いろりばた会議・4月例会 (98/04/13)


地震と原発 検証:原発耐震設計基準のウソッパチ
時間:16:30〜21:30
料金:700円
場所:神保町区民会館
講師:広瀬隆さん(地震研)、藤田祐幸さん(慶応大学)
今回は、地震関係の講義でした。原子力発電所の場合、その耐震設計を決める のに、周辺の断層や過去の地震の被害などから、算出して「設計の基準」を設 けるそうですが、実は地震の場合は、震源地から同心円上に被害が広がるので は無く、それ以外の要因で震源地から遠い場所でも甚大な被害が出る話です。     ◎     ↑ ○←◎←*<-これが震源地とすると     ↓     ◎<-被害が大きい     ↓     ○<-被害が中くらい     ↓     △<-被害が小さい 震源地からの距離が遠くなるほど、被害が小さくなると思われて来ましたが、     *<-これが震源地とすると     ↓\     ◎ \     ↓  \<-活断層     ○   \     ↓    \     △     ◎<-被害が大きい と、震源地から遠くても、断層にそってエネルギ−が伝わる(というかエネルギ ー伝わるから断層に亀裂が入る)為に、被害が大きくなる場所も出てくる話です。 ちなみに、地震国の日本つうわりには、構造物の設計計算では地震に対してはそ れほど気を使ってません。実は、経済性の問題で、ある程度の地震では構造物は 破壊されてもしょうがない、と考えているからです。とくに歩道橋や橋やらは落 ちます、というと語弊がありますが、これもしょうがないわけです。 ただ、原子力発電所の場合は、破壊されるとその被害が「甚大」なわけで、あま り他の構造物と同等に扱ってもらうと恐いというのも事実でしょう。ちなみに会 議の中で、過去に試算した話で、原子力発電所が地震により被害が出た場合その 被害総額は当時の国家予算(兆)と同等だった話もあります。多分、今の日本で も、チェルノブイリ級の事故が起これば、ほとんど被害は全国的に影響が出るわ けで、実際のところ国家予算なんて話で終わるとも思えない。 今、日本は実は、東南アジアにも原子力発電所を輸出しようとしていますが、も ちろんその当事国で事故れば、被害は日本にも来るわけで、これも恐い。 台湾は最近また原子力発電所建設するそうで、その廃棄物の処理がまたずさんで なんだかなぁ、って話なんですが、これも遠隔地と思っているとさにあらず、あ ちらで事故れば、日本に影響が出ないなんて話は無いでしょう。 ちなみに、核廃棄物の処理は各国でも問題になってまして、日本では低レベルに 限り、一般産業廃棄物として処理できるようにする法律の話もありますから、日 本の状況も人事じゃなくなりかけている。 今回は、地震関係のお話でしたが、本当は先に原子力発電所の耐震設計の情報を 提示して吟味すべきだったかもしれない。普通、原子力発電所の耐震設計の値な んかは知らないわけですし。

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