アフガニスタン難民弁護団
 

声 明

 

 アフガニスタン難民弁護団 
2001年10月15日 

 日本政府は、2001年10月3日、難民認定申請中の、ハザラ民族に属する8名を含むアフガニスタン人9名以上について、出入国管理及び難民認定法に基づく退去強制に着手し、同人らを東京地方入国管理局第二庁舎に収容した。 
 現在までの入国管理局における調査の状況などから、日本政府の上記行動は、国籍のみを理由としてテロリスト関係者であるという疑いを持ち、とりあえず身体拘束を行って、情報を収集し、テロの危険を除去したかのような外形を取り繕おうとする意図に基づくものであることがうかがわれる。 
 テロが憎むべき犯罪であり、テロリスト捜査が喫緊の課題であることは論を待たない。 
 しかしながら、上記ハザラ民族は、アフガニスタンにおいて少数民族としてタリバンによる虐殺の対象となってきた民族であり、上記9名は、本国においてタリバンに親兄弟をを殺害されるなどして故国を出国し、日本政府の庇護を求めている者達である。 
 テロの捜査のために、アフガニスタンに於いて深刻なタリバンによる被害を受けたこれら難民申請者らを、国籍のみを理由に拘束し、再度深刻な人権侵害に直面させることは許されない。また、真正なパスポートを保有していなかったことは、本国の保護を受けられずに、とるものもとりあえず本国から逃げてきた難民申請者にはむしろ当然の帰結であり、国際法上も、真正なパスポートをしようしなかったことのみを理由に拘束することも正当化されない。 
 さらに、退去強制手続きを進行させたときは、入管法上、上記9名は本国であるアフガニスタンに送還されることになる。現在戦争状態にあるアフガニスタンに強制的に送還することは、国際法上も人道上もとうてい許されるものではない。当弁護団は、日本政府に対し、在日アフガニスタン人を中心とした外国人の人権を尊重し、冷静な対応を行うことを要請するとともに、これら外国人の保護のために全力を尽くす決意である。 

以上
 



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