ハンセン病を正しく理解する講演会 
2007 
関東の部
6月23日(土) 日本キリスト教団 新栄教会
講師:社団法人好善社社員 タイ国派遣看護師 阿部 春代


 
 創立130年記念の礼拝後、好善社社員の阿部春代さんが、「ハンセン病回復者の足を洗い続けて16年」と題して、タイ国での看護活動を話されました。近年、ハンセン病も多剤併用療法により、早期に治療を始めれば、後遺症を残さずに治るようになりました。こうした薬剤の進歩もあって、タイ国でのハンセン病罹患率は急速に減少し、2006 年には、1万人当たり0.21人になっています(1956年には1万人当たり50人、1996年に1人以下)。しかし、新患は減っても、後遺症である知覚麻痺を抱える患者さんの数が減少しているわけではありません。手足に知覚麻痺があるために、足の裏などに傷を作ると、痛みを感じることができないので、傷に気づかずに悪化させてしまいます。また、長期慢性の傷が癌になるなどのために、下腿を切除することになったりしています。阿部さんは、セルフケアを習慣化することができれば傷を治せること、下腿を失わずにすむことをいくつもの症例を示しながら、話してくださいました。どのような言葉かけをしたら、タイ農村で生きる患者さんの心に届くのか、一人ひとりの生活に合わせたアドバイスを行うために、患者さんの足を洗いながら、その足で立っている生活の場までに思いを巡らせていらっしゃいます。阿部さんの地道な活動により、20年来の傷であっても治ることを知った理学療法士の若者が自ら患者の足を洗い始めたことを、嬉しそうに語る阿部さん。阿部さんのチャレンジは、ただひと粒の種ですが、いろいろな形で芽を出し、確実に育ちつつあることを感じました。(好善社賛助会員 岡本緒里さん)














ハンセン病を正しく理解する講演会 
2007 
関西の部
6月30日(土) 日本キリスト教会 西宮中央教会
講師:国立療養所栗生楽泉園入所者 藤田 三四郎氏


 
 毎年入所者の生の声を聞くことでハンセン病の正しい理解、啓発を願って開催していますが、近年は入所者の高齢化も加速しており、関西まで来ていただける講師に苦慮するようになりました。それでも私たちの願いに応えて、今年は藤田三四郎さんが2泊3日の日程で栗生楽泉園から介助者とともに来てくださいました。関西の講演会は好善社関係のみならず一般市民の方々の参加も多く、約75名で開催されました。藤田三四郎さんは62年間をハンセン病療養所で生き抜いてこられ、現在81歳現在も自治会会長として活躍しておられます。長い療養所での生活の中で政治に関心を持ち、文学者として表現を続け、また、信仰者でもあります。ハンセン病政策と闘ってこられた歴史、残された療養所の将来構想に今も努力をしておられること、などなどよどみなく、力強くお話しくださいました。
「外なるものは滅びても、内なるものは日々新たである」という聖書の言葉に支えられ、それを見事に身をもって生きておられる姿にハンセン病問題の理解とともに人間として力強い励ましも頂いた気がします。(好善社理事 山本公子)