あれでもグルメショップのつもり?

 珍味好きなもので、高級食材スーパーマーケットに目がありません。東京・丸の内に米国の「ディーン&デルーカ」がオープンすると日経新聞に出ていたので、さっそく行ってきました。

 実は、この秋ニューヨークに行く予定があって、着いたら真っ先にソーホーにあるこの店に行こうと思っていたのです。日本にできたのなら、秋まで待つことないじゃない。おもしろいものがあったらとっとと買ってきましょう、と勇んで出かけていったのに、まあ、なんとがっかりしたことか。三菱信託銀行ビルの1階に間借りしている「ディーン&デルーカ」は敷地面積が50坪ほどしかないのです。そこにレストランとカフェとデリカテッセンと食品販売を詰め込んだものだから、品揃えのすべてが中途半端。塩1種類? オイルはエキストラバージンオリーブオイルだけ? デリカテッセンは4、5種類? それもただ商品を積み上げてあるだけ。ニューヨークの店は書籍でしか知らない私でさえ、これは本国のものとはまるで違うことを直感してしまいました。
  
 オープン間もないとあって、日本のビジネスを手がけている商社関係者が入れ替わりたちかわりやってくるのですが、彼らでさえ「えっ、なに、これ、コンセプトだけ持ってきたということ?」と驚きを隠せないようでした。
 
 こういう類の店をひとまわりして、体にアドレナリンがかけめぐらず、思わず“買いたい!”と思うものに出会えないというのも珍しい経験です。しかたがないので、スターバックス風のカフェでラテを立ち飲みして店を出ました。あんまり腹立たしくて素直に帰れず、初めて丸ビルに寄り道。しかし、結果的に退屈が二乗されただけでした。
 
 よくこんな深さの足りない店を「ディーン&デルーカ」の本社がGOサインを出したなあ。ニュース番組が“都会人の食へのこだわりニーズにこたえて”とかなんとか好意的に取り上げてましたけど、私には東京の消費者をなめてるとしか思えなかったですね。とにかく二度と足を運ばないでしょう。ああ、交通費と時間の浪費だった。

戻る このサブジェクトについてメールを書く