棒だら


 見つけるのに苦労しました。東京の人はあまり食べないんでしょうか。アメ横でようやく4本入り750円を発見。でも、これはちょっと大きさ的に情けない部類に入ります。関西ではおせち料理の定番で、12月も中旬になると乾物の状態でこの3倍はある棒だらがデパートなどでたくさん出回り始めます。そして年末迫ると、すでに戻された状態の棒だらも登場します。私の一番好きなおせち料理メニューなので、棒だらを見かけると“早く来い来い、お正月”という気分になります。

 棒だらは真だらやすけとうだらを素干ししたもの。大きいものは戻すのにもボールや鍋に入らないので、ノコギリで適当な大きさに切って使います。伝統的には米のとぎ汁を使って、毎日とぎ汁を替えながら一週間ほどかけて戻します。戻すと重さが倍以上になって重量感がぐっと増します。

 京都の名物料理「芋棒」は、この棒だらと京芋(京都の人は海老芋といいます)の炊き合わせ。弾力のある棒だらの味わいと、小芋とはまたひと味違うこくがあってやわらかな京芋の組み合わせは、まさに絶妙です。

 今年は帰省しなかったので、自分で棒だらを炊きました。情けない大きさが幸いして(笑)、何とかわが家の大鍋でも切らずに入ったのはよかったのですが。問題は米のとぎ汁の調達。ひとり暮らしだと白米は一合しか炊かなくても一日以上持ってしまうので、毎日は米のとぎ汁が作れません。うーん、と思っていたら、ある本に“米のとぎ汁のかわりに重曹を少量使ってもよい”と書いてあって、やったとばかりにこの方法を試しました。なぜか重曹は前からちゃんとあるんですよねえ(笑)。

 またまた情けない大きさが幸いして(笑)、一週間もかけずに身を堅すぎず柔らかすぎずの状態に戻すことができました。これをぶつ切りして、だし汁と薄口しょうゆと黒砂糖で炊いたのが写真の棒だらの煮もの。2本分なので三が日いっぱい持ちましたが、あきもせず食べ続けていました。

 今年は築地の場外市場に繰り出して、ちゃんとしたでっかいのを買って来ようと思います。こうなるともうビョーキかも(笑)。

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