年の始めの徒然に

 よく「最近、全然ホームページ更新していませんね」といわれるんですよね。トップページは変えているんですけど、どうやらそれは、読む立場からすると更新したことにはならないようです。まあ、書いている本人にもトップページ更新でお茶を濁している意識がないではありません。
 
 このお正月、実家に帰って一番うれしかったことは、姪と甥に「おばちゃんはお母さんより年上に見えない」といわれたことです。甥などは私と妹が並んだ状況で「どっちがお姉さんに見える?」と聞いたら、間髪を入れずに妹を指さしました。要領の悪い奴め(笑)。姪はそのときそこにはいなくて、別のシチュエーションで私と二人でいるときに冒頭のコメントをくれたので、妹より私の方が若く見えるというのは、かなり信憑性が高いのではないでしょうか(笑)。「なんでそう思うの?」と聞いても、「なんとなく」としか答えは返ってこないので、自分でつらつらと原因を考えてみます。
 
 妹は、私より背が高くてスタイルもいいんです。子供の頃習っていたバレエを再開したりして、大人になりきれないお嬢さんみたいな部分もあります。でも、顔の肌の状態などは私の方がいいかもしれない。そして、私は妹と違って怖くない(笑)。姪や甥に対して声を荒げて怒ることは絶対ありません。母親としての責任は持ち合わせない、甘い甘いおばちゃんなんです。それに彼らはなぜか私を単純に遊び相手と考えているようで、お母さんやおばあちゃんとは別括りの人間みたいです。一つには、そういうのが若いという印象につながっているのかも。でも、なにより私が妹より年若に見える理由は、リアルな生活感が漂ってないからでしょう。私だってそれなりに毎日の生活をこなしているのですが、一家四人の面倒を1年365日見続けている妹の生活の迫力とは比べものになりません。たぶん、そういう現実の差が、妹と私のまわりに漂う雰囲気の差になっているんでしょうね。こう考えてくると、「お母さんより若い」といわれて手放しで喜んでいいのかという気分になってきますが(笑)。
 
 項目を別に立てるのが面倒くさいので、このまま雑感をもう一つ。いやなことがあったので、おもしろい映画でも見て気分を晴らすしかないと、いくつかDVDをレンタルしました。「69(シックスティナイン)」も「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」もよかったんですが、一番おもしろかったのは「カレンダーガールズ」です。喫茶店で原稿を書いていたときに、隣の席のご婦人が「『カレンダーガールズ』を見てきたんだけど、おもしろかったわよー」とおっしゃっていたのを覚えていて借りたんですが、この評価、まちがっていませんでした。

 これは英国の田舎町の婦人会が、病院への寄付金を集めるために自分たちのヌードカレンダーを作って売ったという実話を映画化した作品です。その婦人会の女性というのがですね、齢(よわい)五十代、六十代なんですよ! よくそんなことを考えついて、決断して、実行したなあと、ただただその勇気に感じ入りました。なんてったって実話ですからね。それも悩みに悩んで決断したのかと思いきや、意外とみんなあっさりOKしてるんですよね。旦那さんたちにも有無をいわせないという感じで。それもこれも、病院への寄付を思い立ったきっかけがある会員の旦那さんが白血病で死んだことで、「彼女の旦那さんの追悼になるならなんでもする」という婦人会の女性たちの結束と潔さからきたことだったんです。
 
 キャストは実話の婦人会と同じ世代の女優が演じているんですが、いくら女優だからって、五十代、六十代になって脱げといわれても逡巡するものがあったろうと思います。実際、映画の中で使用するヌードカレンダーのために彼女らのヌードを撮影するときは、ものすごく張り詰めた空気だったそうですから。人生最大の選択ミス、という思いが頭をかすめていたのかもしれません。でも、メイキングストーリーの中である女優が「彼女たち(実話の婦人会のこと)にできたのなら、私たちにもできるわ」と発言していて、その言葉に女優の意地というか、働く女の意気地みたいなものをすごく感じました。
 
 その女優たちのヌードが、また、きれいなんですよ。ジュリー・ウォーターズなんて撮影当時53歳だったんですが、よくもまあ、あんな繊細なラインを保っていること、と同性ながら魅入ってしまいました。若いときからポンポン脱いでいて体がひきしまっているヘレン・ミレンもいいし、お肉がほんのりついた他の女優の体ですらいとおしい感じで、女性って本質的にきれいな性だなあと改めて思いました。
 
 若い頃と同じとまではいかないけれど、年を取っても美しくある術が存在することを教えてもらったような気がします。プラスティック・サージェリーに頼らなくてもね。負け犬、勝ち犬の議論は、女性の時間を30でターミネートすることで成り立っていると思うけど、この映画を見たらそんなのアホらしい話と思うでしょう。いくつになろうが関係なく、いざというときに備えつつ(笑)?、胸を張って前向きに、大人の女を生きませう。

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