本計画の敷地は、商業地域ではありながらも、２〜４階建ての建築がこじんまりと立ち並ぶ、 台東区雷門の、昔ながらの下町の良さを残した地域にあり、 東側に前面道路である幅員８ｍ道路、北側の幅員６ｍ道路、西側の２項道路 の三方道路に面している。

　本計画は、長年この地域で生活してこられた御夫婦と、 別居されていた息子夫婦と３人のお孫さんとの 三世代の同居を機に貸店舗併用住宅として計画された。

　　 　平面計画は、１階は、住居階へのエントランスを挟み 東側前面道路に面し貸店舗を、西側に車庫を配置し、 ２階は、御両親の生活のスペースで、階段と廊下をはさみ東西に所要室を配置した。 ３階は、若夫婦と３人の子供のための居住スペースで将来的に分割可能な三室を 子供の小さい間は、一室として利用する事ができるよう配慮し、 夫婦室は、空間的には３階と連続感のある４階にロフトとして計画した。 階段と廊下は、上下階を行き来するためのコアであると同時に、 ３層にわたる生活が完全に分離されないよう配慮した。

　立面計画では、東前面道路側は店舗のファサードとし、 住居階の窓もリズムを与え、住居専用玄関のある北側道路を 「住居の顔」として、二種類の用途にそれぞれの表情をもたせた。 住居階北側の窓は、道路を挟んである料亭の庭の緑を 「借景」として楽しむための窓となるよう大きく切り取った。 ４階のボールト天井を回り込んで降りてくる南側の光は、 ３階を時事刻々と変わる光に満ちた空間にするであろう。