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1976年7月25日発表BAL-1018

自作曲をアレンジによってさらにイメージをかき立てる楽曲に構成する技術を身につけた佐井好子が、アルバムという名のキャンパスに自分の詩と歌という絵具で自在に描く楽しみを見いだしたのが、1976年に発表されたセカンド作「密航」である。この作品は彼女の感性のルーツ的な部分を占める「シルクロード」をベースに、ある種の意識の航海を描いたトータルアルバムとも言える佳作である。

編曲は大野雄二からクニ河内に変更されているが、エンジニアは伊豫部が前作同様担当している。冒頭のシタールとタブラによる中近東的な絡み合いはそのサウンドスケールの大きさを予感させ、ボーカルが始まるやいなや、リスナーは一気に佐井好子ワールドの大海原に船出して行くのである。

歌には「萬花鏡」に見られた血生臭い言葉は影を潜めたものの、大陸や砂漠、孤島、国、地平線といった渺茫たる世界観が展開され、より伸びやかに広がるボーカリゼーション、高中正義などによる見事なバッキングによって、ポピュラー音楽史上希に見る傑作アルバムを完成させている。「密航」という神秘的な言葉に作品を集約したセンス、水性色鉛筆で描かれた彼女自身による幻想的なジャケットも含め、詩人・歌手・画家として、23才にして頂点を得たアーティスト・佐井好子の姿がここにある。
(CD版解説より抜粋/JOJO広重筆)



1 THEME〜母さまのうた
2 鏡地獄
3 春
4 絹之道
5 人のいない島
6 眠りのくに
7 天使のように
8 漂流船
9 密航

全作詞作曲佐井好子
全編曲クニ河内



Drums:田中清司、武田光司、山本秀夫
E.Bass:高木建司
E.Guitar:高中正義、矢島賢、津村泰彦
A.Guitar:吉川忠英、矢島賢、野間義男
Piano,Keyboard:大谷和夫、松岡直也
Vibraphone:クニ河内
Flute:中川昌三
Cello:阿部雅士
E.Sitar:矢島賢
Dulcimer:生見慶二
Tabla:瀬上養之助 Strings:新音楽協会

Director:春名勇
Engineer:伊豫部富治

Recorded At Teichiku No.1 Studio & Sound Creation Studio.
Mix Down At AMS Studio from March to May in 1976.
Illustration:Yoshiko Sai
Cover design:Teichiku Design Section

Greatful Thanks to K.Kamon & T.Yoshida.
Special thanks to all the people who participated in the making of this album.

原盤:テイチク株式会社