ふたつのアリス物語『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』のモデルとなった少女アリス・プレザンス・リデル(Alice
Pleasance Liddell)は、1852年5月4日、ロンドンのウェストミンスター・パブリックスクールの校長ヘンリー・ジョージ・リデル家に生まれました。男4人、女6人の兄弟姉妹の次女でした。1855年6月、父リデルは女王からクライスト・チャーチの学寮長に任命されます。その翌年の1856年4月25日、オックスフォードで当時4歳のアリスとキャロルは出会います。
そして6年後の1862年7月4日、金色の午下がり…。
アリス・リデルとその姉ロリーナ(Lorina)、妹イーディス(Edith)、友人のダックワースとのボート遊びのなか、アリスの物語は生まれました。
テニエルの挿絵ではウェーブのかかった髪の長い少女として描かれているアリスですが、実在のアリスは黒い髪のおかっぱの少女でした。キャロルの撮影したアリスの写真のいくつかを見る限り、賢そうな小生意気そうな表情が多いですが、当時はカメラに向かってにっこりという習慣はなかったように思います。「アリス」の物語と写真からの想像ですが、ちょっと背伸びをして大人っぽい立ち居振る舞いをして、でもそこがまたコドモらしい、愛くるしい女の子だったのではないでしょうか。
キャロルは生涯にわたって数多くの少女と友達になりましたが、この物語を誕生させたアリスという少女の存在は格別だといえるでしょう。
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