監督 | マーティン・スコセッシ |
脚本 | マーティン・スコセッシ |
出演 | ダニエル・ディ・ルイス ミッシェル・ファイファ ウィノナ・ライダー ロバート・ショーン・レナード |
オスカー5部門ノミネート 衣装デザイン賞受賞 ゴールデングローブ助演女優賞 D・Wグリフィス賞受賞 |
この作品のダニエル・ディ=ルイスのストイックな演技は垂涎ものである。
眼差しそして一本一本の指先にまで恋する男の情感をにじませる最高の演技である。
舞台は1870年代のニューヨーク。
当時ヨーロッパは自由な雰囲気にあふれていたのに反して、ニューヨークの社交界は、家の格式や富の多賓に厳然と縛らていた。
主人公のアーチャーは、美しく可憐な淑女メイと婚約したにもかかわらず、夫と別居中のメイの従姉妹のエレンを愛してしまう。
エレンにとっても、ニューヨークの人々の白い目にさらされた孤独な生活の中で、アーチャーの存在は唯一の慰めであった。触れ合う事も許されなぬ仲だからこそ、互いの心は燃え上がって行く。しかし、ニューヨークの社会の見えない圧力とまたその世界を捨てることの出来ないアーチャーの心中を察して、エレンは別居中の夫との離婚を思いとどまる。それはすなわちアーチャーとの恋を終わらせる事であった。
メイと結婚したアーチャーだったが、その日から彼の心は色あせ、アーチャーのエレンへの恋も、周囲にとっても妻にとっても、周知の事実だったと気づいたアーチャーは、メイのもとを去ろうと決心する。別れを口にしかけたその時アーチャーはメイに妊娠を告げられる。エレンもメイから先にそれを聞かされ、すでに彼の手の届かないイギリスに去っていた。あどけなく可憐な妻メイの強い意思は、彼らの存在する世界そのものであり、夫の恋をもたやすく黙殺しうるものなのだとアーチャーは悟る。
その後、アーチャーは誠実な夫のまま、エレンの面影を抱きつつメイと生涯を共にする。30年後、メイは夫より先に旅立ち、アーチャーとエレンを隔てるものは無くなった。アーチャーは息子を伴ってエレンのもとを訪れる決心をするが、その息子からはじめてメイの本当の思いを聞かされる・・・。