甘辛コラム


vol.16  2001/11/11
11/11/2001 1:00 update

=高田 vs ミルコ=


  PRIDE.17(11/3)で行われたK-1 vs 猪木軍の対抗戦 第二弾、その舞台で事件は起こった。

  「ミルコ・クロコップ vs 高田延彦」 の 世紀の大凡戦 である。

  試合を見逃した方のために内容を補足しておくと、 キックボクサーのミルコに タックルを9回も 切られて 煮詰まった高田が、挙句の果てには 自分から19回も寝転がって 5Rをやりすごしてドローに持ち込んだという、キーボード を打つ手が凍りつくようなお寒い試合を想像して欲しい。     いや、無理に想像しない方がいいかもしれない、精神的に不衛生だから。

  「勝つためにルールを最大限に利用する」というのは競技者として正しい選択であろう。     しかし、状況がそれを許さない事もある。
  下記にそれらの要因をまとめてみた。


  @これは高田からミルコに吹っかけた試合である

  A試合前にビッグマウスを散々披露していた

  B大会前日の記者会見を一人だけスッポカして大物 ぶっていた
  Cアイ・アム・プロレスラー



  この4点だけでも高田が試合中に昼寝をすることがファンの許容範囲を逸脱している ことは充分説明できている。
  自分から挑戦状を叩きつけておいて、自分のテリトリーでしか戦おうとしない男を 観客が評価することはできない。

  それでも一部のファンやマスコミが高田を擁護しているので、 ここでキッチリと トドメ をさしておきたい。


  試合後、高田はマスコミの前に 車椅子 に 乗って現れ、「右足を痛めてしまったので、負けない試合をするために戦法を変えざるをえなかった」 と早速、自分の行為の正当性を周囲にアピール してきた。    こんな高田に是非見せておきたかった光景がある。
  それは今年のプロ野球の巨人戦で、抑えとして登板した槙原が打ち込まれて敗戦した試合の ワンシーン。    その登板で足を負傷した槙原が車椅子に乗ってマウンドから去ろうとした時、 こんな野次が飛んだ。    「槙原ー!  言い訳するなー!!」

  この観客の素晴らしい言葉のセンスについてのコメントは割愛するが、 まさに今回の試合にも適用する事ができるのである。

  『闘えないのなら棄権』 すべき だったのだ、高田は。

  観客の意見は、時として残酷だ。
  一生懸命闘っている選手に対して、容赦なく罵声を浴びせる人も少なくない。
  だが、それももっともな事なのだ。
  なぜなら、会場にきている一般客は「なけなしのお金を 叩いて高いチケットを買って、試合を楽しみに来ている」からである。

  今大会、VIP席\100,000 は別格にしても、 RRS席は\23,000だ。     これは一般庶民の私たちにとって、決して 安い金額ではない。     東京ドームという場所とPRIDEという格闘技の性質上、スタンド席となる S席(\13,000)やA席(\7,000)で見るくらいならスカパーの方がまともに見ることができるだろう。     そのスカパーも生放送分だけでなく、再放送を見るのにも1回\2,000はかかる。     更に例えRRS席より安いスタンド席のチケットを入手したとしても、 会場に行く労力と交通費、人によってはホテル代まで含めるとかなりの金額になってくる。
  このようにやっとの思いで見にきている人達にとって、試合中に 寝てばかりいる高田は、まさに「ギャラ泥棒」と 言って差し支えないだろう。

  試合を行う報酬として選手に支払われるファイトマネーは ドコから発生しているのか、高田はミルコにビビって忘れてしまった のだろうか。

  せめてプロとしての試合を提供できないのならTKO負けを受け入れて欲しかった。。。


  試合直後にレポーターから今後について聞かれたとき、高田はこう答えた。     「次の目標は試合に出る事です」


  ......(・へ・)


  ファンからのニーズが無くなったファイターは リングから去れ。