〜98-99シーズン編A〜

10月5日
 あー、疲れた。さすがに月に2冊はしんどいな。いや、仕事の話ですが。死ぬかと思ったぞ。ま、とりあえず「超多忙」状態は抜け出したんで、またサッカー見ます。超多忙でも見てたんだけど。投稿も送ってね。
 とりあえず、サモラーノである。ペルージャ戦の先制ゴール、美しかったなー。俺はあのボレーシュートを見て、なぜか原辰徳のホームランを思い出した。うるさいな、しょーがねーだろ、思い出しちゃったんだから。俺はね、原のホームランは世界一「真心」のこもったホームランだったと思っているのだ。そりゃ、田淵や門田やバースのホームランも美しかったよ。しかし、原ほどハートフルな打球を飛ばす男はいなかった。数ばっかりの王貞治のホームランとも、「偏差値」が高いだけの落合博満のホームランとも、身も蓋もなくカッ飛んでいくマグワイアやソーサのホームランとも違う。原のバットにボールが「乗った」手応えはブラウン管のこちら側にまで伝わってきたし、そのボールにバットを通じて彼のハートが乗り移っていく様子も手に取るようにわかった。レフトスタンドに向かって一直線に飛んでいく打球は、すでに原辰徳自身と化していた。ように俺の目には見えたのである。だけど、大丈夫かなー。入閣して。長嶋が出てってからグラウンドに戻ったほうが、彼のためにはいいと思うんだけど。
 あ、サモラーノの話してたんだった。まあ、要するに「いい当たりだった」ということが言いたかっただけなんだけどね。ジョルカエフも、点取れてよかったね。ただの、ごっつぁんゴールだったみたいだが。

 このあいだブンデスリーガを見ていてわかったこと。カイザースラウテルンは、カイザー・スラウテルンじゃなくて、カイザース・ラウテルンなんですね。知らなかった。こういう勘違いは日本人に多いので気をつけたほうがいい。たとえばロシア語の「ペレストロイカ」はペレス・トロイカというニュアンスで発音されることが多いが、ペレ・ストロイカ(英語のリ・ストラクチャーと同じ)が正解だし、「ウラジオストック」はウラジオ・ストックじゃなくてウラジ・オストック(ヴォストーク)と区切るんだそうだ。どちらも呉智英センセの著書に書いてありました。

 数日前、オランダリーグを見ていたら、NACというチーム(実況では「ナック」と呼ばれていたが、何かの略なんだろうか)に韓国のノ・ジュンユン(元サンフレッチェ)がいた。知らなかった。左右のCKを任されていて、すっかり中心選手のようだ。少なくともバイエルンのダエイの五〇〇倍ぐらい役に立っていた。中田もそうだが、アジア人はヨーロッパの弱いチームなら貢献できるみたいですね。サントス前園は大丈夫なんだろうか。心配である。

 ぜんぜん関係ないけど、ニュースを見て、和歌山にクリムトが来たのかと思ったぞ。あ、クリムトってのは橋とかお城とかを布で包んじゃう芸術家です。でも、あれは芸術じゃなくて林さんちだったんですね。ふむ。

10月6日
 わけあって、アモローゾが点を取ってウディネーゼが勝ってくれないと困る俺である。なのに、エヂムンド。きれいなワンツーだったなあ。教科書どおりだ。読んだことないけど。ルイ・コスタ、ニューキャッスルに移籍するって何かに書いてなかったっけ? フィオレンティーナにいるじゃんか。俺、夢でも見たのかしら。
 セリエA終了後、CSでUEFA CUPを観戦。どこの試合かと思って楽しみにしていたら(番組表では「対戦カード未定」が多い)、またウディネーゼの試合だった。どういうこっちゃ。ホームにレバークーゼンを迎えての1回戦第1試合。なんか知らんが、レバークーゼンもよく見かけるな。わりと好きなチームだからいいけど。試合はウディネーゼが終盤に追いついて1-1のドロー。しかし2回戦はレバークーゼンが勝ったとのこと。さっき見たフィオレンティーナ戦は、つまりUEFA CUPの敗退が決まった直後のゲームだったわけか。時系列がぐちゃぐちゃだ。
 EURO2000予選、リトアニア×スコットランド観戦。リトアニアのホームで、グラウンドが草サッカーのように殺風景だった。スコットランドが寝技でスコアレスドローに持ち込んだ感じ。40歳のGKはまだ元気でやっていた。リトアニアのユニフォームは黄色と緑でジェフ市原みたいだ。弱そうだ。それにしても、セリエAみたいにすっきりボールが回るシーンが少なくて、いつもボールの回りにごちゃごちゃ人がいるように見えた。ずーっと「もみ合って」いるって感じかな。どういう理由でああいう展開になるのか、俺にはようわからん。とにかくバタバタした試合だった。
 たとえばリトアニアとペルージャとNAC(オランダ)あたりと日本代表がリーグ戦やったら、どんな結果になるんだろうか。3勝するような気もするし、それぐらいでやっと「1勝1分1敗」の目標が達成できるような気もする。トルシエ監督、いつまでもつんでしょうか。

10月7日
 ベレス×インデペンディエンテ(アルゼンチン・リーグ)観戦。
 そうか、チラベルトはこんなところ(ベレス)にいたのか。早くコンサドーレに来なさい。JOMO-CUPで来日するのだって、考えてみればディドじゃダメだからだろ。「Jリーグに外国人GKがいない」っていうんなら、ふつうは「元ガイジンのディドでいっか」ってな話になるもんじゃんか。
 それはともかく、アルゼンチン・リーグも意外に侮れませんな、これは。ボール持った選手のところにきびきびとプレスがかかる感じが、なかなか気持ちいい。まず自由にプレイさせてくれないし、パス出す相手をきょろきょろ探してる余裕なんかゼロ。それでもリトアニア×スコットランドみたいな「バタバタ感」とは全然違うんだよなー。集中力と運動量が最後まであんまり落ちないし。フランス戦でパラグアイが見せた集中力は、こういうところで鍛えられてるのかな、と思った。これと比べると、セリエAのゲームはひどく優雅に思えてくる。試合は1-1のドローでした。

10月10日
 先週の金曜日に放送されたサンプドリア×ローマ戦で、初めて大仁サンの解説を聞いた。複数の人間から「最悪」との評を耳にしていたので、どんなもんかと期待(?)していたのだが(村上龍も何かの雑誌で彼をバカ扱いした文章を書いていた)、期待を上回る「眠たさ」だったな。サッカー観戦歴のきわめて浅い俺でさえ開いた口がふさがらなかったんだから、古くからの愛好家諸氏にはたまったもんじゃないだろう。ゲーム終盤に選手交代でFWを投入したのを見て、「点を取りに行こうというわけですね」って。まさか言わねーだろーなーと思っていたら、ほんとに言いやがった。あらあら、まあまあ。その選手を入れて、「どうやって点を取ろうとするのか」を解説するのが、あんたの仕事だよ。まあ、日刊スポーツでセルジオ越後がやってる連続対談を見てても、この人がいちばん眠たかったけどね。こんな人がサッカー協会の強化委員長だか技術委員長だかやってるんじゃ、やっぱしダメだと思いました。

10月11日
 EURO2000予選、スコットランド×エストニア観戦。3-2でホームのスコットランドが逆転勝ち。とはいえ、そんなに感動的な試合だったわけでもない。よくわからんチームだよなー。なんか「相手なりにしか走らない馬」みたいな感じ。そういえばW杯前のアメリカとの親善試合でも、すげーダルなゲームをしてた。ブラジル戦で見せた気合いと集中力は何だったんだ。もしかして、あの試合に向けて「ギリギリの仕上げ」ってやつをやってたんだろうか。菊花賞でミホノブルボンを差し切ったときのライスシャワーみたいなもんで。何にしろ、また何となく予選だけは通過するような予感だけは漂っている。

10月12日
 最近、セリエAを見ても、チャンピオンズリーグやUEFAカップを見ても、ブンデスリーガを見ても、ポルトガルリーグを見ても、オランダリーグを見ても、フランスリーグを見ても、おまけにブラジル全国選手権を見ても、3試合のうち2試合ぐらいは雨が降っているような気がする。世界中、雨季ですか。
 EURO2000予選、北アイルランド×フィンランド観戦。1-0で北アイルランドの勝ち。フィンランドのリトマネン、足首のケガとかで最後の15分しか出てなかったけど、これ、いつの試合なんだ。ちょっと前までアヤックスの試合で全開バリバリだったじゃんか。ただ、「リトマネンがいないんじゃ、それだけで戦力30%ぐらいダウンするんちゃうんか」と思って見ていたのだが、入ってからも大して変わらなかったように見えた。というのも、右サイドに一人めっちゃくちゃトラップの下手な選手がいて、リトマネンからのパスをことごとく台無しにしてしまうのだ。パス、出すなよ。
 しかし、こうして毎日サッカー見てると、何はともあれトラップが基本だと思わされるね。ボールの止め方一つで、局面がぜんぜん違っちゃうもの。アルゼンチン戦のベルカンプみたいにやれとは言わんけど、日本の選手も、ちゃんとトラップ練習してくれ。野球でいえばキャッチボールみたいなもんだろ。キャッチボールできない奴に、併殺プレイや挟殺プレイや浣腸プレイ教えてもしょうがないじゃん。あ、浣腸プレイは関係ねーや。

10月13日
 EURO2000予選、ポルトガル×ルーマニア観戦。ルーマニア、金髪じゃなくなってました。試合は0-1でホームのポルトガルが痛恨の敗戦。コウトは復帰してたけど、さえなかったなぁ。相手に退場者が出たのに攻めあぐねまくって、後半ロスタイムにFK決められてやんの。ペナルティエリア手前でルーマニアの選手を蹴倒したのは、このあいだアヤックスとの試合で決勝PKを与えたジョルジュ・コスタ(FCポルト)でした。同じ試合で味方のクリアボールを顔面で受け止めて痛そうにしていたシーンといい、彼、なんとなく「天性のツキのなさ」ってやつを持っていそうで親近感が湧くぞ。見た目も「貧相なブルース・ウィルス」みたいな感じだし。俺的には、いまもっとも注目の選手だ。がんばれ、ジョルジュ・コスタ。負けるな、ジョルジュ・コスタ。

 ……と、書いてる途中で、ジョルカエフの決勝ゴール(CL、インテル×S・グラーツ戦)。アヤックスとかバイエルンとか見ててもそう思うんだけど、強いチームってのは、ダメダメ感の漂う試合をしてても、最後の最後に何とかする勝負強さがあるんだよなー。唐突だけど、こんどの日本シリーズ(野球の話だよ)では、そういう「したたかさ」を味わえるんだろうか。なんか、あっさりした展開になりそうな気がするんですけどねぇ。

10月14日
 ポルトガルリーグ、FCポルト×マリティモ観戦。1-0でポルトが勝った(決勝ゴールはジャルデウ)ものの、ジョルジュ・コスタ、また相手のFWをつかみ倒してやばい位置でFK与えてた。入らなかったから結果オーライだったけど。ツキがないっていうより、ただの暴れん坊なのかもしれない。
 オランダリーグ、スパルタ×アヤックス観戦。アヤックスのセカンドジャージ、モノトーン(いつも白いところが黒、いつも赤いところが白)でかっこいいぞ。正確にいうと濃紺らしいが、あれ、欲しい。どっかで売ってないんだろうか。モノトーンといえば、ウディネーゼもかっこいい。遠目には映えないんだけど、近くで見たらかなりシブいんじゃないだろうか。欲しい。それはともかく、試合は0-2でアヤックスの負け。あの何とかっていうグルジア人(どうしても名前が覚えられない)FW、もう使わないほうがいいと思うね、俺は。
 CL、アーセナル×パナシナイコス観戦。負けたとはいえ結構やるじゃんか、パナシナイコス。アサノビッチ(クロアチア)って、こんなところにいたんですね。アーセナルは2点ともCKってのが物足りない。ベルカンプもオフェルマルスも、なんか違うんだよなー。アーセナルもオランダ代表(あるいはアヤックス)も「理屈っぽいサッカー」という点では似ているような気がするんだけど、なんとなく2人とも窮屈そうにプレイしてるように見えて仕方がないぞ。たまたまパナシナイコスがそういうふうに追い込んでたのかもしれないし、単に調子が悪いのかもしんないけど。ま、先制した直後、オフェルマルスからの驚くほど正確なロングパスをベルカンプがきっちりゴールに放り込んでいれば、「そうそう、これこれ」って気分にもなれたんだろうけどなあ。

10月19日
 どうも全試合ナイターになったころ(95年のヤクルト×オリックスからだったかな?)から日本シリーズがつまらなくなったような気がする。デーゲームの頃は、それだけで「いつもと違う特別な試合」だと思わせる非日常的な緊迫感と、真っ昼間っから最高に重要な試合をやっているという贅沢感(昼間から飲むビールが美味いのと似ている)があったのだ。
 とりわけ今年の横浜×西武は、緊迫感も贅沢感も俺には伝わってこない。たぶんそれは、「負けたくない」とか「負けられない」といった執念を生じさせる「物語性」がまったく垣間見えないせいだろうと思う。どっちも、リーグ優勝で満足してるって感じかな。いまの日本における最高レベルの試合を見せる責任が両チームにあるはずなのに、そういう自覚があるようにも見えない。
 だいたい、日本シリーズで予告先発なんかすんなよ。ぜんぜん意味がわからん。相手の先発オーダーを読むところから始まるんじゃないのか、野球ってのは。いったい、事前に先発投手を教えてもらったからって、誰が喜ぶっていうんだよ。少なくとも俺は、先発予定の投手がマスコミにブラフをかましたり、相手の先発を読み違えた監督が頭を抱えたりするセコセコした野球が好きだ。短期決戦では「いかに意表を突くか」が勝負のアヤになるんだから、先発なんか予告されたら楽しみを半分奪われたようなもんじゃんか。ま、今回はそれほど入れ込んで見てないからいいけど、これが先例になって今後も踏襲されたらすごくイヤだぞ。
 んで、第一戦である。なんなんだ、あの8回表は。信じられない光景を立て続けに見せられて、俺は呆れたね。
 まず、なんで4点差の8回2死2塁から佐々木投入なのよ。ぜんぜん理由がわからん。「日本シリーズは何が起きるかわからないから大事を取って」とか権藤は言ってたけど、ホームラン打たれたって2点リードの場面だぜ。「選手がふだんどおりの野球をやってくれた」とか言いながら、監督だけ「よそ行き」の野球になってんじゃないのか。クールなダンディズムが売りの監督には似つかわしくない、「みっともない采配」だったと俺は思う。送りバントやスクイズを否定する監督が、あそこで切り札を切ってはいけない。あれは「怯え」だと思うね。ホームの日韓戦における加茂監督(当時)の秋田投入を思い出したよ、俺は。
 それに輪をかけてみっともなかったのが、高木大成である。走るなよ、ばか。「積極的なミスはミスではない」という言い方があって、俺も基本的にはそれに賛同するけれど、あの憤死はただ愚かなだけです。たしかに野球は「1つでも先の塁に走者を進める」ことを目的とする競技だが、それ以前に「3つアウトを取られたら攻撃権を失う競技」なのだ。
 そもそもあの局面での佐々木投入は、シリーズの行方を左右しかねないリスキーな采配だったんだぞ。しかも佐々木は明らかに調子が悪かった。たとえこの試合に負けても、西武が佐々木から2点ぐらい取っておけば、あの采配が権藤のシリーズにおける「敗着」になったかもしれないのだ。そんなときに、三盗なんか企てる奴があるか。しかも左打者のときに、ツーアウトから三盗って。何年、野球やってんだ、おまえ。
 とにかく、俺みたいなニュートラルな観戦者にとっては、あの場面が唯一の見所だったんだよ。あそこで佐々木が壊れるのか立ち直るのか、それが見たかったんじゃないか。それが日本シリーズの醍醐味じゃないか。それなのに、ああ、それなのに。こんな野球を日本シリーズの舞台でやってはいけません。森や野村や広岡が嗤ってるぞ、きっと。長嶋はまた「タニシゲが欲しい」とかワケのわからんことをぬかしてるかもしれないけど。

10月21日
 U-19の試合を、こんなに悪態つきながら本気で観戦するなんて、少なくとも4年前までは絶対にあり得なかったことである。中国戦の前半、「こいつら、下手なんじゃねーのか?」とか「サッカーをナメるんじゃない!」とか罵りながら、ふと「いったい俺は何者だ?」と思ってしまった。にわかサッカーファンには、ときおりこういう瞬間が訪れる。あーあ、せめて中学ぐらいまでサッカー続けてればよかった。そうすれば、もうちょっと「戦術理解度」も身についたろうに。サッカー部は不良っぽくておっかない先輩が多かったんで、育ちのいい俺はハンドボール部に日和ったのであった。……あ、念のため言っとくと、俺、サッカーの戦術とかシステムのこと全然わかってません。これ読んでりゃわかるだろうけど。
 しかしU-19、後半2点取るまでは前半と同じチームとは思えないほどかっこよかったな。本山、すごいじゃん。あんなミドルシュート、2本もぶち込むなんて。なんであのサッカーが長続きしないんだ。前半も最初の5分はかっこよかった。集中力がないのか。我慢強さが足りないのか。日本の子供はカルシウムが足りないのか。どうなんだよ、おい。
 前半、悪態をつきまくっているとき、妻に「最近、すごい人たちの試合ばっかり見てるから、下手に見えるんじゃないの?」と言われた。ははあ、なるほど。そういえば昨夜も、日中戦の前はアヤックスの試合(対トゥエンテ戦)を見てたのだった。なんと5-0でアヤックスの大勝利。そりゃあ美しいサッカーでしたよ。FWのグルジア人(アベラーゼ?)は相変わらずダメだったけど、もう一人のグルジア人MF(キンクラーゼ?)はうまかったなぁ。アヤックス、調子上向きと見た。でも、どうやらアムステルダム・アレナの芝が張り替えたか何だかで状態が良くなったから、パスがびしびし回るようになったらしいが。いまヨーロッパ雨ばっかり降ってるから、やっぱダメかもしんない。

10月23日
 おお。今回の日本シリーズで俺は初めて猛烈に感動したぞ。いや、試合そのものじゃなくて野村の解説にですけどね。西武・橋本が鈴木尚を迎えた場面。たしか2-1からの4球目のボール球を鈴木が見逃したとき、「この見逃し方は、変化球を待ちながら直球にも対応しようとしたもの」と見切った上で、「しかし直球にはタイミングが合ってないから、次は甘い変化球を投げるとやられる」と言い終わるか終わらないかのうちに、鈴木は次の甘い変化球をレフト前に運んでいた。偶然かもしれんが、まるで「事後」にビデオを分析しているかのような見事さだったんで、えらく驚いてしまった。うーむ。やっぱ凄いな、野村。阪神行かないで、解説に専念してほしいぞ。
 シリーズそのものも、ぼちぼち「らしさ」が(ほんの少しだけど)見えてきた感じ。西崎も出てきたし。彼が3人でぴしゃりと締めくくったことで、何となくそれっぽい「味」が出てきたよね、西武は。東尾のコメントも謙虚で良かった。潮崎も健気だった。一方の横浜は、佐々木が中4日も空いてしまったのが明日への不安材料か。そこで、あえて大胆予測。この勝負、4勝3敗で西武と見た。あ、でも横浜ファンにとっては、これは朗報ですぜ。何しろ俺は競馬でも、友人に「おまえの買った馬券、教えろよ。それ外して買うから」と言われてしまう男だからな。ふーんだ。
 しかし、第3戦まではどれも一方的な試合ばかりでつまらんな。最後までどっちが勝つかわからない試合、を見せてくれよ。

10月26日
 シリーズ予想、案の定、大ハズレ。途中で予想しても当たらんのだから、話にならんな。誘われてたトトカルチョ、参加しなくて正解だったかもしれない。なんて消極的なラッキー。何はともあれ、横浜ファンの皆様、おめでとうございました。嬉しいだろうなぁ。
 その優勝にケチをつけるつもりは毛頭ないけれど、あそこ(8回裏)はアウトにしとこうよ、五十嵐塁審。いつもゲッツーのときって、たいがいセカンドやショートの足がベースから早く(捕球前に)離れてるのに、「みなしアウト」にしてるじゃんか。あれも「みなしアウト」でノー問題。接触だかタッチだか知らんが、あれをセーフにしたんじゃ展開への影響が大きすぎる。アウトにしても誰も文句言わないだろうし。ま、単に7戦まで見たかったが故のいちゃもんだけどよ。それから東尾、駒田の場面で西口続投はないと思うぞ。王手かけられてるんだから、手ゴマを使い切ろうよ。あそこはデニー投入で、横浜ファンの声援に「迷い」を生じさせるという妙手があった。「元巨人対元横浜」という図式にすれば、少なく見積もっても23%ぐらいは応援ボルテージが低下したはずだ。たぶん。さらに権藤、表彰を受けるときはちゃんと帽子を取って尻のポッケに入れなさい。俺は来季、「アンチ権藤」路線で行くぞ。がんばれ野村タイガース。
 それにしても昨夜は、(比喩ではなく)吐くほど酒を飲んで帰宅したら、妻に「ペルージャ、パルマに勝ったよ」と言われて酔いがすっ飛んだ。その試合をやってる時間帯、飲みながらサッカー談義になり、「ペルージャの試合なんて見たくねーよ」だの「ラパイッチのヘタクソ」だの(ほんとはペトラッキを罵るつもりが名前を間違えていたのだが)と放言をぶちかましていたので、なおさら驚愕。ビデオで2-1になったところまで見たけど、神様っているんだなー、って感じでしょうか。テュラムは厄日だった。
 ユベントス×インテルはまた迷惑かけるといけないんで結果は書かないけど、いいゲームだったっすね。だけどデッレ・アルピ、通路にもっとデカいテレビ置けよ。儲かってんだろうから。ただでさえ幸薄そうに見えるジダンが、ますます寂寥感漂わせちゃったじゃんか。

10月27日
 U-19 、日本×韓国はひたすら眠たかった。愚妻は、「倍速で見てもユベントスの試合より遅いんじゃないの?」と文句を言っていた。俺のせいじゃねーや。さらに妻は日韓戦を見た後、「なんかCSでサッカーやってないの? 口直ししたくなっちゃったわよ」とボヤきながらチャンネルを回していた。おまえ、いつのまにサッカーそんなに好きになったんだ。
 しかし、せっかくACミラン×ローマを犠牲にしてビデオ観戦したのにねぇ。ミスター・タボンの観戦記を読んで、録画していたカリアリ戦を見ずに消してしまったんで、俺はまだミランの試合を一度も見てないぞ。べつにいいけど。同じ時間帯の日本シリーズとBS-1とWOWOWをすべてチェックするにはビデオが1台足りないのだ。なんで日本シリーズやってるときに、わざわざユースの試合なんか生中継すんだよ。
 それにしても日本サッカー、「ダイレクトのパス回し」が目的化してないか? ワンタッチでアバウトなクロス上げるより、場面によってはドリブルでペナルティ・エリア内に突っかけていくようなプレイも選択してほしいぞ。それができないのは状況判断力が低いのか? 視野が狭いのか? 教科書どおりにしかサッカーできないのか? 逆に、軽くサイドにはたけばビッグチャンスになるところを、無理に中央から突破しようとする奴もいるしなぁ。ま、世界大会の切符を手にしたんだから最低限の目的は達成したってことか。でも、たまには「アジア1位」の栄誉を手にしてほしいです。

10月29日
 日本×エジプト観戦。この1年間とくらべれば目的意識の低いゲームだったせいかもしれないが、観戦しながら「ばか」「やめて」を口にする回数が格段に少なかったな。ホームの有利さだ何だかんだを割り引いても、アフリカ・チャンピオンを完封したのは何よりでした。中田が退いてからあからさまに攻められなくなったのは気になったけど、新監督になったばかりで準備期間も短かったわりには、けっこうナイスなチームになっていたと思う。以前より「頼もしさ」を感じたのは、W杯を経験したことによる自信か、それともこっちがU-19を見た後だったからか。しかし問題は、仮にアウエーで試合したとして、(昨日のエジプトのように)0-1程度の負けで済ませられるかどうかなんだろーな。
 それにしても、久保、気の毒なくらいアガってた。見た目ほど図太くないのね。試合後、ひとり敗残兵のように肩を落としていたが、ま、そんなに落ち込まなくてよろしい。経験さえ積めば、もっとやれるように見えたぞ。ああいう「顔」は、代表に一人ぐらいいたほうがいい。
 ところで横浜M&Fの合併はほんとうですか。サポーターの気持ちはかなり複雑だろうけど、なんか、すげー強くなりそうじゃん。ベイスターズといい、松坂といい(京都成章、1点取れてよかったね)、時代はいま横浜なのか。とりあえず選手が余るだろうから、コンサドーレにくれ。俺としては永井と楢崎がほしいな。どの道、楢崎は川口と同じチームにいるわけにもいかんだろうし。永井だって、中村俊ちゃんとポジション争うのは難儀だろ? ……あ、チームが一つ減るってことは、入れ替え戦に回るチーム数はどうなるんだよ。札幌にとっては朗報なのか?

11月5日
 しばらく日誌をサボっていたんで、この1週間、何を観戦したのか忘れてしまった。とりあえずU-19の決勝戦はめちゃくちゃ悔しかったぞ。だんだんチーム自体が逞しくなってきて、準決勝のサウジ戦では逆転勝ちまで見せてくれた(日本がリードされた試合をひっくり返したのを見たのは、ジョホールバル以来か?)んで素直に期待してたんだけど、韓国に二度負けるとは。「勝ちたい」という気持ちがピッチに溢れていただけに、えらく悔しかった。勝たせてやりたかった。少なくともW杯で負けたときの25倍ぐらい悔しかった。暴論を承知で言えば、ここでまた日本が韓国に負けたことは、お互いのために良くない。日本はまたぞろこの世代まで「韓国に雪辱したい」という低次元の目的意識を持つハメになるし、韓国は韓国で「日本に勝ったんだから、このままでいいや」と従来のサッカーからの脱皮が遅れてしまうんじゃないだろうか。そろそろ日韓の力関係を逆転させないと、アジア全体のレベルアップにつながらないと思うんですけど。このままの状態で、2002年の本大会にアジアから5つも6つも出場することになったら、どんなことになるのか考えただけで恐ろしいぞ。
 あとは何を見たんだっけなー。そうそう、2日ほど前にオランダリーグのアヤックス×NEC(ネック)を見てたら、停電で照明が消えて試合が中断していた。関係ないとはいえ、「NEC」のホームゲームで「停電」はまずいんじゃないだろうか。
 1日からはディレクTVでスペインリーグの放送がスタート。いまごろ2ヶ月も前の第1節やってるんで、あんまり見る気にならん。とりあえずセルタ×ラ・コルーニャを見たら、スコアレスドローだったんで、さらに観戦意欲が萎えた。ハジもバシールも(ともにモロッコ)出てなかったし。ガルベス似のGKソンゴー(カメルーン)は元気そうだったけど。
 そうだ、やっとオーウェンの姿を拝めたんだった。UEFA杯、リバプール×コシチェ。コシチェってのはスロバキアのチームだ。アウエーの初戦をリバプールが3-0で勝った後の第2戦。リバプールが5-0で圧勝(トータル8-0)したが、そんなに点が入ったのにオーウェンのゴールはなし。でも、やっぱ凄いわ。オーウェン。牛若丸みたいだ。って、おまえ見たことあんのかよ、牛若丸。それに、「早い、うまい」だけじゃなくて、けっこう強いんだよなー。倒れない。倒れたときは、ちゃんとPKもらうし。PK自体はファウラーって選手が外してたけど。あと、リバプールのスタジアムはめちゃめちゃ美しかった。
 そういえば、チェルシーの試合も見たな。たしかCWCのヘルシンボリ(スウェーデンのチーム?)戦だったかな。監督に専念するようなこと言ってたビアリが、フロと一緒に2トップ張ってた。途中でフロがケガして引っ込んでからは、カシラギとの2トップ。ゾラは何やってんだ? それにしても、外国人依存率の高いチームである。いや、人数的にはバルセロナなんかと同じようなもんなんだろうけど、やけに「多国籍軍」感が強い。イタリア人が「外国人」として大勢参加してるのが珍しいからかもしれない。しかも攻撃陣が、ビアリ、フロ、カシラギ、ゾラ、ブライアン・ラウドルップなどなど、外人ばっか。このチームが勝っても、やっぱりロンドンっ子は嬉しいんだろうか。たとえばコンサドーレにこいつらが入って勝ちまくったら、俺は嬉しいのか? うーむ。よくわからん。
 この他にセリエAやCLも見たが、まあ、いいや。ペルージャ×エンポリは見なかった。中田が出てなかったらしいけど、そんなもん、日本で生中継してどうする。京都×福岡をカタールあたりで中継してるようなもんじゃねーか。なんでカタールなんだ。

11月10日
 どうやらガキどもの野球帽に異変が起きているようである。いや、野球帽をかぶるガキ自体が少なかったわけだから、彼らのスポーツに対する嗜好そのものが変わりつつあるのかもしれない。
 というのも、最近、たてつづけに街中で「YGマークの野球帽」をかぶったガキに遭遇したのだ。巨人の帽子をかぶったガキなんて、ここ十年ぐらい、東京ドーム周辺以外では見たことなかったから、最初は「いまどき珍しいのう」と思っただけだったのだが、その三日後ぐらいに再び見かけた(もちろん別のガキ)ときは「おや?」と思い、さらに今日、「公園で野球してた小学生の中に三人もいた」と妻から聞かされて、「これは何かある」と確信した次第である。
 もしかして、読売新聞の勧誘員が洗剤といっしょに配ってるのだろうか。んなこたないよなー。それとも、杉並区界隈だけで突発的に巨人ブームが起きてるのか? あるいは横浜Fの騒動に象徴されるような日本サッカー界の「ヤバさ」を敏感に察知して、おまけにナイキだNBAだという世界にも飽きてきて、ガキどもが野球に先祖帰りしてるのかしら。しかし、仮にそうだとしても何故ジャイアンツなんだ。いまだったらベイスターズじゃないの? デザインだって、歴史と伝統しかない巨人のやぼったいやつより、横浜のほうがガキ受けしそうだが。
 それはともかく、巨人の人気が(ガキが急に帽子をかぶりたいと思うほど)急激に上昇する理由なんてねーよなー。ぜんぜん強くないし。監督はバカだし。松井はホームラン王獲ったけど、高橋は新人王獲れなかったし(いや、べつに文句も不満もないんですけどね)。まあ、巨人ファンとして(このごろ俺は自分が「巨人ファン」ではなく、「アンチ・アンチ巨人」なのだと感じ初めているのだが)嬉しいとか悲しいとかいう感想はないけれど、いったい何が起きてるのか知りたいぞ。

11月12日
 録画しておいたACミラン×インテルをやっと見た。やってくれるなー、ジョージ・ウェア。あの空振りフェイントは、確実にパリュウカを思考停止状態に陥れていた。……え、わざとじゃないの? ところで「ダービーマッチ」って、なんで「ダービー」っていうんですか。
 関係ないけど、淀川長治さんがお亡くなりになった。3年ほど前、仕事で何度かお会いしたときは、中華料理屋で豚の角煮をがつがつと信じられないくらいの勢いでお食べになるほどお元気だったのだが。ご冥福をお祈りいたします。合掌。



"BIG INNING PROJECT"