食用昆虫展 講演会「昆虫食の人類学」
土曜日は、京王線に乗って多摩動物園に行ってきましたが、前回の続き、食虫
文化の話です。
人間が「虫」を食べる状況というか、それを人類学的な立場から解説してもら
えましたが、一つ興味を持ったのはアフリカのブッシュマンたちが、食料を配
給してもらえるようになったら、虫を食べなくなった。研究者が食べるところ
を見せてくれと頼んだら、ブッシュマンは断って研究者がしょうがないので、
食べてみた。というお話。スライドで食べている場面を映してましたが。
虫は美味い、というよりも栄養源の一つとして、それほどメジャーな食材では
ないようで、世界でもこれを主食にしている人達は少ない。紹介していた中で
は、アジアの「コクゾウムシ」の幼虫や成虫を食べる部族くらいです。
コクゾウムシは、穀物の害虫ですが食べるものは「穀物」ですから栄養的には
同じだそうで、ついでに動物性の栄養素も摂取できる。バランスが良い。(^_^;
幼虫といってもいわゆるカブトムシの幼虫と同じで、手のひら一杯になるほど
でかい。それが植物のクキの中に住んでいて、それを現地の人達が取って食べ
る。「食虫」が主なものはこれくらいでしょうか?
これ以外では、香辛料として「タガメ」を使う場合とか、中国圏になればそれ
こそ生きているものならば何でも食べますから(^_^;食材として虫を使ったも
のは少なくないです。
日本でも最近は、アシナガバチを養殖して「ハチの子」を食べたり「成虫」を
焼酎に漬けて飲んだりと、それなりの「食虫文化」が残っているようです。
前回の講演では、虫をもっと養殖してその個体発生率の高さを有益に使い、昆
虫食こそ未来の食糧危機に対応できるもの、とかなり期待をしている話もあり
ましたが、世界でもそれほど「食虫文化」が広がっていないのは、やはりあま
り栄養源としては、魚や鳥や動物よりも劣っていると考えられているからでし
ょう。
それでも動物性タンパクをいつまでも天然資源から捕り続けられる保証もない
ですし、最近の「動物工場」的な「肉」という食材もなんとなく、体に悪るそ
うです。
そんな中で「虫」を食べる方向というのは、なんとなく有ってもよい感じもし
ますが、どうなんだろうか?(^_^;
単純に、植物性の食材だけに絞るのもそうは悪くはない感じもするけど。
とくに文化的に食虫がそれほど広がっていない状況では、単純に「虫」を食べ
るのが主流になるのは……それでも、未来にはそんな悠長なことを主張してい
るヒマもなくなるかもしれない。
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