〔医療にやさしいコンピュータ〕第5回
ホームページをのぞいてみよう /National Institute for Health
モダンメディア,44/7,pp229(25)-236(32),1998

藤谷 誠 /清水国際特許事務所
e-mail makotof@kt.rim.or.jp


はじめに
 前回は,インターネットを通じて接することができる英語の情報源について紹介した。今回は,英語で情報提供されているサイトとしてNIH -National Institute for Health- を取り上げ,より具体的な内容の紹介を試みる。
 この連載では,かつて国立がんセンターのホームページを題材に,その仕組みや利用方法について簡単なガイダンスを試みたことがある1)。今回の題材とするNIHでは,その規模の大きさから,国立がんセンターでは紹介できなかったインターネットの別の可能性をご紹介できるのではないかと考えている。たとえば,サイトの中の検索といった機能は,今までの連載の中では紹介できなかった。これらの新しい題材や,筆者が興味深いと思ったポイントを中心に読者の皆さんと「NIHの中」を歩いてみたい。
 なお以前も簡単に触れたことがあるように1),ホームページとは情報発信する側の起点となる特定のページを意味する用語である。今回題材としているように「NIHの中」と称するときには,ホームページには限らず,Webサイトの中全体を指している。

I. NIH -National Institute for Health-
 アメリカでは,国家予算によって得られた成果や,公的な施設の活動内容を積極的に公開する姿勢が強い。したがってNIH -National Institute for Health-(国立衛生院)に限らず,アメリカの公的な機関が維持しているWebサイトには充実した内容を持っているものが多い。ただ今回NIHを取り上げたのは,ことさら特徴的な内容を持っているからというわけではない。充実した内容であることには違い無いが,数多くのWebサイトの中にあって特別注目されているわけでもないと思う。ここでは,インターネットを通じたいろいろな情報の利用方法についてのガイダンスの題材としてNIHを取り上げてみる。

1. NIHホームページの概要
 まずNIHのホームページを図1【省略】に示した。これは文字どおりWebサイトのスタート地点となるページなので,ホームページと呼ぶ。ホームページは,提供されている情報のリストとなっていて,ごく一般的なデザインと言うことができるだろう。このホームページを通じて提供されている情報は,NIHからのアナウンス,公衆衛生関係者にとって有用な各種の情報,そしてNIHの職員向けの情報といったものが中心となっている。
 NIHからのアナウンスとしては,プレスリリース,各種セミナーや出版資料のアナウンス,NIHの地図等がある。プレスリリースをインターネットを通じて提供するのは,発表する側にとっても,情報の受け手側にとっても便利なものだと思う。発表する側としては,常に最新の情報を簡単に世界に向けて提供することができる。受け手から見ても,自分の必要なときに,やはり最新の情報を手に入れることができるのだ。プレスリリースの画面を図2に紹介しておく。
 プレスリリースの他でおもしろいのは,電話番号案内である。NIHの電話番号をさまざまな情報から検索できるようになっている。名前でも部署名からでも検索することができ,しかも検索したリストからクリック一つで,該当した人の電子メールアドレス等も表示されるようなっている。もちろん表示された電子メールアドレスをクリックすると,瞬時に電子メールの編集画面に切り替わる。こういったシステムを構築するのは確かにたいへんなことかもしれないが,利用者が自ら必要な部署や担当者を探してくれるのであれば,結果的には業務効率化とともに利用者サービスの向上を実現していることになろう。実際,このサービスを見ていて,筆者は自分の住む町の市役所もこのようなシステムを作ってくれないものかと思ってしまった。組織が大きくなると,電話番号リストのメンテナンスとアナウンスはたいへん負担の大きな作業である。したがって,このように管理者側で行った更新内容を簡単に利用者全体へ反映させられる仕組みは,いったん軌道に乗せてしまえばきわめて合理的なシステムとなることが理解できると思う。
 また本稿を起こすためにNIHが提供している情報を見ているうちに,この連載と似たような内容をNIHでも提供していることがわかった。Inter NIC 15 Minute Series (http://wwwoirm.nih.gov/15min/)と称して,電子メールや検索エンジンに関する簡単な解説が公開されているのである。さて,余談はこれくらいにして,有用な情報源の紹介に移る。
 NIHが公衆衛生関係者向けに提供している情報には,NIHによる研究報告や統計資料,規制に関する情報等がある。また多くの情報に効率的にアクセスするための親切な仕組みも合わせて提供されている。おそらく我々にとってこの部分が最も興味あるものだと思われるので,いくつか個別に取り上げて紹介することにする。

2. ホームページの中を検索
(http://search.info.nih.gov/)
 NIHのホームページの最初に,NIH Search Engine. というメニューが小さく表示されている。これは,NIH Web Searchというサイトの中を検索してくれるサービスである。NIHでは実に多くの情報を提供しており,場合によっては目的とする情報になかなかたどり着けないこともある。そんなときに頼りになるのが,NIH Web Searchだ。図3【省略】NIH Web Searchのキーワード入力画面を示した。
 連載の2回目に,インターネットのリソースを検索する方法の一つとしてサーチエンジンの活用を紹介している2)。サーチエンジンは,インターネットの中を横断的に情報探しを進めるときに有用なツールであった。これに対して,今回紹介する検索機能は,そのサイト内に限って検索サービスを提供してくれる。使い方はサーチエンジンと同じで,思い付くまま適当なキーワードを(もちろん英語で)入力ボックスに書き込み,“search”ボタンを押すだけである。NIHが提供している情報の中からキーワードに基づいて検索を行い,該当する情報のリストを得ることができる。このリストの中から,タイトルと簡単なコメントを参考にして実際に見てみたいものがあれば,それをクリックするだけで情報が画面に出てくる。筆者が試しに“AIDS”で検索してみたところ,かなりの該当情報が得られた。NIHがインターネットを通じて多くの情報を公開しているとともに,キーワードを使ってきちんと検索できていそうなことがうかがえる。
 同じインターネット上の情報検索機能でありながら,世界中のサイトを検索するサービスと,サイトの中の情報に限った検索サービスとがあり,戸惑いを感じている方もおられるのではなかろうか。後者のメリットは,やはり常に最新の情報を検索対象にできることだろう。なにしろ,内容のメンテナンスをしている側が自らの情報を検索できるようにしているのである。外部から検索を進める前者に比べて,新しい情報をきめ細かく検索できて当然だろう。また,限られた範囲内の情報を対象とした検索なので,より緻密な検索が可能である。
 こうした,サイトの中を対象とする検索サービスは,規模の大きなサイトではよく提供されている機能である。あるWebサイトに情報があることは予想できるが,情報量が多すぎてなかなか目的の情報にたどり着けそうに無いと感じたときには,このようなサイト内の検索サービスを使ってみるのも一つの手だ。NIHのWebサイトで情報公開している関連機関にも,独自にサイト内の検索を提供しているところがある。あまりにたくさんの情報検索サービスが有りそうなので,目に付いたものを表1にまとめてみた。なおこれらのサーチサービスは,図3に示したサーチサービスを使って“search”という単語で検索した結果の中から選んだ。このような調査を検索サービス無しで行うと,全てのページをチェックしなければならず,NIHのような規模の大きなWebサイトでは大変な作業になってしまう。

表1.NIHにおけるサイト内の情報検索サービス
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
The Cancer Therapy Evaluation Program (CTEP)癌治療の臨床試験に関する情報。
Environmental genome project (EGP)に関する情報。
The Division of Cancer Epidemiology and Genetics (DCEG)に関する情報。国立がん研究所による。
国立がん研究所によるPDQ database。がんの診断や治療の臨床治験情報。
National Institute of Neurological Disorders and Stroke(NINDS)による情報提供。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 これらの検索サービスは,いずれも各機関が提供している情報を検索対象としている。興味深い情報源が有れば,サイト内の検索機能を体験する材料として触ってみてはいかがだろう。この他に,検索ではないがCANCERLITと呼ばれるがん関係の論文を集めた文献データベースのサービスの中におもしろい試みが有ったので紹介しておく。このデータベースでは,新たに収録した論文の中からがんの種類ごとに抄録をまとめ,トピックス(http://cancernet.nci.nih.gov/canlit/cltopic.htm)と称して提供している。興味のあるがんについて,新しい論文を手軽にチェックできる便利なサービスである。

3. Scientific Resources
 NIHのWebサイトでは,科学技術に関するさまざまな情報が提供されている。NIHの内部向けのサービスも多いが,我々外部のものにとっても利用可能なリソースも少なくない。そんなリソースの中で,個人的に興味を引かれたものをいくつか紹介してみたい。


II. 次回予告
 モダンメディアの新しい連載「医療にやさしいコンピュータ」が,読者の皆様に見守られ,Introductionから数えて6回目を迎えた。今回をもってIntroductionで予告した予定を終了した。アンコールというわけではないが,番外編として次回はインターネット上の各種リソースについてさまざまな角度から紹介を試み,とりあえず連載を完了する予定である。
 予定は消化したが,読者の皆様には,これを機に,ぜひ,本連載に対するご意見,ご質問等をお寄せいただきたい。筆者に直接電子メールをいただければ大歓迎であるし,あるいはモダンメディア編集室を通じてお寄せいただくことも可能である。もしも連載が好評であれば,またどこかで読者の皆様にお会いできるかもしれない。


III. マニュアルコーナー『いろはの“い”』
6.自分のパソコンの中でファイルを探す

 パソコンの操作に慣れないうちは,よく必要なファイルを見失ってしまう。見失ってしまう原因にはいろいろなパターンがあるようだが,原因はともかく,どこかにいってしまったファイルを探し出す方法を今回はご紹介する。残業の末にやっと書き上げたレポートなのに,翌日印刷しようとすると,自分が保存したと思っていた場所に見つからない,そんな経験は,どなたもお持ちなのではなかろうか。こんなときに私たちを助けてくれるのが,ファイルの検索機能である。第2回,そして今月の連載記事の本文,そしてこの『いろはの“い”』と,いろんなところでバラバラに「検索」という文字が登場するので,混乱の無いように,簡単におさらいをしておこう。
 連載第2回で紹介した検索エンジン2) は,インターネットの中を縦横無尽に検索するためのサービスである。今回の本文では,サイトの中の検索機能を紹介した。そして今ここで紹介しようとしているのは,自分の机の上にある目の前のパソコンの中身の検索である。世界を相手にした検索から,自分の机の上にまでスケールダウンしているのだ。しかし,スケールは小さいとはいえ,ファイルを見つけられないときの問題の大きさは,身近なだけに深刻なものがあるだろう。
 さて,行方不明になったファイルの行方を捜す機能は,Windows95でも,MacOSでも,用意されている。おそらく,どなたでもすぐに覚えられる簡単な操作だし,知っているといろいろな場面で活用できるたいへん便利な機能なので,ぜひチャレンジしていただきたい。まず,Windows95の利用者によるファイルの探しかたである。MacOSについては,次回に紹介したい。
 Windows95のファイルの検索は,スタートメニューにある虫眼鏡をデザインしたアイコン「検索」で行う。このアイコンをポイントする(マウスの矢印を合わせる)と,「ファイルやフォルダ(F)」と「他のコンピュータ(C)」という2つのメニューが出てくる。今回のテーマであるファイル検索のためには,前者の「ファイルやフォルダ(F)」を選ぶ。このときに出てくる画面を図4に示した。画面を見ればおよそ検討がつくように,ファイルの名前,ファイルを作った日付,そしてその他という3つの側面から検索することができるようになっている。

 まずファイルの名前による検索である。ファイルの名前は,名前の全てを入れなくても,一部だけを入れると入力した部分を含む全てのファイルが検索される。たとえば,“REP”という条件でファイル名の検索を行うと,REPORTL1.TXTやmyreport.txtといった,REPという文字列をファイル名に含むファイルの全てが検索対象となる。あやふやな記憶でも,検索ができるようになっている。
 次に,ファイルを作った時間による検索機能である。図4に示した画面に見えている,「日付」タブをクリックしてみよう。いろいろな日付指定ができるようになっているのが,おわかりいただけると思う。何日〜何日までといった特定の期間を指定したり,過去1週間や1ヶ月といった指定もできる。このコーナーの最初に紹介したエピソードのように「昨日作ったファイル」を探したければ,前日だけを指定すればよいわけだ。日付の特定による検索は,ファイル名がまったくわからなくても検索できる,大変便利な仕組みだと筆者は思っている。ただし,Windows95では,利用者が意識しない間に,パソコンの中ではいろいろなファイルが自動的に作られては削除されている。日付だけで検索を行うと,こうした利用者の知らない間にできあがったファイルも検索されてくるため,意外にたくさんのリストになってしまうことがあるので注意したい。なお,メニューのタイトルが「ファイルやフォルダ」となっていることからわかるように,ここで検索対象となるのは,ファイルだけではない。フォルダについても,名前や日付けに基づく検索が可能である。
 最後にファイルの種類や中身の検索を紹介する。図4の画面に見える,「その他」タブをクリックしてみると,今度は「ファイルの種類(T):」や「含まれる文字列(C):」といった条件が見える。「ファイルの種類(T):」では,アプリケーションソフトの種類を指定できるようになっている。たとえば,「WORDで作った文書ファイル」であるとか,「ペイントで書いた絵」といったように,そのファイルを作成したソフトウエアの種類を指定できるのである。その下に見える「含まれる文字列(C):」は,ファイルの中に含まれている文字列を逐一調べてくれる機能である。“徳川慶喜”について書かれた文書を探すのであれば,そのまま「徳川慶喜」と入れれば良いわけである。ワープロの文書だろうが,表計算のワークシートであろうが,ファイルの中をしらみつぶしに検索してくれる強力な機能だ。ただし,他の検索に比べると余計に時間がかかってしまう。後に述べるような,検索する場所を指定するといった他の条件との組み合わせで利用する方が良さそうである。また,一見便利そうにみえるが,落とし穴もある。たとえば「徳川慶喜」で検索すると「徳川□慶喜」(□はスペース)は検索されない。ワープロの文書で,よくタイトルや宛先にスペースを入れた例を見かけるが,後々の検索のことを考えるとあまり望ましいやり方とは言えないことがおわかりいただけるだろうか。文字の間隔を調整するには,スペースを挿入するのではなく,均等割付等の機能を活用するようにしたい。見かけ上の仕上がりは変わらないかもしれないが,検索対象としては意味が違うのである。
 さて,以上のような検索機能の対象となるのは,そのコンピュータに内蔵されている(あるいは接続されている)ドライブである。何も指定しなければ,一般的にはハードディスクの全体が検索対象となっているはずである。この他に,フロッピーディスクやCD-ROMを指定することもできる。また,ドライブ全体ではなく,特定のフォルダを指定することもできる。ハードディスクに記録できる情報量は,フロッピーディスクの数千倍に及ぶ。CD-ROMでも500倍である。常にドライブ全体を検索させていると,時間の浪費は避けられない。手早く検索結果を得るには,できれば検索対象をフォルダごとに指定するようにするのがこつである。通常のアプリケーションソフトで作ったファイルであれば,“C:\Program Files”や,自分で作ったフォルダの配下にあるフォルダに保存されていることが多いと思われる。目的のファイルが有りそうなフォルダに限った検索で見つからないときに,ドライブ全体の検索を行わせるのがうまい使い方だと言えそうだ。
 フォルダの指定は,「探す場所」で行う。「参照」ボタンを押して,希望のフォルダを探し出して指定する。あるいは,前回の『ちょっと教えて』で紹介した,\で区切るフォルダの指定の仕方にしたがって手で書き込んでも良い。ところで,「参照」ボタンを押すと「ごみ箱」を指定できることもわかる。つまり,削除してしまったファイルでも探し出すことができるのである。
 なお,これらの検索条件は,全て組み合わせが可能である。つまり,「この1週間に作ったもので,“徳川慶喜”という文字を含み,CドライブのDATAフォルダの中にある」といった指定ができるということである。逆に,複数の条件のいずれかに該当するもの全てを同時に検索することはできない。つまり,「この1週間に作ったもの」あるいは「“徳川慶喜”という文字を含むもの」のいずれか,という検索を同時に行うことはできないのである。ファイルがみつからないといって一から作り直す前に,試しにファイルの検索機能を使ってみていただきたい。検索機能を通じて見つかったファイルは,そのまま開いて利用することができる。


IV.解説コーナー『ちょっと教えて』
6.ファイルを開く

 今回の『ちょっと教えて』では,ファイルの開きかたについて触れてみたい。たいへん基本的な操作なので,ご存じない読者は希なはずである。しかし,日常的に行う基本的な操作だけに,ちょっとした便利な使い方を知っておくのも良いだろう。
 通常,皆さんはどのような操作でファイルを開いておられるだろうか。アプリケーションソフトのファイルメニューから「開く」を選択する,あるいはデータファイルをダブルクリックして直接開いてしまう,といったやり方が多いと思われる。しかし,ファイルを開くには,この他にも便利なやり方がある。たとえば,『いろはの“い”』で紹介したファイルの検索機能で得られたファイルのリストから,ダブルクリックによって直接ファイルを開くことができる。見つかったファイルの場所をメモして,アプリケーションソフトから開きに行くといった,めんどうな操作は不要である。そのまま,ダブルクリックすればファイルは開く。
 また,多くのアプリケーションソフトでは,最近扱ったファイルを記憶している。ファイルメニューの下の方をご覧いただきたい。ファイル名がいくつか並んでいるものと思われる。このリストを選べば,該当ファイルを読み込んでくれるのである。作業中のファイルは,すぐに開いて作業を継続できるようにという配慮だろう。WORD,Excel,一太郎等,読者の皆さんのパソコンにも入っていそうなアプリケーションは,いずれもこの機能をサポートしている。なお,Windows95のみならずMacOSでも同様の設計になっている。
 更に,もしもお使いのアプリケーションにこの種の機能が無くても,Windows95が同様の機能を持っている。スタートメニューにある「最近使ったファイル(D)」がそれである。このメニューをポイントすると,自分が最近利用したファイルがずらりと画面に並ぶ。ここで出てくるファイルは,名前だけでなくアイコンもいっしょに表示されるのでわかりやすい。しかも,アプリケーションソフトを起動する手間も省けるので,作業中のファイルを開くときには通常はこの仕組みを利用するのが便利かもしれない。もっとも,いろいろなアプリケーションソフトのデータがいっしょに並ぶので,アイコン付きで表示してくれないとわかりにくいとも言える。
 この他に,ドラッグアンドドロップによってファイルを開く方法がある。データが記録されているファイルをポイントし,そのままドラッグしてアプリケーションソフトのアイコン(ショートカットでも良い)の上でマウスのボタンを離すと,アプリケーションソフトはドラッグされてきたファイルを読み込んで起動する。通常は,必要なファイルをダブルクリックすればアプリケーションソフトが自動的に起動するので,このような特殊な開きかたは知らなくても良い。ところが,自動的に動き出すアプリケーションソフト以外のもので,そのファイルを開きたいときには,ドラッグアンドドロップが有効である。たとえば,.TXTという拡張子を持つファイルをダブルクリックすると,多くのWindows95パソコンではメモ帳が動き出す。しかし,このファイルを,たとえばWORDで編集したいときには,WORDのアイコンの上にドラッグアンドドロップすると,メモ帳ではなくWORDがそのファイルを読み込んで起動するのだ。ただ,ドラッグアンドドロップすれば,どんな組み合わせでもファイルを開くことができる,というわけではない。もともと,そのファイルを開く機能をアプリケーションソフトが持っているときに限り,きちんと読み込むことが可能である。拡張子が.TXTである,テキストファイルと呼ばれるファイルは,通常は,ほとんどのアプリケーションソフトでの取り扱いが可能である。これに対して,特定のアプリケーションソフトで作成したファイルは,なかなか他のアプリケーションで取り扱えないようである。どのアプリケーションソフトがどのファイルを読み込み可能なのかは,Windows95の場合にはアプリケーションソフトの機能を確認するか,実際にためしてみないとわからないようである。MacOSでは試しにファイルをアプリケーションソフトのアイコンに重ねてみればわかる。読み込めそうなときには,アプリケーションソフトの側のアイコンに影がかかる。

文献
1) 藤谷 誠:ホームページをのぞいてみよう/国立がんセンターホームページ,モダンメディア44(5):164-170,1998
2) 藤谷 誠:インターネットを通じて得られる日本語の医療情報,モダンメディア44(4):119-126,1998