雁を保護する会,199S年4月1日
ガン類は,わたしたちと対等な生きものです・自己の尊厳を求めるように,彼ら の尊厳を尊重しなければなりません.彼らの生活を決して妨害しないように,観察 マナーを守って自然観察を楽しんでください.具体的には;
早朝の湖岸でのマガンやヒシクイの、塒(ねぐら)からの飛び立ちや,夕刻の増入り の観察の際には,車のライトを湖面に向けて照射しないよう注意しましょう.カメ ラのフラッシュは決してたかないようにしましょう(最近のカメラは暗ければ自動 的にフラッシュが光るようになっていますので十分注意してください).光がガン たちの塒入りを妨害したり,飛び立ちを強制してしまうことになります.また,湖 岸の自然植生には入り込まないように.
水田など(マガンやヒシクイの採食)・浜など(コクガンの休息)の陸上にいるガン 頚を観察する際は,近づきすぎないようにご注意下さい.特に接近する必要がある 場合は,ゆっくりと行ないましょう(近づく必要がないときは近づかない).ガンた ちが首を立てて警戒したときは,その場で手足からだのすべての動きを停止させ, 石のようにじっとしてください.そしてガンたちの様子を見ながらゆっくりと少 しづつ後戻りをして,ガンたちが首を下げて以前の行動に戻るところまで後退して, その位置から観察を続けてください.彼らがわたしたちを安全なものだと認識す れば彼らが近寄ってくることもあります.車をブラインド替わりにして接近する 場合も同様ですが,車から人が出ると妨害してしまいますので車をガンの群れから 遠ざけてから出るようにしてください.越冬期は食物資源が少なく,草食性である ガンたちは食べ物をとるのにたくさんの時間を必要としています.マガンやヒシ クイの採食行動を妨害することは栄養摂取を低下させますし,飛び立たせることに なれば体力の無駄な消耗をもたらします.その結果,長距離の渡りを行なうための 栄養の蓄積を阻害し,生残率の低下や翌夏の繁殖成績にも悪影響を及ばします.沿 岸域に生息するコクガンでは,川の河口部などの浜に上がってくることがあります が,これは主に休息するための行動で,特に幼鳥にとっては大切です.安全に休ま せてあげてください.
植物を切りとるといった,環境を損なうようなことはもちろん行なわないでくだ さい.浜には漁業権が設定されていますので,海草等の無断採取は漁業権の侵害に なります.また地元の農家等のみなさんの生活を妨げないように気をつけてくだ さい.
「雁のたより」No.48より転載