日課は夫婦ゲンカ

 朝、ファミレスに原稿を書きに行くと、よく一組の老夫婦に遭遇します。そのご夫婦はモーニングセットを食べに来られるんですけど、会話の途中で必ず夫婦ゲンカになるんです。

 旦那さんは遠慮ない大声で「お前の記憶がまちがってるんだろ!」「そんなわけないじゃないか、バカ!」って奥さんにどなり散らすんです。すると奥さんは、彼女はすごく小柄な人で声も小鳥がさえずるような感じなんですけど、まったく負けてなくて、旦那さんがどなるたびに、「あんたがまちがってんのよ」「そんなにどなることないじゃない」と細かく細かく言い返すんです。

 はたから見てるとハラハラドキドキの光景なんですけど、本人たちはもうケンカに慣れきっていてストレスでもなんでもないみたいです。そのうちに娘さんが現れて「まあまあ」となだめて、ごはんがすんだら何事もなかったように三人仲良く帰っていくんですよね。そして翌日また二人でやってきて、同じような夫婦ゲンカを始めるという、ね。

 毎日毎日ケンカしながら暮らすなんて、私には考えられないんですけど、あそこまで腹蔵なく言い合えるのも完全に家族化したからだよなあと思ったりして。夫婦にそんなユニークな到達点もあるんだなと、感じいっている独り者の私です。

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