TOEIC初体験

 受けてまいりましたよ、TOEIC。受験で大学へ行くのなんて、マークシートテストなんて、「よーい、はじめ」で始める一斉テストなんて、20年以上ぶりの経験(笑)。テスト開始時間を待つ間のドキドキには、なんだか懐かしいものがありました。でも、PC受験が当たり前のIT業界にいると、一斉テストはちょっと前時代的に思えます。

 その朝、少し早起きしてTOEICのために割りを食っている日本刺繍をしようと思ったのですが、やっぱり起きられず。刺繍はあきらめて、リスニングで苦手なPARTV、文法で苦手な時制と仮定法をおさらいします。

 リスニングテストはパートが4つあって、PARTTは写真を見ながら4つの英文を聴いて、その写真について述べている答えを探す問題、PARTUは英語の質問とそれに対する3つの答えを聴いて、一番正しい答えを探す問題、PARTVは2人のネイティブスピーカーの短い会話を聴いて、それについて出る質問を読んで正しい答えを探す問題、PARTWは比較的長い英文を聴いて、それについて出る2〜3の質問について正しい答えを探す問題。PARTVの“短い会話”というのが問題なんですよね。瞬間的にその状況をつかまなくちゃいけないから。長い英文なら聴いている間に「そういうことか」とわかってくるんですけど。答えがすぐにつかめないとついあれかこれかと考える。そのうちに次の問題が始まってしまって、今度はそちらを聴き逃してしまう。一瞬で状況判断して、一瞬で答えを見つけるというのがなかなか難しいです。

 文法は全般的に苦手なんですけど、特に、私は時制表現の中でのhadの使い方がよくわかっていません(笑)。いわゆる大過去ですな。今まで、口語的にはすべてhaveで済ませていて、それで全然問題を感じていなかったんですが、もしかしたら話し相手はすごく問題を感じていたのかもしれません(笑)。

 出かける準備をする段になって問題勃発。腕時計が動いていないのです。私はふだん携帯電話を時計に使っているんですが、それはTOEICでは禁止されていて、持ち込むのは腕時計でなければいけません。2、3日前に机の中をゴソゴソ探したら、ノベルティでもらった世界時計や懐中時計やらが出てきて、時計の針も動いている。これでいいやと思っていたのですが、やっぱり普段手入れをしていない時計は、いざというとき役に立ってくれないのでした。町屋の有名ディスカウントショップが開店するのを待って、アナログ時計を1個手に入れます。不測の出費。1000円ぐらいのものなんですけどね(笑)。

 私の試験会場は水道橋の日本大学2号館。私の家からは30分もかからない距離です。12時20分までに入室すればいいということだったので、時間的に余裕はあったのですが、なんとなく家にいられなくて早めに出発しました。お昼ごはんを食べる時間も必要と思ったし。途中、千代田線の新御茶ノ水駅からJR御茶ノ水駅に向かう長いエスカレータで、イヤホンをしながらTOEICの問題集を開いている、私よりちょっと年上かと思われる男性を目撃。“ご同輩、がんばりましょうぜ”と、心ひそかにエールを送ります。

 JR水道橋駅を降りたらそこが分かれ道。東口へ向かう人々は、片手に競馬新聞を握りしめて場外馬券場へ。一方、西口へ向かう人々の手には、TOEICの書籍。かたや娯楽、かたや試練。まあ、どちらも人生を賭けているという点では同じようなものなんですけどね。

 朝の、それも日曜日の白山通りで開いている飲食店は少なくて、タリーズでリスニングテープを聴きながら、サンドイッチでもパクつくことにしました。先客は一人。彼も受験者と見ましたね。ほどなくして、大きなビジネスバッグを肩からかけた、バルキーセーターにゴルフスラックスの中年男性が入ってきました。この人もまちがいなく受験者だ。もう100%見分けがつく自信がついてきました(笑)。そういう匂いがしてる。このセーター姿の男性は、そこで証明写真を3×4cmのサイズに切って受験票に貼る作業をしていました。受け慣れてるかも。

 試験会場は、受験番号で教室が決まっています。自分の番号で教室を探すなんて、学生時代を思い出すわあ。座席に座って、三々五々入ってくる受験者を見るともなしに見ていたんですが、みんな若い! ほとんど現役の学生さんなのではないでしょうか。それも“この人はいくらなんでも英文専攻じゃないでしょう”という人がたくさん。今は就職にTOEICの成績添付が必須だったりするのでしょうか。私の時代も氷河期といわれたけれど、今に比べればまだのんびりしたものだったわと、いらぬところで感慨にふけります。120人ぐらい入る教室で、私ぐらいの年代の人はちらりほらり。すっかり少数派のようです。

 隣に座った若い女性が突然話しかけてきました。「すみません、時計を忘れてしまったので、よろしければ見せてもらえませんでしょうか」 この人も携帯時計派なんだわと思いつつ、まあ減るものでもないので「どうぞ、どうぞ」と、今朝ディスカウントショップで買ったばかりのアナログ時計を横長の机のまん真ん中に置きます。そうか、忘れたら、隣の人に見せてもらえばいいのか。私には絶対思いつかない解決策だわ。若い人は他人との垣根が低いわね。

 さて、肝心の試験はといえば。やっぱり最初だけあって、時間配分がうまくいきませんでした。なんとか最後の問題までたどり着いたんですけどね。あとで見直そうと印をつけておいた問題に戻った時間が、試験終了3分前。結局、見直せなくて最初の答えのままにしたのがいくつもありました。問題文さえ見返せずに当てずっぽうでマークしたり。胸を張っていえますが、絶対に満点は取れていません(笑)。

 リスニングのPARTT、PARTUは、模擬試験で解いていたより問題が素直だったような気がするんですけど、それでもときおり集中がとぎれる瞬間があって、意識があやふやで答えられない。ましてPARTV、PARTWをや。まずは1時間みっちり意識を耳に集中し続けられるリスニング体力の養成が要りますね。高得点を狙うんだったら、リスニングで10割取ることは大前提のような気がします。だって内容的には専門知識が必要とされるような難しいことは何にもいってませんもん。

 PARTX、PARTYの文法はやっぱり難しかったなあ。問題集の一冊や二冊解いたって、直感で文法的誤りがわかるまでには至らないですね。これはきっと文法書や英文を読んでいるだけではダメなんだと思います。書かないと。正しく記述された英文を大量に書いて、文法を頭ではなく体に染みこませないと次のレベルには行けないということがよくわかりました。文法攻略は長期戦覚悟ですね。

 長文読解のPARTZは、私にとって試験ジャンルの中ではいちばん気が楽なところで、準備もあまりしなかったんですが、それが災いしてしまいました。時間がないのについまともに読んでしまう。もっと読むスピードをあげるか、読まずに問題を解くテクニックを身につけなければ。これも訓練しないとできるようにはならないみたいです。

 あっという間の2時間でした。結果として残ったのは山ほどの課題。試験を受けると、自分に欠けている部分がほんとよくわかります。でも、いろいろ観察できたり、懐かしい経験ができて楽しくもありました。成績は二の次ですね。といいつつ、気になっていますが(笑)。とにかくなんだか新たに目標ができた感じ。 受験料もIT資格試験より安いことだし、来年はもっとどんどん受けましょう。  

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