なんという結果!

 まちがいないだろうと思っていました。でも、“the oscar goes to…”でアナウンスされるまでは、やっぱり落ち着きませんでした。“どんなにファンや批評家がすばらしいといっても、アカデミー会員だけはノーというかもしれない”とかね。今回は、しょっぱなの助演女優賞が下馬評ダントツ一位のケイト・ハドソンを破って、マーシャ・ゲイ・ハーデンに決まっただけに、ほんとドキドキでした。

 “Benicio Del Toro for Traffic!”とアンジェリーナ・ジョリーが名前を読み上げたときは、思わずこぶし2つをつきあげてしまいました。いやー、ほんとになるときはほんとになるもんですねー。ああ、なんか夢みたい。私はノートPCのデスクトップにベニチオの壁紙を使っているのですが、これでもう“それ、誰?”っていわれなくてすみます(笑)。大変だったんですよ。“「The Usual Suspects」で最初に死んだ人”とか“「The fan」でデ・ニーロに殺された野球選手”とかいっても、ほとんどの人は記憶にない(笑)。これからは堂々といえます。“「Traffic」でオスカーを取った人”って。ああ、もう、糟糠の妻みたいな気分。一刻も早く受賞作品を見たいなあ。アカデミー賞シーズンは、いつも米国に移住したくなります(笑)。

 それにしても今回は荒れましたねー。こんなにさまざまな映画に票が割れるとは。なんといっても作品賞と監督賞が同じ映画じゃないんですから。「Gladiator」5部門、「Crouching Tiger,Hidden Tiger」4部門、「Traffic」4部門。それだけ今年は実力が拮抗してたということでしょう。「Gladiator」は作品賞と主演男優賞を取ったのに監督賞がとれなくて、明らかにがっかりしているリドリー・スコットが印象的でした。でも、彼には「Hannival」があります。来年こそ!

 同じく残念だったのは、「Crouching Tiger,Hidden Dragon」。そう簡単にはよそものにメジャーな賞はとらせないぜ、という見えない壁のようなものを感じました。すばらしい作品なのに、それを全体で評価するのが外国語映画賞だけというのはほんとうにもったいないなあと思います。でも、この映画は歴史に残りますからね。Time can tell.

 アカデミー賞授賞式の魅力の1つに受賞スピーチがあるのですが、最近は時間制限がきついせいか、ほとんどの受賞者は関係者の名前を列挙して終わりになっています。その中でスティーブン・ソダーバーグのスピーチは心に残りました。“創作に関わっているすべての人に感謝したい。映画でも、小説でも、絵画でも、音楽でも。自分の経験をわれわれとシェアしてくれてありがとう。人は芸術なくして生きられない”私もほんとうにそう思います。

 蛇足ながら「Crouching…」の客席ブロックに、チャン・チェンがいました。生身の彼を見られてラッキー。でも、心なしか彼もこの夜ばかりは素人になっていたような(笑)。だって、スクリーンで見るおなじみの顔が、手が届くところにうじゃうじゃいるんですから。アカデミー賞授賞式って、これ自体がスリル満点の贅沢なエンターテイメント。いつも思うことであります。

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