カトリック大阪大司教区国際協力委員会
  

アフガニスタン難民に新たな不認定処分
アジズ氏の即時釈放と立証機会の保証を要求する
(2002年3月6日)


 
  
 3月5日、難民申請者アブドル・アジズ氏に対して難民不認定処分(2月27日付け)が下された。
 
 アジズ氏は、1998年のマザリシャリフの虐殺(6000人とも8000人とも言われるハザラ人がタリバンによって虐殺された)で、一般市民であった弟を殺され、父親も負傷する経験をしている。彼は、タリバンと敵対するハザラ人主体のイスラム統一党に参加していたことを知ったタリバンが彼の行方を探していると知り、日本に庇護を求めてきた。彼の行方を調べる過程で、タリバンは彼の親戚と父親を激しい拷問にかけている。
 
 今回の不認定処分は、最も迫害の恐れが高いことが国際的ないわば常識となっているハザラ人の難民性を否定するものであり、日本の難民認定制度の破綻を自ら告白するに等しい。
 
 アジズ氏は、現在、密入国の容疑で警察により拘束されている。

 アジズ氏は、2001年10月7日に難民認定申請をして以来、自らの入国経過を進んで供述しており、入管法にもとづく違反調査を受けている最中であった。今回の警察による逮捕は、難民認定申請者の拘禁の原則禁止を定めたUNHCR執行委員会結論第44「難民申請者の拘禁」等に違反している。
 
 警察の逮捕・拘留は即座に停止されるべきである。また、その後、懸念されるのは、アジズ氏が釈放されず、広島入管により、収容令書にもとづく収容処分に付される可能性がある。
 
 入管法の手続きでは、収容令書発付から60日以内に退去令書を発付するか在留特別許可が発付されるかのいずれかが決定される。そして難民不認定に対する異議申出も、この60日の期限に合わせて拙速に却下される恐れがある。
 
 拘束されている状態で、難民性を立証することは不可能であり、実質的な立証の機会を与えずに却下することは、異議申出制度の空洞化であり、手続きの正当性を揺るがせることである。
 
 われわれは、上記のUNHCR執行機関結論の指針にしたがい、廿日市警察にアジズ氏の即時釈放を求めるとともに、広島入管が難民認定申請者であるアジズ氏を収容することなく、異議申出の機会を保証することを強く求める。
 

 



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