「北朝鮮絶望収容所に終止符を」
(97/10/25)
「北朝鮮絶望収容所に終止符を」
時間:1:00pm〜
料金:1000円
場所:新富一丁目の「労働スクエア東京」
主催:北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会
「鄭箕海・安明哲両氏招待講演会」 Pagori
朝日新聞の記事で、講演がある事を知り、新富一丁目の「労働スクエア東京」
で拝聴してきました。まず記事の引用から
_#「亡命した二氏が来日、北朝鮮の実態を各地で講演」(朝日新聞 10/23 18:59)
「日本から朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に帰還した元在日朝鮮人と、北
朝鮮の政治犯収容所に勤務したという元警備隊員。ともに九四年に韓国に亡
命し、日本でも体験記を出版している二人が二十四日に来日し、二十五日か
ら各地で北朝鮮の生活実態や人権状況を報告する。福島生まれの在日朝鮮人
だった鄭箕海(チョン・ギヘ)さんは一九六〇年に北朝鮮に帰還した後、韓
国に亡命、体験記『帰国船』を出版した。安明哲(アン・ミョンチョル)さ
んも韓国亡命後、北朝鮮の保衛部警備隊員として管理所(政治犯収容所)に
勤務していた体験を『北朝鮮絶望収容所』として出版している。」
小川晴久・東大教授が「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」の代表をされて
いますが、小川教授の「統一日報」に寄稿した文章を会場で貰ってます。
題名は「金正日にどんな挨拶をすべきか」
その中の論調は、総書記に就任した事について新聞報道の識者のコメントは、
批判精神が足りない事、報道が軟着陸論側に立っていることに憂慮を示して
いる事、日本のような使い捨ての国で脱出したい民衆を受入れるべきとの主
張が読める。
まず、第一に北朝鮮で苦難を味わっている帰国者の人権を、心配している。
その論調ですから、北朝鮮の人権侵害や国際規約からの脱退、などを取り上
げて、「人権抑圧国家」と批判してます(というよりも糾弾の方がより正し
い表現と思う(^_^;)
ちなみに国際規約からの脱退のニュースは、
_#「北朝鮮 国際人権規約から脱退を表明」(NHK 8/28 10:49)
「北朝鮮=朝鮮民主主義人民共和国は、国連の小委員会で北朝鮮が人権違反を
続けているとする非難決議が採択されたことに反発して、二十七日、国際人
権規約から脱退することを表明しました。北朝鮮の人権違反に対する非難決
議は、今月二十一日ジュネーブで開かれていた国連人権委員会の小委員会で
採択されたもので、北朝鮮が国際人権規約を守らず、国民の移動や出入国の
自由など基本的な人権を保証していないと指摘しています。」
北朝鮮は国内移動を自由に許していない状況では、規約から脱退するしかな
いとも言える。今それを許したら多分、農場を離れて都市に流れ込む可能性
もある。
「これに対して、北朝鮮のジュネーブ国連代表部のハン・チャンオン次席公使
は、二十七日記者会見で『決議は北朝鮮の実態を著しくゆがめるもので、政
治的な意図による内政干渉だ』と述べて、激しく反発しました。そして、国
連のアナン事務総長に北朝鮮が国際人権規約から脱退することを表明する書
簡を送ったことを明らかにし、来月三十日から開催される国連の『子どもの
権利条約』の会議にも出席しない方針を示しました。」
_#「国際人権規約から脱退 北朝鮮、人権委決議に抗議」(共同通信 8/27 20:44)
「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)のジュネーブ国連代表部のハン・チャン
オン次席公使は27日記者会見し、国連人権委員会の差別小委員会で今月2
1日に採択された北朝鮮非難決議に抗議して、同国が加盟している『市民的
・政治的権利に関する国際規約』(ICCPR)から脱退すると述べた。」
移動の自由を制限しているわけですが、今それを許したら、多分、北朝鮮の
自壊が早まるとも思える。自壊をする事で、他国のそれにかかわる支援が、
いきなり大きくなるわけで、住民の人権よりも混乱を避けたい日本や米国や
中国や韓国は、多分支援をし続けると思われる。
なんか、長くなったな(^_^;
鄭箕海・安明哲両氏から色々聞けましたが、安明哲氏からは、『北朝鮮絶望
収容所』と同等の内容が語られていました。北朝鮮の、当局の締め付けの話
や、彼の家族が、隣の住民に食糧を分けただけで、尋問を受けたり収容所に
送られた話が聞けた。詳しくは『北朝鮮絶望収容所』を読むと、悲惨な状況
が読めます。安明哲氏は29才で、確かに圧政の状況で苦しむ人達に、共感を
しない人間には見えない。彼も、母親が収容所に入れられた事で、彼自身が
疑われ、亡命する事を決意したそうです。
鄭箕海氏は、中年の男性で、北朝鮮がパラダイス信じた家族と共に渡った彼
の当時の状況を語ってもらえた。私からすると、北朝鮮が何故、在日の彼ら
を呼び戻したのか、不明な部分もあるけど、どうやら北朝鮮政府の思惑と、
日本側の関連機関とのギャップが大きかったように思える。北朝鮮政府が、
本当に日本で暮らしていた彼らを呼び戻す事で、朝鮮戦争後の復興の力にな
ったのか?といえばなんか疑問でもある。実際、北に渡った彼らは、言葉が
通じない事や金体制の思想になじまない事で、差別を受ける。そして批判的
な言葉を発した鄭箕海氏は、当局に尋問を受ける(拷問などは無かったよう
です。取り調べという感じでしょうか?)。鄭箕海氏は、収容所などには、
収用されていないが一ヶ月程尋問をされた後は、一切、批判を口にしない事
で、何事も無かったとの話。しかし彼の見聞きした事の中では、そのような
尋問の為に連れてゆかれた後に、帰ってこない人もいたと語っていました。
確かに今の日本から見ると、随分とヒドイ状況のように思えるけど、そんな
に「徹底的な弾圧」という程でもない感じもする。これは、実際に鄭箕海氏
の講演を聞く事をおすすめします。もちろん「最低でヒドイ」状況なのでし
ょうが半世紀前は、日本でも「天皇批判」をすれば当局に監視もされるし、
その又、半世紀前は、封建社会だったわけで、まあ時代がずれているのが北
朝鮮なんでしょう。ただ、そんな国の方がまだ多い気もする。
鄭箕海氏の主張の目玉は、配給性の批判ともいえる。階級によって配給の量
が変わり、幹部は1日当たり900g、平壌の住民は700g、罪囚は200g。
体制を批判をしたりすると、やはり村八分的な制裁もあるし、配給も下げら
れるようです。
安明哲氏の語った、収容所の描写の中で彼らの食糧配給の少なさの為に、松
の木の皮をはいで、配給された食糧と煮る話や、野草を取って煮る話なんか
も出てます。また、収容された人達は、地面に穴を掘って住み、雨露を防ぐ
為に、わらなどを使う。しかし冬になると、凍傷の為に死亡したり、骨が腐
る病気で、体が末端(手や足)が欠損するとも語っていた。
収容所というと、建物の中に思えるが、どうやら敷地の中(その中には山も
あるらしい)で暮らすようです。規則に違反したり(それも微細な事で)、
反発する人間は、逆に建物の中で、窮屈な部屋で拘禁されたり(正座するの
がやっと)、さらに過酷になると生体実験の為に、施設に入れられたり(こ
れは、確認された話ではないようです)、又、採掘場などに送られるようで
す。まあ、確かにひどいと思える。
でも日本も、中国の人達を強制労働させたりしたんだよね?その手の資料を
読むと、苛烈な状況で働かされたり、死亡する話もある。圧政者のやる事は
似たようなもんです。それに日本も佐渡金山なんてのは、罪人を使った強制
労働みたいなもんですから(確か、犯罪者だけでなく無宿のような故郷から
離れた人間を駆り集めた筈)、やはり北朝鮮は、そのような意味でやや先進
国的な見地からすれば「野蛮」と判断して、特に問題は無い感じでもある。
この講演は、その事を伝えたかったし、その人権を抑圧するような国から、
同胞を帰して欲しかったのかもしれない。
そのような運動をしているのが「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」なん
でしょう。理解もできます。
えーっと長くなったから、最後に料金は1000円で、約200〜300人程集まって
いました。また報道なども居た。これは左翼系の集会とは違った雰囲気です。
で、だからと言って私は、食糧支援は否定しない。実際日本が支援しなくて
も、あの国が崩壊しないように、動き続けると思うから>国際社会
それならば、棄てるほどある食糧を、死ぬほど送り付けてあげれば、もしか
したら、だんだんと変化するかもしれない>北朝鮮
問題はどうやって、国交を回復してより情報の流通や人の流通を活性化する
のか?って話とも思うから。
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