Romano, Sclavis, Texier, Le Querrec _Carnet De Routes_ (Label Bleu, LBLC6569, 1995, CD+book) - Recorded and Mixed at Studio de la Maison de la Culture d'Amiens, 1994-1995. - Aldo Romano (drums), Louis Sclavis (clarinet,soprano saxophone), Henri Texier (doublebass), Guy Le Querrec (Laica). Romano, Sclavis, Texier, Le Querrec _Carnet De Routes - Suite Africaine_ (Label Bleu, LBLC6609, 1999, CD+book) - Recorded and Mixed at Studio Gil Evans, Amiens, 1999. - Aldo Romano (drums), Louis Sclavis (clarinet,soprano saxophone), Henri Texier (doublebass), Guy Le Querrec (Laica). 1995年にリリースされた Guy Le Querrec の写真集が付いた Romano / Sclavis / Texier Trio のアルバム第二弾がリリースされたので、併せて軽く紹介。 第一弾は、1990年と1993年に Centres Culturels Francais (フランス文化センター) などの企画で旧仏領が多い Western / Central Africa をトリオがツアーしたときの ドキュメンタリー写真集に、その後に France の Amien でトリオのみの演奏を 収録したCDを付けたものだったが。第二弾は、そのときには回らなかった、 むしろ旧英領が多い Eastern / Southern Africa を1997年にツアーしたときの ドキュメンタリー写真集が付けられている。地域的にちょうど補完する感じだ。 CDは、やはり後に Amien でトリオのみの演奏を収録したもの。第二弾のほうが、 しっかりした箱に収められている。trio の3人は、France の free jazz / improv. のシーンではお馴染みのミュージシャンである。写真を撮影している Le Querrec は Magnam の写真家で、France を中心に Europe のジャズフェスでのミュージシャンの 写真も、多く撮影している。ちなみに白黒写真である。 写真集を見ていると、都市の街中の雑踏や、農村の広場の人垣の中で、バスキング 的に演奏を繰り広げていたよう (もちろん、写真集向けのパフォーマンス、という 面もあるかもしれないが。) で、飛び入り的に現地の人たちが踊ったり楽器を演奏 していたようである。その演奏をしているトリオが誰であるか、ということより、 バスキング的な賑わいを捕えているところが、この2つの box set の一番楽しい ところかもしれない。free jazz / improv. の演奏は、えてして高級芸術的な 楽しみ方がなされがちだが、芸能的な楽しみ方の可能性を示しているようで。 日本でもこういうパフォーマンスがもっと観たい、と僕は思うくらいだ。 欠点を挙げれば、せっかく広く Africa を移動しているのに、演奏風景が中心で Africa の多様性が見えそうで見えない感じがもどかしい、といったところもあるが。 いや、多様性などこの程度かもしれないのだが。 写真がバスキングの楽しみを伝えているだけに、CDの音源が、そういったアフリカ 各地でのパフォーマンスのドキュメンタリーではないのは、少々残念である。 ただ、そういう文脈を離れてスタジオ盤として聴いた場合、それほど悪くない。 僕が聴いてきた Louis Sclavis の ECM, ENJA, FMP などでの録音は、それも個性 だとは思うが、いささか辛気臭い面が多かったと感じていただけに、スタンダードな トリオによる演奏は、比較的ノリが良いように感じる。下手に Africa の ミュージシャンをゲストに迎えて半端に折衷的な演奏をするよりも潔い、と思わせる くらいの演奏は収録されている。 2000/01/16 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕