『宗教教育資料集』
すずき出版、1993年、3,900円

【目次】
はしがき
宗教立大学一覧
宗教立高等学校一覧
宗教立中学校一覧
宗教立小学校一覧
宗教別学校一覧
年表
文献一覧・解題
【はしがきから】
 本書は、国学院大学日本文化研究所のプロジェクト「宗教と教育に関する調査研究」による、3年間(1990〜92年)にわたる調査・研究の成果である。近代及び現代の日本において、宗教が教育という場を通じて、いかなる社会的な機能を果たしてきたか、また社会の側がそれにどのように反応したかなどを明らかにすることが、中心的な研究目的である。この目的のためには、まず従来の研究成果を検討した上で、次のようなことを調べていくことが必要になる。
 第1に、近代の教育行政が宗教問題に対し、どのような立場をとってきたかを、明治初期以来、今日に至るまで、仔細に検討しなければならない。第2に、個々の宗派、教派、教会、教団などが、どのような経緯で教育に関わるようになり、基本的にどのような姿勢で、宗教教育に臨んだかが、明らかにされねばならない。第3に、現実に各宗教立の学校において、どのような形で宗教教育ないし、宗教に関わる授業・行事が行なわれているかを実態調査する必要がある。第4には、宗教教育を受ける側の学生・生徒が、これをどのように受け止めているかを調べなければならない。
 こうした視点に立って、多角的な方法で研究を進めてきた。すなわち、従来の研究文献の収集と検討、基礎データのコンピュータ入力、宗教立の学校に対するアンケート調査及び面談調査、学生・生徒に対するアンケート調査などである。今回は、こうした研究成果のうち、資料・データの収集状況を考え、次の3点を公にすることにした。
 @宗教立学校一覧。これは宗教立の大学、高等学校、中学校、小学校の宗教教育・行事等に関するアンケート調査の結果を整理したもの。宗教別学校一覧も付した。
 A年表。従来の研究文献、収集データを参考にしながら、近代日本における宗教と教育に関する重要事項を年表形式にまとめたもの。学校の設立、教団の動き、行政の方針を対照できるようにした。
 B参考文献一覧。これまでの研究文献を一覧にし、かつ重要文献については、解題を付したもの。
 いずれも、現代日本における宗教と教育を論じる場合には、欠かせない基礎資料であると考えている。このプロジェクトは、さらに今後3年間、第2期の研究を継続する。これらの基礎資料・データを参照しつつ、さらに個別テーマに即した研究が積み重ねられることになっている。その成果についても公刊の予定でいる。
 本書は、全体を通じ、執筆者全員の緊密な協力関係によって、できあがったものであるが、一応の作業分担は次の通りである。
宗教立大学一覧:津城寛文
宗教立高校・中学・小学校一覧:(神道系・新宗教系)井上順孝、(仏教系)武田道生、(キリスト教系)磯岡哲也、佐々木裕子
宗教別学校一覧:(神道・新宗教)井上順孝、(仏教)武田道生、(カトリック)佐々木裕子、(プロテスタント)奥山倫明                     
年表:井上順孝
  文献一覧・解題:岩井洋、田島忠篤、河野恒心
 このプロジェクトは、明の星女子短期大学の宗教教育研究会のメンバー(田島忠篤、岩井洋、井腰圭介、河野恒心の各氏)との合同研究でもある。同会の「現代青少年の宗教意識と宗教教育:その効果と実践について」と題された先行研究からは、多くの示唆を得た。東京学芸大学の藤井健志氏は、都合により途中からプロジェクトから退いたが、初期の研究会では、貴重なご意見を出していただいた。また、コンピュータへのデータ入力に際しては、日本女子大学の鷹まどかさん、田口めぐみさんに奮闘していただいた。
 最後に、このプロジェクトの趣旨をご理解いただき、多くの学校関係者が、快くアンケートに回答していただいたことを記しておかなければならない。また校史等の貴重な資料をご寄贈いただいた学校もあった。そのようなご厚意の上に本書は成り立っていることをあらためて感じるとともに、こうした方々に篤くお礼の言葉を申し述べたい。
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