しなやかで官能的。本質と感性。細やかにいきとどいた動き。
彼の眸に翻弄される女を彼もまたじっと待っている。
そんな危ういまなざしである。
ダニエル・ディ‐ルイスがもっとも好きな言葉は
『ハムレット』の中の「一羽の雀が落ちるのも、天の摂理」だという。







ダニエル・ディ‐ルイスはあるインタビューで
『男の中にある、貴方が一番好きな特性は?』と聞かれ
『男に?・・・・(長い沈黙の後),それはフェミニティ(女らしさ)』と
こたえたという。簡単に思いついた言葉とは思えない
この言葉の深い意味を私が本当に理解したとは言いがたいが
ダニエル・ディ‐ルイスに漂うある種のエレガントさを思うとき
私はこの言葉を思い出すのである。





(先の「男の特性の中で好きなのはフェミニティだ」という言葉を
もう少し説明して欲しいと後のインタビューで聞かれて)
『一人の人間の中には男と女は共存している・・・。
ただし、これは性の問題には違いないけど、性的なアピールがあるって
いうんじゃなくて、そういう性的なネイチャー(本質)と言うよりは
センシビリティ(感性)に伴ったものなんだと思うよ』

『存在の耐えられない軽さ』のサビーナとテレーザの生き方について聞かれ
『僕は原作を読んだ時テレーザの気持ちが驚くほどよくわかった。
トマシュの気持ちはさっぱり理解できなかったのにね。
僕の生き方はテレーザの生き方とよく似ているんだよ。
だから彼女の事は完全に理解できる。映画の話があったときも、
僕こそテレーザを演じるべきだといつも思っていた』





それにしても、ダニエル・ディ‐ルイスの女性との噂話は、とんでもないエピソードにあふれている。
あまりにも有名なのはイザベル・アジャーニを妊娠させ子供の顔も見ずに逃げたスキャンダル。
その後で同棲していたガールフレンドは、彼とレベッカ・ミラーとの結婚を
ニュースで知った友人から聞かされ、イザベル・アジャーニも彼の結婚話を聞き
お相手はてっきりそのGFだと思い、お祝いの言葉を贈ったらまったくの別人で、
あまりの無責任さにあきれ果て、この結婚が彼の女性遍歴の最後になりますようにとコメントを残す。

しかし、こんなダンでも今は落ち着いた家庭生活を送る
よき夫よき父親になっているのだろうか?
今のところ不遜な噂は聞こえてこないようだが・・・。