「白保サンゴ定点観測調査の報告」 (98/09/26)
| 沖縄の赤土によると思われるサンゴへの被害の話は、昔、手塚治虫の漫画で読 んだ記憶もある。 漫画家が取り上げている段階で、地元の人も役人もみんな知っている筈。それ も、もう何十年も前からよく知られている筈。詳しい状況は知られていなくて も、なんとなく「泥水で赤茶けた河川の水がサンゴ礁に悪影響を与える」のは 、誰でも理解できるはずですが、9/26に岩波セミナールームで、お話を聞いた 時に、なんとなくその部分で「本土の行政側は知らなかった」と語られると、 妙な感じもする。 もっとも20年前は、公害問題は騒がれていても「国の開発事業」を正面から 批判するのはなんとなくまずいと思われていた、のかもしれない。 沖縄大学教授のお話の中で、「中央に(被害が出ているのを)恐れ多くて報告で きない」と語られていたのを憶えてますが、どっちにしろサンゴ礁よりも農地 改善の方が優先されたのでしょう。 今回の沖縄のサンゴ礁の問題を扱った「白保サンゴ定点観測調査の報告-吉嶺全 二さんを偲ぶ集い」は、2部構成で1部は講演と報告、2部は沖縄の海を定点観 測をされて、汚染の状況を調べられていた吉嶺全二さんの一周忌の集いとして、 スライドやビデオの上映をしたようですが、私は1部のみ参加。 1部だけでもかなり濃縮された内容でした。カラースライドもそれなりに多く見 られて、面白かったです。 ただ、お話を聞いている限りでは、沖縄の海で赤土汚染がそれほど心配されなか ったようで、一時的に川から流れてきた赤土が数時間もすると沈殿して青い海に 戻ってしまうので、あまり地元の人も心配しなかったのでは?とも思えてくる。 もっとも、魚を採って暮らしている人達は結構、危機感もあるようです。 沖縄の場合、河口に「サンゴ礁」が存在し、生活廃水や牧畜ようの排水などで、 かなり敏感に被害が出るわけで、古来は「畑を作るのにもなるべく赤土を流さな いで」すむような「農法」が存在してたようですが、それも忘れられ、本土的な 農法では「根腐れ」による被害がでてしまう、だから本土と同じように、水を大 量に流せる排水溝と傾斜を付ける。でも、沖縄の土は、特殊で非常に細かく微粒 子となって、排水溝に流れ込み海でサンゴ礁に影響を与えてしまう。 最近話題の「サンゴ礁の白化現象」についても報告がありましたが、どうも沖縄 の場合は、台風の数が少なく水温が上がりすぎて、サンゴ礁のサンゴ虫から褐虫 藻が抜けたのが原因のようです。 サンゴは「水温が上がりすぎたり下がりすぎたり」すると敏感に反応して、サン ゴが死滅する場合が見られるとも語られていましたが、でっかいサンゴ礁でも死 滅する場合もあり、その後にまたサンゴがくっつき成長するとも言われています から、一時的な死滅でもまだ復活の可能性は、あるようです。しかし、あまり環 境が変わればサンゴも住めなくなるかもしれない。 今回のお話で、行政側が「何を大事に思っている」のか?って事がなんとなく判 るし、それ以前に、元からお役人は「生態系を大事にしよう」なんて思ってない 事が問題なわけで、その部分を変化させないと、意味がないかもしれない。 最近は、国民も突つきやすくなってますから、お役人も変化するかもしれないで すが、どうなんだろうか?要するに予算が、「保全や保護」に向けばいいわけで。 |