自転車山旅派

信州・春のツーリング 木曽(飛騨)・野麦街道

 




1999/5/2
使用自転車:BSユーラシア改
使用タイヤ:700 x 32

☆行程☆
開田高原キャンプ場〜長峰峠〜寺坂峠〜野麦峠〜境峠〜地蔵峠〜開田高原キャンプ場

 遠征3日目。昨日、伊那から開田高原に車で移動してきた。メンバーは峠篤志家の
K原氏,近D両氏である。先日のツーリングに引き続き、残雪の山々の展望が期待さ
るツーリングになりそうである。

☆コースタイム☆
開田高原キャンプ場 6:30
長嶺峠       7:15
寺坂峠       8:23
野麦峠       9:40-10:30
境峠        11:30
薮原        12:00
木曽福島      13:00
地蔵峠       14:27
開田高原キャンプ場 15:45
 朝5時半、周りのごそごそ言う音で目が覚める。いかん、寝過ごしたようだ。 テントから顔を出してみれば、他の2人も同様のようだ。早速、テントから抜け 出して、出発の準備を進める。連休4日目の今日も天気は良さそうである。

 今日は月夜沢峠を越える近D氏,K原と野麦峠まで一緒に行き、そこから境峠 ,地蔵峠を越えて開田高原に戻ってくる約100Km,積算高度約1700mの ツーリングである。

 約30分遅れの6:30分、開田高原キャンプ場を出発した。まずは、西野川 に向かって降りてゆく。自動車で上がってきた時には感じなかったが、キャンプ 場は川からずいぶん上にあるようだ。広い道を快適に飛ばして降りてゆき、川を 渡って一登りすれば、西野の分岐に着いた。ここから国道を長嶺峠に向かって走 ってゆく。道は山と山の間の平坦地をゆっくり上がってゆく。左手には雪をかぶ った御嶽山が大きく広がる。御嶽山をこれだけ近くで眺めるのは始めてであるが、 雄大で立派な山である。古くから信仰の対象となるのも判る気がする。川に沿っ て走っていた道が川を離れ傾斜が急になり、カーブを数個超せばそこが車道の峠 であった。

 本当の長峰峠はここから少し上がった山の中らしいのだが、今回はパス。峠に は茶屋があったが峠を示す標識は無く、かつての風情を伝えるものは山の中に行 かなければった。一応写真撮影をし、岐阜側へと自転車を進める。

 道は岐阜側も緩やかな峠道だった。ゆるやかに高根乗鞍湖に向けて降りてゆく。 いくつかの短いトンネルをくぐると高嶺大橋。橋からは乗鞍の白い頂が見える。 この橋を渡ってぶつかる道が野麦街道である。ここから野麦峠への登りが始める。

 野麦街道は最初は川沿いに緩やかに登ってゆく。しばらくはこんな具合だろう と、のんびり自転車を進めていけばやがて最初の集落に入った。道端には石仏な ど有り、雰囲気はいい。約一名が石仏につられてふらふらしている内に道は真っ 直ぐ登るようになってきた。かなりの勾配である。先行する近D氏から、 「道あっています?」 と声がかかった。 「大丈夫だと思いますよ。」 と応えるが、右にあるはずの川が左にあるし何か変だ。地図を確認すると阿多野郷 と言う場所にいるみたいである。しかし標識どおりに進んでいるので間違いは無い はずであるが、私の5万図にはこの先野麦峠に通じる道は出ていない。ということ で、近くにいたおじさんに聞いてみるとやはりあっているようである。川沿いの道 は崩落して付け替えられたのだと勝手に解釈してこの予定外の登りに取り組むこと となった。(後日確認したところ、最新の道路地図ではこちらが県道になっていた。)

 まっすぐな登りをひぃ〜こら越え、カーブを幾つか越えるとそこが寺坂峠の頂上 であった。まったく自転車向きの道ではない。ここからまた川まで降りて行くみた いだ。なんだか損をした気分で降りてゆけば、川沿いの道の入り口にはしっかりゲ ートがあり、通行止めの看板があった。戻った道はあいかわらず緩やかに登ってい るだけにこの通行止めはうらめしい。しばらくゆっくりと進んでゆくと、野麦の集 落が見えて来た。

 野麦の集落の入り口にある茶屋の自動販売機の前で小休止。さっきの登りで結構 疲れてしまった。野麦峠への登りはこれからが本番である。

 自動販売機のお茶で一服した後、再スタート。野麦の集落内には石仏が多い。ま たもやふらふらと吸い寄せられている人を置いて、近Dさんと二人で先に進む。勾 配は集落に入って結構急になってきている。ゆっくり上ってゆくと、旧街道との分 岐に着いた。ここから峠まで旧道はハイキング道として整備されている。入り口は 車でも入れそうなダブルトラックのフラットなダートであった。一応ここで後続の K原さんを旧道に行ってしまわないように待つことにする。(過去、ふらふらと旧 道に入っていった実績あり。)やがて、にこにことK原さんがやってきた。あの笑 顔は石仏の写真が取れて満足の笑顔に違いない。旧道に行かないように諭すと^^; 「後日の課題とする。」との返事であった。

 旧道との分岐には冬季通行止めのゲートがあるが、それによれば5/1に通行止 めは解除になったばかりである。ここには雪などまったく無いが、頂上付近には残 っているかもしれない。ここからが本番と気合いを入れて走り出すが、先程の集落 内の様な急坂がある訳でもなく、適度な斜度で道は山肌を巻いてゆく。これなら楽 勝とどんどん先に進む。

 野麦峠へは案外あっけなく着いてしまった。峠は立派な観光地である。連休とあ って人も多い。ここがかつて笹原だったなんて想像もできない景観である。とは言 え、写真撮影を始めてしまうところが悲しい^^;。近Dさんと交互に乗鞍岳をバッ ク写真を撮って後続のK原氏を待つこと10分。へろへろになったK原氏が現れた。 最近こんな状態のK原氏を見ることが多い気がするのは気のせいか。ひょっとする と懐に石仏の一つや二つ入れているのかもしれない。K原氏の写真撮影を待って、 お助け小屋に移動。団子を食べながら一休みという事になった。

 ここでK原,近D両氏とは一旦お別れである。私は先がまだまだ長いので早々に 出発することにする。「それでは気を付けて。」とお互いに声を掛けて出発する。 峠から奈川村寄合渡までは一気に下ってゆく。

 寄合渡で境峠への道は右折する。ここから峠まで約370mの登りである。道は 国道だが通る車も少ない。幅も広く立派な道であるが、いかんせん単調である。日 差しも強くなってきて、ただ延々とペダルを踏み続ける。早く峠につかないかなと 思っているうちに峠に到着した。峠には最近立てたらしい碑があるが、それ以外は 何も無い。一応写真に峠の様子を記録してさっさと薮原に向けて峠を離れた。

 峠から薮原までは下っていくだけである。とにかくどんどん下ってゆく。ちょう ど12時のサイレンが鳴り響く頃、薮原の町に入って行った。時間に余裕があれば 薮原などの旧宿場をゆっくりと見てみたかったが、今回はまだ地蔵峠が控えている。 またそのうちゆっくりポタリングしながら散策することにしよう。薮原から木曽福 島まではR19を走ってゆく。R19は路肩が狭く、その上交通量が多いので走り にくい。大型車が横を通り過ぎてゆくたびにひやひやする。途中、ようやく見つけ たコンビニで昼食とする。R19はコンビニも少ない。

 コンビニから一降りで木曽福島の分岐に着いた。時刻は1時。なんとか3時台に は戻れそうである。R19を大きな橋のところで右折。開田高原への道に入る。道 はこれからしばらく、川沿いに緩やかに登ってゆく。渡合と言う場所で新地蔵トン ネルへの道を分けて、旧道に入り込む。旧道に入ったとたん道は狭くなり、車の交 通量が減った。道沿いには所々集落があり、石仏が旧道であることを教えてくれる。 自転車向きのいい道である。ところどころ急坂はあるものの総じて傾斜は緩いよう である。周りの景色をながめながらののんびりした走行が続く。やがて道が川を離 れれば、そこから本格的な峠道が始まった。途中大きな滝が見えてくる。滝を見な がら一休みするが、よく見ると道は滝の落ち口の上を走っている。まだまだ登って ゆきそうである。根が生えてしまいそうな腰をあげてさらに上を目指す。先程の滝 の落ち口も左に眺め、いくつかカーブをやり過ごすと、やっと峠見えて来た。

 木曽側から登って行くとまず目に入るのは、近年再建されたとされるお地蔵様で ある。お地蔵様は峠の切り通し部分に木曽からの旅人を歓迎するように、こちらを 向いた立っている。お地蔵様の所まで行けば、眼下に開田の集落が広がり雪を冠し た御嶽が雄大であった。さらに右を見れば、乗鞍岳。まさに展望台であった。しば し展望を堪能する。

 峠で写真撮影をしながら一服し、眼下の開田高原へと降りてゆく。開田高原へは あっと言う間に到着した。これよりキャンプ場に戻るべく、国道に向かう。国道に 入ってふと左を見ると、自転車の二人組みが蕎麦屋の駐車場から出てくるところだ った。野麦峠で別れた近DさんとK原さんだ。予想以上に月夜沢峠の道に時間を食 ったらしい。まだ昼食を食べていないので空いている蕎麦屋を探している所だそう だ。しばらく一緒に走るが、次の蕎麦屋で別れて先にキャンプ場に戻ることにした。

 戻るのに九蔵峠を越えて西野にでるのはパスしたかったので、その手前で西野川 に向かい降りてゆくことにする。西野川にかかる橋からキャンプ場までは地獄の様 な坂であった。今朝快調に降りた事が頭をかすめるが、今となってどうにもならな い。とにかく先に進まなければキャンプ場につかないのである。本日一番の苦しい 坂を歩くようなスピードで上がってゆく。キャンプ場の入り口が見えてほっとした のは午後4時に近い時間であった。



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