「東アジアの食虫風俗」 (98/07/12)


多摩動物公園の「食用昆虫展」と講演
入園ゲート 時間:13:30〜14:00
場所:多摩動物公園
料金:無料
主催:多摩動物公園

会場 えーっと日曜日に、行ってきましたが多摩動物園はちょうどモノレールを通す 軌道の建造で大混雑中。支柱だけがニョキニョキ立ってますが、山中(多摩動 物公園は市街地からやや外れて山中にある)の景観も何もあったもんじゃない 感じもある。あれで軌道が頭上数十メートルの高さでかぶさっていると、結構 威圧感があるかもしれない。 で、食用昆虫講演の方ですが農林水産技術情報協会の梅谷先生を招いて「東ア ジアの食虫風俗」と題した講演と多摩動物公園の「食用昆虫展」を見学してき ましたが、そういえば昔はイナゴだとか良く食べさせられた。 日本人はエビ好きで、エビつうともうそれだけで「高そう」と感じる、たとえ ばエビ天丼と親子丼ではどうしても、エビ天の方が高い、でもしかしエビは節 足動物なわけで、昆虫の仲間とも言える。一方で親子丼というと、もちろん脊 椎動物のタマゴと肉を使っているわけで、どっちかっつうと複雑さでは、脊椎 動物の方が複雑でもある。でもエビの方が高い。(まあ、これは大量生産のし やすさとか、そうゆうものも関係してるけど) で、昆虫ですが、やっぱり、一部の地方では高いそうです。 私はイナゴ程度しか食べたことがありませんが(ハチの子供もあるか)ですが 、中国では竹を食べる芋虫を、油で揚げて食するとこれが非常に美味しいそう で、これは高いとの事。ですから「虫」食べるというとこれも「抵抗感」があ るかもしれませんが、もともと人間は雑食性ですし、猿の仲間でも「食虫」専 門になるほど虫が大好きなヤツもいる、童謡で有名な「アイアイ」なんては、 指の一部が特殊化して非常に長い。確か中指がアイアイのひじの長さくらいあ る。異様に長い。で、その指を使って木の中に居る虫を、引っ張り出して食べ る。顔はかわいらしいですが、結構、猿として見ると奇妙なもんです。 元々は人間も利用できるものはなんでも理由する「性質」がありますから、1 万年前の人間が描いた洞窟の絵なんかを見るとハチの巣を取る人が出ている。 今でも「ハチのコ」というと、美味しいものですが、多分彼らも、蜜だけでは なくそのハチのコを取って食べたとも思える。東南アジアでは、タガメを食す る(これも香りが良くて日本でも食べる風習もあったそうで)、セミを食する、 なんて地方もあり、昆虫にみかけで「食べる食べない」の判断をしているわけ でもない。 もっとも同じ東南アジアでもインドネシアなどの島々では、やはり海産物の方 が豊富ですから、昆虫食はないそうです。つまり昆虫食のある地方は、実は内 陸部の人達。(例外もあるけど) 試食会(ざざむし) 日本でも長野では昆虫食が盛んだったそうで、タガメも食べた話を聞けました。 えーっと講演では、やはり中国の香港で食材としての節足動物のスライドが多 めで、蟻(ツムギアリといわれる木の上で葉っぱを丸めて巣にする生態をもつ) やサソリ(強壮剤等)ゲンゴロウ、ハチ、ゴキブリ、タガメ、ヤゴなどが大量 に映されてましたが、冬草夏虫(とうちゅうかそう)なども1000円程度で B5程度の箱一杯に入って売られている、中国人はそうゆう意味では美味しさよ りも体に良いもの、という解釈で食べている感じもあります。(冬草夏虫はも う30年も前に小学館の「昆虫図鑑」で見てから、奇妙なものがあるんだと感 心した覚えがありますが、昆虫といわゆる寄生生物の関係はかなり壮絶でキノ コに体を乗っ取られる冬草夏虫もよ−く考えるとコワイ。もっとも、後年にな ってからその手の本を読むと、菌類に寄生される様々な昆虫の写真を見ること になり、アリだろうが植物だろうが他の生物に寄生するのがキノコなわけで( そうじゃないのもあるけど)、そう考えると、それほど恐くなくなる(^_^; 外国でもメキシコのお酒に入っている「ボクトウガの幼虫」みたいな感じで、 虫を料理に使う地方もあるわけで、あまり一般的ではないですが、例外視する 程のものではない。 エビやらカニやらを食べる文化があるわけですから、昆虫もそう毛嫌いする必 要もないです。 展示 最後に、昆虫の増殖能力を利用して、代用食物にする。昆虫の体を使って薬品 の培養をする(今は大腸菌でインシュリンを作っているそうですが昆虫の方が 有利とも語られていた)、循環型の環境で昆虫を使って食のサイクルを作る( 宇宙旅行などで、人間の便を使い昆虫に処理させる、その昆虫を今度は、より 大型の生物にエサにする)、昆虫型のロボットの基礎研究に使う。(ガス漏れ を検知するために、昆虫のフェロモンを使用し、対象昆虫の触角を検知機械に 接続して反応させる)など展望としての昆虫の利用方法が語られていました。 虫を食べるというと奇妙な感じもありますが、日本でも食べられていましたし その風習が海に囲まれている日本でさえ残っている。もっとも日本人も、エビ とか肉が多めのものを食しがちですから、特に「昆虫だけ」を好んでいるわけ でもないです。それでも、食べられていたのも事実。食文化なんて、子供の頃 に何を食ったのか、何に慣れ親しんだのか、という話なんでしょう。 で、「食用昆虫展」の方は、もろにサソリだとか蜂の巣だとか、タガメだとか を展示してあります。なかなかホルマリンづけの芋虫なんかをみると、それを 食せるのか?つうとこれも困るけど、もとから「食べる生物」の中にはけっこ うグロテスクなものもいますし、魚だって生からさばけばやっぱりグロなわけ で、見た目で判断も意味がない。昆虫食の将来像としては、やはり粉末状にす る話もあり、実は高蛋白で希少ミネラルが豊富な昆虫は、食材としては良いと いう話でした。

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