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    13、社長のお父様への弔辞



社長のお父様への弔辞(商工団体弔辞)

<ポイント>

形式と格式をふまえたうえで、故人の功績、業績を称賛し、故人から受けた恩恵や尊敬すべき点、
損失の大きさなどを述べます。

(文例) ○○株式会社社長○○氏の厳父であられる○○様のご葬儀にあたりまして、○○商工団体を代表致しまして、御霊前に哀悼の言葉を捧げるものであります。
たまたま、ロータリーの会合の席上で、○○氏から、お父上が日頃ご趣味となさっている俳句の会の吟行に、修善寺へお出掛けになったと、伺ったばかりでございましたから、お元気なご様子を、喜んでいたところでございました。その旅先で、突然亡くなられたと、伺った時の、驚きは到底言葉では言い表せません。ただ、ひとつだけ慰めとするならば、美しい自然に囲まれて、風雅なお楽しみの中で、寸亳の、お苦しみもなく、いかにもご人徳に相応しいおだやかなご最後だったという点でありましょう。
わたくしども、同業のものにとりましては、○○酒造ご先代と申し上げたほうが通りがよく、ご子息に社長の椅子を譲られ、現役を退かれました後も、何かというと相談ごとを持ち込む者は後を絶たず、それを一々親身になって考え、さまざまに手をかしてくださったものでございます。
この業界では、御先代のお力なくては、収まるものも収まらない、といわれた程でございました。
又、高級銘柄の全国流通網に手をつけられましたのも、ご先代が最初でありました。新しいイメージの日本酒ということで、容器やパッケージのデザインに力をいれることや、マスコミを介してのPR作戦なども、今でこそ各社が競って、意匠をこらすようになりましたが、ご先代がそこへ目をつけられた時には、相当な抵抗も、批判も乗り切らなければならない時代だったと思います。
そのご努力があればこそ、日本酒需要が低調な時期においても、常に新しい突破口を示して、この地方の酒業業界の指導者としての責任を果たされたのであります。
後継者でいらっしゃる○○氏も、よき業界リーダーとして、ご活躍目覚ましく、ご先代のご遺志を十二分に活かしてゆかれることと存じますが、われわれ次の世代を担う者として、
ご先代の開拓精神を等しく受け継いで行かねばならぬと、決意をかためている次第であります。
亭々たる大樹の下、その安らぎを常として来られた方々にとって、突然その葉蔭を見失われることは、大きな試練でもあろうかと存じます。しかし、更にたくましく、伸びて行く木々を擁したご一族の方々のこと故、必ずや枝葉の末まで、やがては古株にまさるご繁栄あらんことを期し、くれぐれも、ご自愛なさいますよう。ここにこうして、○○様の永遠の時を迎えるのは慈父を失う心地して、
涙の止めようもございません。衷心よりご冥福をお祈り申し上げます。

   平成○年○月○日  ○○商工会議所  代表 ○○○○
             (資料「弔辞」日本メモリアル協会編)

 


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