お正月料理セレクション

 三が日、お正月料理は存分に召し上がられましたか? 私もいつもの年なら大阪の実家に帰って上げ膳据え膳で3kgぐらい太って帰ってくるのですが、今年は東京に残留しました。お正月はなんといってもおせち料理。しかし、一人だと本格派三段組み重なぞを買うのはシャク、作るのはタイヘンなので、好きなものだけを勝手にピックアップしてお正月料理とすることにしました。その栄えある料理に選ばれたのは(笑)、「乾物和洋中」で書いた棒だらの煮ものと雑煮、数の子、京いもの煮もの。あとは中国で旧正月に作るお粥、以上。

 雑煮は、冷蔵庫の残り素材を一掃するのにちょうどいいのでお正月に限らずよく作ります。吉田家本来の元日雑煮は、白みそ仕立てで焼かない丸持ちに大根や金時にんじん、小芋を具にあしらいます。しかし、育代無手勝オリジナルはすまし仕立てで、五つの色を揃えることを主眼におきます。たいていは白、黒、赤、黄、緑です。白は韓国のお餅「トック」か白きくらげ、黒はきくらげか海苔、赤はにんじん、黄はきび餅か玄米餅か卵、緑はネギか何かの葉もの野菜です。

 私はあまのじゃくで、お正月前に買えとばかりに“つきたてシングルパック”の袋入り餅が積み上げられると、どうも買う気が失せてしまいます。そこで今回はわが家にある「もちきび」できび餅を自分で作りました。その自家製きび餅を入れたのが下の五色雑煮。決して明石焼きではありません(笑)。

オリジナル五色雑煮

 きび餅といっても作るのは簡単。もちきびを同量の水とともに炊飯器で炊いて、すり鉢に移してすりこぎでつぶすだけ。片栗粉を手につけてだんごにまとめればそれでできあがり。すまし汁に煮えにくい具から放りこみ、最後にきび餅を落として完成です。つぶつぶの残ったきび餅が口の中でとろっと溶けて、なかなかやさしい味わいです。

 2日めには、臘八粥(ラーバージョウ)に挑戦しました。中国で旧暦のお正月の最初の日に必ず作られるお粥だそうです。穀物や豆類が8種類入ります。今回使ったのは、干しなつめ、はすの実、もち米、あずき、大豆、生ピーナツ、くるみ、ゆり根。色を見るとぜんざいみたいで、こんな味の濃いものを主食にするの? と思われるかもしれません。しかし、砂糖も塩も入っていない素材だけの味なので、意外とさっぱりしています。お正月メニューに限定するのはもったいないおいしさ。

 それにしても、このお粥を炊くためにわざわざ買った素材はゆり根だけ。乾物コレクターの面目躍如たるメニューであります。そのほかの素材についてはまた隣のコーナーでゆっくりと(笑)。

臘八粥

戻る このサブジェクトについてメールを書く