カトリック大阪大司教区国際協力委員会
 

ハザラ人難民認定申請者の不当拘束に対する声明(案)

 

 2001年10月3日、アフガニスタン人9名、パキスタン人3名の計12名が入管法違反容疑で逮捕された。既報のように、その中には、タリバンによる迫害を逃れてやってきたアフガニスタン人が複数含まれていると思われる。そのうち、われわれが確認している1人は、ヤカオランの虐殺から逃れ、日本に庇護を求めている25歳のハザラ人青年である。 
 タリバンは、アフガニスタンを制圧する過程で同国の少数民族ハザラ人を敵視し、大量虐殺を繰り返してきた。今年1月の、バミヤン近隣のヤカオラン地区における虐殺(*)は、報道された最も新しいもので、ハザラ人を中心として300人の市民が虐殺されている。彼は、兄と父をタリバンに殺され、母もロケット砲に被爆して亡くなっている。彼は8月に日本に入国後、すでに難民認定申請を東京入管に行っている。にもかかわらず彼は拘束され、現在も収容されたままである。パキスタンはアフガニスタンとの国境を閉じ、戦禍を恐れて流入する難民は、パキスタンで「不法滞在者」の烙印を押され、なんの望みもなく放置されている。脅威が切迫していればいるほど、そしてその脅威が大きければ大きいほど、受け入れを拒まれるという重いくびきの下に彼らは置かれている。昨日の逮捕劇は、パキスタン政府と同じことをわれわれ日本政府は行うことを宣言したに等しい行為である。 
 在パキスタン日本大使館は、今年からアフガニスタン人に対し、「日本に入ると難民申請をするから」とビザ発給を事実上拒否している。日本政府は、「難民支援」の美句を口にしならが、戦争の業火から逃れて庇護を求める人々に門戸を閉ざす政策を頑なに守ろうとしている。 
 今回入管が取った措置はすべて適法かもしれない。しかし、そのすべてが人道に反している。われわれは、アフガニスタン人がこれまで、そして現在直面している苦難に対してもっと謙虚であるべきではないだろうか。 
 われわれは、今回の正義なき法の適用に憤り、少なくとも難民であること主張している人々を即時放免し、速やかに必要な庇護を提供するよう要求する。 
 合わせて、マスコミが、入管当局が流す情報を垂れ流すのではなく、権力のチェック機関としての本来の社会的任務に忠実であることを求める。
 



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