はじめに

 ここでは、IT関連のレポートを守備範囲とする仕事の必要上から、あるいは個人的な興味から手を出したハードウェア、ソフトウェアの話をしようと思います。日々の取材で感じたことや、アフレコ(オフレコではありません)話もありかなと漠然と頭に描いています。しかし、どういう展開になるかは本人もまだよくわかっていません。実はいちばん甘い設計でスタートするページであります(笑)。

 技術者の方が5秒で突破する問題を5時間かかる骨の髄まで文系な私ですが、不思議にそれがあまりいやではありません。なかなかゴールにたどりつけなくても、ああでもない、こうでもないと考えをめぐらせながらハマっている時間は結構幸せだったりします。逆に先に答えをいわれてしまうとがっかりしてしまいます。
 
 こういうときに私が頭に浮かべるのは、富士通のメインフレームを最初に設計されたという故池田敏雄氏です。もちろん、直接お目にかかったことはないのですが、田原総一朗氏の執筆された「日本コンピュータの黎明 富士通・池田敏雄の生と死」の中での池田氏に私は強烈な印象を受けました。同氏はスチール机の一番下の引き出しを半分開けて片足を乗せるというあまりお行儀のよくない格好が“開発スタイル”になっていて、いったん回路図に向かい始めたら出勤はおろか、寝食さえも忘れてしまうほどに没頭したそうです。私はそこに憧れに似たものを感じていて、及びもつかないくせに、PCに向かうときはどこか池田氏チックに仕事をしようとする傾向があります。これが本業の執筆に全然関係ない作業だったりすると、ちょっと生計が危うくなるのですが(笑)。

 というわけで、技術者の卵の真似ごとをつらつらと綴ります。壁にぶつかってばっかりだと思いますが、わからない奴はここがわからないという参考にはなると思います。ひとつ、よろしくおつきあいくださいませ。

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