== GHIBLI ==
旅日記

「あの、旅日記みたいなものを書いたので掲示してみました。つまらなかったらすぐやめて良いんです。ぃぇ、ご迷惑でなかったら、あの…  ドキドキして、とても…」(1996年9月14日〜15日)

10時半頃、多摩川にかかる関戸橋を渡り、右折すると聖蹟桜ヶ丘の見慣れた京王デパートが見えて来た。初めて来た街なのに見慣れているのも妙なものである。駅に着くとしばらくの間、京王デパート駅舎に見とれてしまった。何の変哲も無いビル群に感激するのも何か変であるが、気持ちの高揚は抑えられない。

昨日からの雨は一日降り続くが、翌日は晴の予報だったので、この日は写真撮影の下見をするだけの予定であった。駅から南にのびる並木道をを桜ヶ丘団地に向かう。300m程行った所にある霞ヶ関橋を渡ると眼前にいろは坂が見える。映画そのままの風景にまた感激してしまう。さて、坂を登るか、と思った途端に2輪車進入禁止の標識が…  えっ?歩かなきゃならないのか? もう一度標識を見直すと補助標識に13−5と書いてあった。まだ午前中である。そのままバイクで登っても良いようだ。坂には歩行者用の階段もちゃんとある。坂の途中で時々停車して周りの景色を眺めつつ坂を登り切った。左手に小さな神社もある。ただ、木が多くて聖蹟桜ヶ丘方向の見晴らしが、それ程良くないのは少々残念である。

続いて一戸建ての住宅が並ぶ桜ヶ丘西通りを走り、小さなロータリーに着く。”地球屋”前のロータリーより遥かに小さい。もう少し先に大き目のロータリーがもう一つ在ることを、実は前々から知っていた。これは聖蹟桜ヶ丘探訪ガイドをすでにWWWで公開している先人たちのお陰である。 そのロータリーに向かいバイクを走らせる。あった。こちらは映画に出てきたロータリーより大きい。ロータリーをぐるぐる廻った後、聖蹟桜ヶ丘の駅前周辺を一望出来る場所を探して団地内の生活道路をゆっくり流す。2箇所ほど目星を付けてから駅に引き返した。今日の目的はあくまで下見なのである。だいいち、こんな雨降りではコンディションが悪すぎる。

聖蹟桜ヶ丘駅前の駐輪場にバイクを止め、雨合羽や上着などはバイクのトランクに詰め込んで軽装になる。駅ビルの食堂で昼食をとると、京王線で新宿に向かった。駅のホームなどはこのとき撮影しておいた。

新宿三越南館の三越美術館にて「スタジオジブリ原画展」が8/31-9/16の日程で開かれていた。これが見たくて東京まで来たのである。14時頃会場に入る。土曜ということもあってかなりの人の入りである。いかにもマニアといった風な人は少なく、家族づれなどの一般のお客さんの方がむしろ多い。ジブリアニメの客層を象徴しているようでもある。

ナウシカを含めたスタジオジブリ制作アニメ全14作品のイメージボード・原画・背景などが制作年順にコーナーに分けられ展示されていた。展示物は250点以上あったが、その中でも印象に残ったものが幾つかある。

ナウシカ3巻の表紙は一度失敗して右下を切り張りしたそうなのだが、その原稿も展示されていて、切り張りの部分がはっきりわかった。印刷と実物の品質がこうも違うものかと驚愕してしまった。また、水彩で描かれた背景画の緻密さにも感心した。丁寧に見て行ったので全部周り終わるのに2時間以上要した。それにしても面白かったのは、あちこちにジブリアニメについてうん蓄をたれている人がいたことだろう。そういう詳しい人がたくさんいる訳だ。原画展の会場から出ると、なんと入場制限をしていた。ここまで人気があるとは…

さて、新宿西口のカメラ屋をうろついた後、17時に”ジブリML”のメンバーと待ち合わせている三越の南口に戻った。これから、原画展開催記念オフ会が始まる。取敢えず居酒屋へ入り乾杯する。

スタジオジブリのアニメーションが好きな人はたくさんいるが、その中で、マニアと呼ばれるくらいのめり込んでいる人は意外に少ない。逆にアニメヲタクの中には、一般に受けるという理由でジブリ作品を無視する人さえ居る。同類をなかなか見つけることができず、普段は話題にできないが、ここは天国である。ジブリアニメのことを中心に随分と話した。翌日よみうりランドに日の出の写真を撮りに行くことを話すと、撮影に良いポイントなど、いろいろと有用な情報を教えて頂いた。4時間ほどその店に居たのだが、楽しくて時間の経つのがあっという間に感じた。解散した後、時間のある者数名で喫茶店に入り、ここでも1時間ほどジブリアニメの話しや、ネットワークの話をして、23時過ぎに新宿駅で解散した。私は京王線に乗り込み、ひとり聖蹟桜ヶ丘に向かう。

聖蹟桜ヶ丘に着くとしばらく駅前で休み、駐輪場からバイクを出して、よみうりランドに向かった。先程のOFF会で聞いたとおり、よみうりランドの正門の右脇の道を進み、ヴェルディー川崎の寮の前の道路に陣取る。が、恥ずかしくなって近くの児童公園に移動した。夜景が綺麗で交通量の少ない道路というのは、大概ああである。何やら重なり合ってゴソゴソしている人までいて、痴漢と間違われたくないので場所を移した。が、今度は蚊が多い。かゆくてとても眠れない。仕方なく人気が無くて蚊も少なそうな所を求めて再びさまよう。 ベルディー川崎の寮の(第二?)駐車場に決めた。黒っぽい小型車の横にバイクを止め、その横で野宿した。明るくなってから気が付いたのが、その車は小型車ではなく、紺色のポルシェだった。サッカー選手は金持ってるなぁ。寄り掛からないでよかった。


かなり疲れていたからであろう。今日は随分と寝たようである。気が付くと東の空が明るくなって来ていた。今日は良い天気になりそうだ。今まで航空灯しか見えなかった新宿と池袋の高層ビルのシルエットが浮かび上がって来る。映画のシーンでは新宿方向から太陽が顔を出したが、実際にはそれよりだいぶ南寄りから日が登って来た。映画で朝日を見に行ったのは冬なので、本当はもっと南から太陽が出なければならないはずだが、演出の都合であろう。何枚か写真を撮ると、よみうりランドを後にして再び聖蹟桜ヶ丘に戻った。

早朝の聖蹟桜ヶ丘を今度はカメラ片手に見て廻った。昨日とはうって変わり秋空がすがすがしい。昨日見て廻ったポイントを中心に写真を撮りながら移動して行く。一通り桜ヶ丘を見て回ると、今日は隣接する愛宕団地まで足を伸ばしてみる。公団の集合住宅が立ち並んでいる。映画の中で出て来たのと同じ間取りの住宅は無かったが、同じ形の給水棟があった。

聖蹟桜ヶ丘周辺の撮影はこれ位にして、小金井に向かう。『耳をすませば』のエンドクレジットに出てくる小金井市立第一中学校がどんな所か確かめるためと、スタジオジブリの本社を見てみたかったからである。中学校はごく普通の学校でしかなく、校舎の形も映画の中学校とは異なっている。取敢えず写真を2枚ほど撮るとすぐにジブリ本社に向かう。 場所について話を聞いていたので、社屋はすぐに見つかった。日曜日の午前中なので誰もいないようである。ここで今、『もののけ姫』の制作をしているはずだが、建物だけを見てもあまり感想のようなものは思い浮かばなかった。ここでも写真を3枚ほど撮影すると早々に引き上げた。すでに11時を回っていた。

拙い文章に最後までお付き合い頂きまして、ありがとうございました。
ご感想等ありましたらお聞かせ頂けると励みになります。では、最後に言い訳しておきましょう。
「うそっ、うそっ、本当のことを言って下さい。書きたいことがまとまっていません。後半なんかメチャクチャ。自分でわかっているんです!」

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