ALIVE講演 / 野生動物の保護知識(96/11/23)
11/23(土)に文京シビックセンターで、羽山伸一先生(日本獣医畜産大学助教授)
の「野生動物の保護知識」の講演に参加してきました。主に伊豆半島のサル群
が熱海の市内に侵入して、それの対策に関する話です。参加費は1000円。
15名位は集まったでしょうか、これくらいの人数だと一番取材しやすい。まず
最初に日本国内で年間6000頭のニホンザルが殺されている事実を提示しながら
ニホンザルは絶滅危惧種に指定されている(世界のレッドデータブックで)現実
があります。しかし日本では害獣あつかいにした時点で狩猟許可が得られ、そ
れも市町村レベルで許可が下りてしまい、県レベルで殺害数が判明しても無意
味。と日本ではあまり管理されていない現状を話されていました。
その後、熱海のサル問題のビデオを見ながら、38年前に餌付けをして野猿公園
を作る予定が住民の苦情などにより失敗し、餌付けのエサの味と、人なれした
サルが熱海市内にエサを求めて侵入している状態を見ました。まだサルと人間
の大きな事件はありませんが、老人や子供など体力的に弱いモノに手を出した
り(映像的には無かったですが)、民家から果物を持ち出すサルなど、熱海市内
の人間には迷惑であろう事は理解できます。
羽山先生はそこでサルの対策会に参加されているのですが、彼らを山に追い戻
す方法として、山頂にオリを作りボスザル以下群れ全体を捕獲し閉じ込める。
そこで山の食物以外を食べさせずに人間にも馴れさせず、世代交代をさせて自
然に放す。それまでに、山すそに壁を作って人間とサルの緩衝地帯を設けて、
「住み分け」作戦に出る事を考えています。
また地方自治体はサルの避妊手術を考えているようで、捕獲して群れ全体に避
妊処置をしてから自滅をまつ方法の考案している地方自治体の話もありました
。サルは狩猟対象外の動物ですから、理由も無く殺せませんが、避妊手術なら
ば法律に触れないで猿害も防げるならばと、羽山先生に依頼するそうですが「
一頭50万円で処置する」と言うと、誰も頼みに来ない。「案外安いんだが」と
皮肉そうに笑ってましたが。
最後に「東京都に自前にレッドデータブック」が無いと、言われて比較的に資
金がある自治体が一番保護運動が立ち後れている現状を話していました。行政
は住民の声が無いとまるっきり動かないそうで、声を出して行く事こそが一番
の保護運動的な話になってます。まあ後、モナコ水槽のような独立した生態系
でさえ理解できない人間の話もありました。モナコ水槽は何でも熱と光だけを
与えて、それ以外は水槽の動物の循環でエサも与えずに安定させている水槽だ
そうですが、バランスの配分が経験的に判明しているだけで、理論立ては不明
だそうで、あるバランスが壊れるといきなり水槽の動物が死んでしまう話が、
随分と恐かった。地球もいきなり壊れたりするんだろうか。
今回の講演会は、かなり勉強になる。