Cornell Campbell _I Shall Not Remove 1975-80_ (Blood And Fire, BAFCD030, 2000, CD) - 1)The Gorgon 2)The Gorgon Speaks 3)The Conquering Gorgon 4)Lion Of Judah 5)I Shall Not Remove 6)Natty Dread In A Greenwich Town 7)Forward Natty Dread 8)Dance In A Greenwich Farm 8-2)The Chalice Blaze (Dr. Alimantado) 8-3) Dancing Roots (King Tubby & The Aggrovators) 9)Two Face Rasta 10)Righteous Rastaman 11)Bandulu 11-2)Hard Time (feat. Ranking Dread) - Produced by Bunny "Striker" Lee, except 8-2)Winston Thompson, 11-2)Joseph Jackson (a.k.a. Ranking Joe Jackson). Mixed by King Tubby at King Tubby's Studio, except 10)Prince Phillip Smart, 11)Scientist. 1970年代後半、Bunny Lee 制作 King Tubby ミックスの音源というと、roots 期の reggae の、その dub 処理の一典型を作ったといえる。音を重ねて混沌とした 感じを作り出す Lee Perry の音処理と対称的に、Tubby のものは、トラックの 抜き差しを基調としたものだった。そして、そういったすっきりしたトラックには、 ドレッドなものではなく、Johnny Clarke や Cornell Campbell のようなハイトーン で優しく甘い歌声がぴったりハマっていたと、僕は思う。 Johnny Clarke の Bunny Lee 制作の音源は、_Don't Trable Trouble_ (Attack, CDAT107, 1989/94, CD)、_Authorized Rockers_ (Front Line, FLCD9014, 1991, CD)、 _Dreader Dread (1976-1978)_ (Blood and Fire, BAFCD024, 1998, CD) といった CDリイシューによって入手が容易になっていたが、Cornell Campbell の音源で 入手が容易なものはなかっただけに、このリイシューは嬉しい限りだ。 題名に "Gorgon" と入る曲が3曲続くところから、同じトラックを使い回しした 曲を続けたワンウェイ的な編集がされているかと、いやな予感もしたのだけれど。 トラックの使いまわしではなく、トラックは別で、同じ歌詞のテーマの使いまわし をした曲を繋いだものになっている。6〜8曲目も、そういう選曲になっており、 こういう「歌詞ワンウェイ」とでもいう編集を聴いたのも初めてで、ちょっと新鮮。 こういう reggae の使いまわし文化を実感し楽しむのにいい入門盤かもしれない。 もちろん、収録されている曲は、全曲 dub version と繋げた、曲によっては、 DJ をフィーチャーした version を繋げた、ショーケース形式で収録されている。 ちなみに、"Gorgon" シリーズで一番気に入ったのは、黒人聖歌のメロディを使った という "The Conquering Gorgon"。緩いメロディに伸びやかな Campbell の歌声が 乗るのが気持ちいい。"I Shall Not Be Moved" の替え歌 "I Shall Not Remove" も 緩く甘い歌声をフィーチャーしたところからヘビーな dub version に突入する ところがカッコいい。R&B のオールディズ Bobby Day, "Over & Over" の替え歌 "Dance In A Greenwich Farm" の緩いノリも最高。もちろん、The Aggrovators ら によるバックの演奏も、King Tubby のミックスも、バッチリ決まっている。 1970年代後半の roots reggae の良いスナップショットになっていると思う。 ちょっと残念なのは、僕の大好きな、Tubby の dub やその界隈の DJ で良く 使われている Cornell Cambpell, "Please Be True" が収録されていないこと。 これは、今後のリイシューに期待したい。 2000/2/13 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕 _ _ _ その後、"Please Be True" を含む Cornell Campbell, _Natty Dread: Anthology_ (Trojan, TJDDD242, 2005, 2CD) というアンソロジーがリリースされている。 Cornell Campbell 入門としては、こちらの方が良いように思う。詳しくは、 次のURLでレビューしている。 http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/CdD/05072401 2005/7/24 嶋田 丈裕, http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/talk/index.html