間

初めて園に入ってくる子供たちの仲間は、同じバスや近所の子供です。やはり園に入る前に仲良しで、そのまま一緒に来る場合が多く、親同士、子供同士のコミュニケーションもはかりやすいのだと思います。でも時間が経つにつれ、遊びの発展とともに、仲間づくりも同じクラス、違うクラス、違う学年へと発展していきます。
けれどもせっかく園で仲良くなって遊ぶ約束をしても、幼いために一人で遠くまで出かけられず、園だけのお友達になってしまうこともあります。お母さん同士で連絡をとって遊ばせたり、園を父兄の方にとっても交流の場にしていただければ、より一層発展していくのではないかと思います。
親同士のつながりというものも子供たちに大きく影響を与えているひとつだと思います。


遊びと仲間づくり-最終回


*テレビの影響

子供たちの遊びには、テレビの影響も大きいと思います。
アニメのヒーローヒロインを演じ、ごっこ遊びにしたり、口まねをすることで、友達同士の仲間意識を深めているようなところも見られます。一時、アニメの主人公の声、言葉を真似して話す子が多くなって、「本当の声聞かせて・・・」と促すこともありました。
でも、なかなか自分を表現できない子が、主人公という人物を自分の前に立て、その口まねで意志を伝えたり、表現したりすることで仲間とのコミュニケーションをはかることができるようになることもあります。
又、アニメの戦いのシーンを真似てごっこ遊びをする子供もいますが、今のアニメ特有の「死んでも再生する」というような場面も子供の心の中にそのまま組み込まれ、アニメの中でのことなのか現実のことなのか分からなくなり、加減ができなくなることもあります。
又、一人の子がヒーローになり、他の子がその子に従う場面も普段の生活にも影響し
「ヒーローは絶対だ」という少し偏った仲間が生まれることもあります。
テレビからの影響も「悪いもの、良いもの」があるのでどうやって子供に伝えていけばいいのだろうかということが課題となっていると思います。

今の子供たちは、本当に様々な環境の中にいます。遊びは子どもの生活そのもので、その中から何かを学んだり、友達関係を広げる貴重なものだと思います。これからも子どもの遊びを大切に見守っていきたいと思っています。

--------おわり--------