エーベルージュの物語概要

1)神話の時代

 異世界「ワーランド」はイメージが実体化する不思議な水の惑星です。
もともとこの星には生物はいなかったのですが、気の遠くなるような昔に時空を超えて、この星の唯一の島に転送された「巨木」が人が住めるように惑星環境を改造しました。
「巨木」は惑星改造用のバイオマシーンでしたが、この星で活動する内に自我を持ちます。

 やがて最初の植民者達が転送されて調査が始まります。
イメージが実体化する現象は人々を驚かせ、しばらくは混乱が続きました。
しかし、いったんイメージをコントロールする方法を理解した後は急速に調査が進み。
次の本格的な植民者達受け入れ準備へと計画が進みます。

 ところがここで、一つの問題が発生しました。
この星で誕生した赤ちゃんは性別が特定できず、12才になるまでは性が確定できないのです。
それが問題かどうかはともかく、母星の科学者達は問題を解決し希望者には予防処置をして本格的な植民を開始しました。
植民者の殆どが予防処置を希望した為、この星では最初に誕生した子供達の様な人々をアンヘルと呼び2つの種が共存する事になりました。

 アンヘルは感性が豊かでイメージする能力に長けていますが、性が確定するまでは体が弱く死亡率も高くなります。
性が確定した後は健康体となる為、死亡率が減ります。
また、アンヘルは自我を持った「巨木」と意思疎通ができる特殊能力を持っています。
その為、「巨木」の管理はアンヘルが担当することになりました。

 そして、人々は惑星環境を制御する「巨木」と共に、高度な精神文明を築き繁栄していきます。
しかし、「巨木」を利用して世界を支配しようと考える輩が跡を絶たず、ついに文明は滅びてしまいます。
生き残った人々は下界に降りて、惑星全土に散っていきます。

2)歴史の始まり
 
 巨大大陸と小さな島に別れた彼等の子孫は前文明の記憶を失い、神話「エーベルージュ」にその痕跡を留めるだけとなります。
惑星表面の3割を占める巨大大陸に住む人々は理性による高度な科学文明を築き、極地を除く唯一の島に移住した人々は感性による魔法文明を築きます。

 大陸側の大探検時代に島は発見され、幾度か交流がありましたが、大洋をはさみ反対側に位置する地理的状況から経済的価値を見いだされる事なく、島の存在は大陸の人々に忘れ去られてしまいます。

 再び2つの文明が出会うのは大陸の科学文明が核戦争により崩壊した後になります。
島を支配するカダローラ王国は大陸側の人々を援助する名目で軍隊や学者を大陸に派遣し、彼等を追って、商人や新世界での生活を夢見る移住者が大陸に渡ります。
代わりに大陸からは難民や科学技術が島に流入し、カダローラ王国の社会制度を揺るがす事になります。
その為、学者や技術者以外の難民の受け入れは拒否され、移住先も指定される数ヶ所に限られましたが、領主の中には積極的に彼等を受け入れる者も現れます。

 そうして、大陸との交易で力を付けた商人が台頭し、国王を頂点とする封建社会は北のリースリング領の民主化を始めとして、議会を中心とする新しい時代へと変貌していきます。

3)エーベルージュ

 核戦争後、文明が崩壊した大陸では新しく2つの勢力がカダローラ王国の援助を受け、互いの支配地域を拡大しようと小競り合いを繰り返しています。

 カダローラ王国では貴族側と議会がしばしば対立し不穏な動きも噂され、さらに、核戦争の影響からか原因は不明ですが、温暖化による被害も惑星規模で増加の傾向にあります。
さらに、大陸内部では砂漠化が進み、沿岸部は海面の上昇により、かつての大都市は水没してしまいました。

 このような状況下で島の北部一帯のリースリング領の元領主ザクセンはある目的の為に、リースリング領の7つの街それぞれに、特徴のある魔法学園を一年ごとに創設しました。

 彼は7番目に創設した全寮制の魔法学園で、今だ未完成な、無から有を生み出す創造魔法の使い手を育てる為に、新しいカリキュラムを試す事を決意します。
創立者自ら各地を旅し、素養のありそうな子供達を集め、自主性を尊重したカリキュラムで創造力を引き出し、創造魔法の最大の欠点である持続時間の問題を解決しようとしたのです。
こうして集められた子供達の中に、当時9才のナックと彼のルームメイトのノイシュがいました。
彼ら?が大人になる頃の世界は急激に進行した温暖化により世界は危機的状況になります。
ナックとノイシュは神話エーベルージュに秘められた謎を解き、創造魔法で世界を救います。

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