2001年10月10日 参議院法務委員会での審議
 


法務大臣は質問に答えよ!
〜10月10日 参議院予算委員会
福島瑞穂議員(社会民主党)の質問と森山法相の答弁〜
 
 

 2001年10月10日に開かれた参議院予算委員会で、社会民主党の福島瑞穂議員が、日本のアフガニスタン難民問題について質問し、森山真弓法務大臣がこれに答弁しました(当日の国会中継でも流されました)。
 「12名のアフガン人を強制送還するのか、送還先はアフガニスタンなのか」と語気鋭く迫る福島議員に対して、森山法相は「条約で定められている条件に合えば認定するだけだ」と、一般論に逃げるだけで、まともに答えようとしません。
 政府は、国会議員の追及に対して誠実かつ具体的に回答すべきです。今後の国会での議論の深化を期待したいと思います。

(続報:10月19日、民主党の肥田美代子衆議院議員が、日本アフガニスタン難民問題について衆議院法務委員会で長時間の質問を行ったとの情報が入っています。現在問い合わせ中であり、会議録が入手され次第アップしたいと思います=2001.10.22記)
 
 

○福島瑞穂君 ロッカビー事件も、安保理が、国際社会が圧力をかけて、非常に長い時間をかけて引き渡しを要求しました。私は、八月末に南アのダーバンで開かれた人種差別国際会議に出席をしましたが、パレスチナ問題が議論になるかもしれない、なるということで、アメリカは高官を送らず途中で引き揚げました。さまざまな国際会議での議論はそういう形でとんざをしています。また、日本、アメリカ、国際司法裁判所の批准もしておりません。私は、果たして努力をしてきたのか、むしろ軍事報復をすることで、今イスラム原理主義者の人たちが非常に反発を強めています。テロリストの思うつぼではないかと私は思います。 
 次に、難民の問題についてお聞きをします。難民の最大の原因は戦争です。戦争、戦渦が広がることで難民が起きる、そしてその難民支援をするということで自衛隊が行くと言われています。しかし、根本の軍事報復をやめさせることの努力はなかったのか。 
 そして、この間、衆議院の予算委員会で法務省は日本の難民の数についてお答えになられました。ドイツは十五万六千七百、フランスは七万三千、アメリカはこの十年間八万二千三百、日本はわずか四十九名です。 
 アフガニスタンの難民を今後どれぐらい受け入れるつもりがおありなんでしょうか。 

○国務大臣(森山眞弓君) 法務省としましては、その申請がございましたら、難民の地位に関する条約等に言う難民に該当しているときは難民として認定しておりますし、これからもそういう方針でございます。 
 ただ、委員がおっしゃっておりますその難民というのがもしパキスタン等の隣の国に流出したアフガニスタン人の避難民という御趣旨であれば、これは今申し上げた難民とは別のものでございまして、政府全体として別に取り組むべき話であるというふうに考えます。 

○福島瑞穂君 どれぐらい引き受ける覚悟がおありか、できれば教えてください。 
 また現在、十二名のアフガニスタンの難民認定者を含む人たちがこのテロ事件後、むしろ入管に拘束をされております。この人たちは強制退去をさせられるんでしょうか。強制退去先はアフガニスタンでしょうか。難民支援といいながら、軍事報復に協力をする。そして今、難民認定をしている人も含めて日本にいるアフガンの人たちを拘束する。強制退去先はアフガニスタンでしょうか、どうなんでしょうか。 
 本当に難民支援ということを、ですから、それは矛盾すると思うんですね。難民支援をするおつもりがあるんでしょうか。 

○国務大臣(森山眞弓君) 今申し上げましたように、避難民と難民はちょっと違うと思います。難民として条約に決められている条件に該当する方については、日本も決してためらうことなく、十分審査はいたしますけれども、それが該当している場合には受け入れているわけでございます。 
 ただ、我が国に対しては、よその国から見ますと歴史的、地理的にも大変かけ離れている、日本に来るのに海路、空路でなければならないというようないろんな条件がございますし、言葉も習慣も違うということで、申請する方自身が非常に数が少ないわけでございまして、申請がありましたものについては、従来どおり、条件が整えば受け入れているわけでございます。 

○福島瑞穂君 難民支援ということであれば、日本が諸外国に比べて極端に少ない数を見直し、難民の受け入れについてもぜひ取り組んでくださるようにと思います。 
 総理、私はこの間、国際法の根拠があるのか、アメリカの軍事報復に、お聞きをしました。回答は役人に任せて政治でやるのだとおっしゃいましたが、きょうはその根拠を教えてください。 

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは、アメリカが個別的自衛権の発動で戦いに赴いている。それを、国連でも安保理決議でもテロ抑止のためにお互い共同して防止策を講じようということで、日本としてもその活動に参加し協力していこう、ただし武力行使はしないという前提でやっているわけですから、私はそれが根拠だと思います。 

○福島瑞穂君 アメリカの自衛権の行使については国際法上疑問があります。また、国連の決議は、テロ行為について断固対処するとはあっても軍事報復を容認するというものではありません。国連はそのような決議を出しておりません。 
 以上、私は、日本が戦争ができない国を五十六年前に選択をしました。現在、戦争ができる国にこの国を変えようとしている。その重大な基本原則の転換を非常に簡単にやることは許せないということを申し上げて、私の質問を終わります。 

○委員長(真鍋賢二君) 以上で福島瑞穂君の質疑は終了いたしました。(拍手)



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